平成17年11月9日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会


2005年10月の地震活動の評価


1 主な地震活動

10月19日に茨城県沖の深さ約50kmでマグニチュード(M)6.3の地震が発生し、茨城県で最大震度5弱を観測した。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(2) 東北地方

○ 10月9日に宮城県沖の深さ約70kmでM4.2の地震が発生した。

○ 8月16日に発生した宮城県沖の地震(M7.2)の余震活動は低調ながらも継続している。10月24日には、余震域北端の深さ約40kmでM4.8の地震が発生した。この地震は、これまでの最大の余震である。GPS観測結果によると、本震発生後に観測された余効変動は、ごくわずかながら継続している。

○ 10月22日に福島県沖の深さ約50kmでM5.6の地震が発生した。発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。

○ 10月18日に青森県西方沖の深さ約10kmでM5.4の地震が発生した。この約2分後には、ほぼ同じ場所でM5.3の地震が発生した。19日以降、余震活動は次第に低下し、ほぼ収まりつつある。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○ 10月19日に茨城県沖の深さ約50kmでM6.3の地震が発生し、最大震度5弱を観測した。発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。地震活動は本震−余震型で推移し、余震活動は減衰しつつある。周辺のGPS観測結果には、この地震の前後で、特に変化は認められない。この付近では、2000年7月21日にM6.4(最大震度5弱)の地震が発生している。

○ 10月16日に茨城県南部の深さ約45kmでM5.1の地震が発生した。発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。また、10月31日には、この北西側の深さ約50kmでM4.2の地震が発生した。

○ 東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化は、現在も継続しているが、最近はやや緩和する傾向が認められる。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

○ 10月16日に与那国島近海の深さ約180kmでM6.5の地震が発生した。発震機構はプレートの沈み込む方向に張力軸を持つ型で、フィリピン海プレート内部の地震である。 補足説明へ

(6) その他の地域

○ 10月23日に日本海中部の深さ約410kmでM6.1の深発地震が発生した。発震機構の圧力軸はプレートの沈み込む方向とほぼ一致しており、太平洋プレート内部の地震である。

補足

○ 11月1日に岩手県沿岸北部の深さ約70kmでM4.1の地震が発生した。

○ 11月1日に岩手県内陸南部(岩手・宮城・秋田県境付近)の深さ約10kmでM4.6の地震が発生した。余震活動は、2日間程度でほぼ収まった。 補足説明へ


2005年10月の地震活動の評価についての補足説明

平成17年11月9日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

2005年10月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
 M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ85回(9月は73回)および13回(9月は8回)であった。また、M6.0以上の地震は4回で、2005年は10月までに17回発生している。

(参考)1971−2000年の30年間の標準的な回数:
M4.0以上の月回数46回、M5.0以上の月回数8回、M6.0以上の月回数1.3回、年回数約16回

2004年10月以降2005年9月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

    − 茨城県南部 2004年10月6日M5.7(深さ約65km)
− 与那国島近海 2004年10月15日M6.6
− 新潟県中越地方(平成16年(2004年)新潟県中越地震)
2004年10月23日M6.8(深さ約10km)
− 釧路沖 2004年11月29日M7.1(深さ約50km)
− 留萌支庁南部 2004年12月14日M6.1(深さ約10km)
− 房総半島南東沖(プレートの三重会合点付近)
2005年1月19日M6.8
− 茨城県南部 2005年2月16日M5.4(深さ約45km)
− 福岡県西方沖 2005年3月20日M7.0(深さ約10km)
− 千葉県北東部 2005年4月11日M6.1(深さ約50km)
− 熊本県天草芦北地方  2005年6月3日M4.8(深さ約10km)
− 新潟県中越地方 2005年6月20日M5.0(深さ約15km)
− 千葉県北西部 2005年7月23日M6.0(深さ約75km)
− 宮城県沖 2005年8月16日M7.2(深さ約40km)
− 新潟県中越地方 2005年8月21日M5.0(深さ約15km)

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

北海道地方では特に補足する事項はない。

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(2) 東北地方

「10月22日に福島県沖の深さ約50kmでM5.6の地震が発生した。発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。」:
 この付近では、1923年8月以降、M5.5〜M6.0の地震が10年に1回程度の割合で発生している。

「10月18日に青森県西方沖の深さ約10kmでM5.4の地震が発生した。この約2分後には、ほぼ同じ場所でM5.3の地震が発生した。19日以降、余震活動は次第に低下し、ほぼ収まりつつある。」:
 これらの地震は、昭和58年(1983年)日本海中部地震(M7.7)の余震域の中央部で発生した。

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(3) 関東・中部地方

「10月16日に茨城県南部の深さ約45kmでM5.1の地震が発生した。(中略)また、10月31日には、この北西側の深さ約50kmでM4.2の地震が発生した。」:
 この付近では、2月16日にM5.3(最大震度5強)、7月28日にM5.0の地震が発生している。

「東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化は、現在も継続しているが、最近はやや緩和する傾向が認められる。」:
 GPS観測結果によれば、東海地方から中部地方にかけての太平洋側は、フィリピン海プレートの北西方向への沈み込みなどにより、西北西にほぼ一定速度で移動していたが、2001年4月頃から、静岡県西部を中心とする地域の移動について、変化している傾向が見られる。これは2005年10月に入っても継続しているが、最近はその変化にやや緩和する傾向が認められる。
(なお、これは、10月31日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合せ会における見解(参考参照)と同様である。)

(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成17年10月31日気象庁地震火山部)
「 現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。
 全般的には顕著な地震活動はありません。浜名湖直下で通常より活動レベルの低い状態が続いていますが、その他の地域では概ね平常レベルです。
 東海地域及びその周辺において、プレート境界のゆっくり滑りに起因すると思われる長期的な地殻変動が依然継続していますが、最近やや緩和する傾向が認められます。 」

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(4) 近畿・中国・四国地方

近畿・中国・四国地方では特に補足する事項はない。

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(5) 九州・沖縄地方

−10月2日に一時的に活発となった福岡県筑豊地方の微小地震活動は、10月中旬に若干の活動があったものの、現在はほぼ収まっている。これまでの最大は、10月2日のM2.8の地震である。

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(6) その他の地域

−10月15日に千島列島でM6.4の地震が発生した。

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補足

−11月1日に紀伊水道の深さ約45kmでM4.3の地震が発生した。

−11月4日に新潟県沖の深さ約25kmでM4.8の地震が発生した。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
   M6.0以上のもの。または、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
  1  「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
  2  「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
  3  評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。