平成18年6月14日 地震調査研究推進本部 地震調査委員会 |
目立った活動は無かった。 補足説明へ
○ 5月12日に根室半島南東沖の深さ約55kmでマグニチュード(M)5.0の地震が発生した。この地震は太平洋プレートの沈み込みに伴う地震である。 補足説明へ
目立った活動はなかった。 補足説明へ
○ 5月1日に茨城・埼玉県境付近〔埼玉県北部〕の深さ約60kmでM4.4の地震が発生した。
○ 5月20日に千葉県南部の深さ約75kmでM4.7の地震が発生した。発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ型で、太平洋プレートの沈み込みに伴う地震である。
○ 4月17日頃から始まった伊豆半島東方沖の地震活動は次第に低下し、現在は今回の活動以前の状態にほぼ戻っている。5月2日には今回の主たる活動域から東に約10km離れた伊豆半島東方沖(伊豆大島北方沖)でM5.1の地震が発生した。発震機構は北北西−南南東方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型で、余震活動はほぼ収まりつつある。
今回の地震活動に伴い周辺のGPS、歪計、傾斜計の観測値にみられた変化は、5月以降はほぼ落ち着いた状態となっている。
○ 東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化は、最近は停滞しているように見える。 補足説明へ
○ 5月15日に和歌山県北部の深さ約5kmでM4.5の地震が発生した。発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ型である。 補足説明へ
目立った活動はなかった。 補足説明へ
○ 6月3日に福井県嶺南地方の深さ約5kmでM4.1の地震が発生した。
○ 6月12日に大分県中部の深さ約150kmでM6.2の地震が発生し、大分県、愛媛県、広島県で最大震度5弱を観測した。発震機構はプレートの沈み込む方向に張力軸を持つ型で、フィリピン海プレート内部の地震である。余震活動は低調である。周辺のGPS観測結果には、この地震の前後で、特に変化は認められない。今回の地震は、深く沈みこんだフィリピン海プレート内の地震活動領域の最深部で発生している。1923年8月以降、周辺約50kmの範囲で同様な深さに観測されたM6.0以上の地震は、1983年のM6.6と1978年のM6.0のみである。
○ 6月13日に十勝支庁中部の深さ約85kmでM4.7(暫定)の地震が発生した。 補足説明へ
注:〔 〕内は気象庁が情報発表に用いた震央地域名である。
平成18年6月14日 地震調査委員会 |
2006年5月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ56回(4月は106回)および4回(4月は15回)であった。また、M6.0以上の地震の発生はなく、2006年は5月までに5回発生している。
(参考)1971−2000年の30年間の標準的な回数:
M4.0以上の月回数46回、M5.0以上の月回数8回、M6.0以上の月回数1.3回、年回数約16回
2005年5月以降2006年4月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。
− 熊本県天草芦北地方 | 2005年6月 3日M4.8(深さ約10km) | |
− 新潟県中越地方 | 2005年6月20日M5.0(深さ約15km) | |
− 千葉県北西部 | 2005年7月23日M6.0(深さ約75km) | |
− 宮城県沖 | 2005年8月16日M7.2(深さ約40km) | |
− 新潟県中越地方 | 2005年8月21日M5.0(深さ約15km) | |
− 茨城県沖 | 2005年10月19日M6.3(深さ約50km) | |
− 三陸沖 | 2005年11月15日M7.2 | |
− 日向灘 | 2006年3月27日M5.5(深さ約35km) | |
− 伊豆半島東方沖 | 2006年4月21日M5.8、4月30日M4.5などの地震活動 |
「5月12日に根室半島南東沖の深さ約55kmでマグニチュード(M)5.0の地震が発生した。この地震は太平洋プレートの沈み込みに伴う地震である。」:
この地震に伴う余震は観測されなかった。この付近では1973年6月17日根室半島沖地震(M 7.4、最大震度5)が発生している。
北海道地方では、他に次の地震活動があった。
−5月3日に釧路沖(5月12日の地震の西約60km)でM4.8の地震が発生した。この付近では2005年1月18日にM6.4の地震(最大震度5強)が発生している(この地震は2004年11月29日の釧路沖の地震(M7.1、最大震度5強)の余震域の南西側で発生した)。
−5月14日に秋田県内陸南部(宮城県との県境付近)の浅いところでM4.4の地震が発生した。
「東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化は、最近は停滞しているように見える。」:
GPS観測結果によれば、東海地方から中部地方にかけての太平洋側は、フィリピン海プレートの北西方向への沈み込みなどにより、西北西にほぼ一定速度で移動していたが、2001年4月頃から、静岡県西部を中心とする地域の移動について、変化している傾向が見られる。最近は、この長期的な変化は、停滞しているように見える。
(なお、これは、5月29日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合せ会における見解(参考参照)と同様である。)
(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成18年5月29日気象庁地震火山部)
「 現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。
全般的には顕著な地震活動はありません。浜名湖東方から静岡県中部の直下では通常より活動レベルの低い状態が続いていますが、その他の地域では概ね平常レベルです。
東海地域及びその周辺における、プレート境界のゆっくり滑りに起因すると思われる長期的な地殻変動は、最近は停滞しているように見えます。 」
「5月15日に和歌山県北部の深さ約5kmでM4.5の地震が発生した。発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ型である。」:
この付近ではほぼ定常的な活動がみられ、2006年3月2日にもM4.1の地震が発生している。今回は、5月20日にもこの西側の深さ約5kmでM3.9の地震が発生するなど、一時やや活発な状態となったが、一連の活動は6月に入ってほぼ収まった。
九州・沖縄地方では特に補足する事項はない。
「6月12日に大分県中部の深さ約150kmでM6.2の地震が発生し、大分県、愛媛県、広島県で最大震度5弱を観測した。(中略)1923年8月以降、周辺約50kmの範囲で同様な深さに観測されたM6.0以上の地震は、1983年のM6.6と1978年のM6.0のみである。」:
東から西へ沈み込むフィリピン海プレートは地震波をよく伝えるため、震央から東側の領域でゆれが大きくなった。
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