平成17年12月14日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会


2005年11月の地震活動の評価


1 主な地震活動

11月15日に三陸沖でマグニチュード(M)7.1の地震が発生し、岩手県大船渡市で42cmなど、東北地方の太平洋沿岸で津波を観測した。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(2) 東北地方

○ 11月1日に岩手県沿岸北部の深さ約70kmでM4.1の地震が発生した。11月13日には、この南東側の深さ約55kmでM4.3の地震が発生した。

○ 11月1日に岩手県内陸南部(岩手・宮城・秋田県境付近)の深さ約10kmでM4.6の地震が発生した。余震活動は、2日間程度でほぼ収まった。

○ 11月15日に三陸沖でM7.1の地震が発生し、岩手県大船渡市で42cmなど、東北地方の太平洋沿岸で津波を観測した。発震機構はほぼ東西方向に張力軸を持つ正断層型で、太平洋プレート内部の浅いところで発生したと考えられる。地震活動は本震−余震型で、本震発生後数日間の余震活動は活発であったが、その後は次第に低下してきている。これらの余震は、三陸沖の日本海溝の東側に分布しており、これまでの最大の余震は、11月25日のM4.8の地震である。GPS観測結果には、この地震の前後で、特段の変化は認められない。今回の地震活動の北側では、1933年に三陸地震(M8.1)が発生しているが、1923年8月以降では、それ以外に三陸沖の日本海溝の東側でM7以上の地震は発生していない。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○ 東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化には、最近やや緩和する傾向が認められる。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

○ 11月23日に和歌山県北部の深さ約30kmでM4.0の地震が発生した。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

○ 11月22日に種子島近海(薩摩半島南方沖)の深さ約150kmでM6.0の地震が発生した。発震機構はプレートの沈み込む方向に張力軸を持つ型で、フィリピン海プレート内部の地震である。この付近では、深さ150km前後を中心にフィリピン海プレートの沈み込みに関係した定常的な地震活動がみられ、1978年5月23日にもM6.4の地震が発生している。 補足説明へ

補足

○ 12月2日に宮城県沖の深さ約40kmでM6.6の地震が発生した。発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。この地震は、8月16日の宮城県沖の地震(M7.2)の南東約10kmで発生しており、これまでの最大の余震と考えられる。宮城県沖の地震の余震発生数は、M6.6の地震後、一時的に増加したが、余震活動状況に顕著な変化はみられない。
 なお、12月5日には、この地震の南東約30km付近でM5.5の地震が発生した。この付近では、2003年10月31日にM6.8の地震が発生している。

○ 12月2日に茨城県南部の深さ約50kmでM4.2の地震が発生した。

○ 12月4日に奄美大島近海でM6.1の地震が発生した。発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型である。本震発生当日の余震活動は活発であったが、5日以降は収まりつつある。これまでの最大の余震は、12月4日に本震付近で発生したM5.3の地震である。

○ 12月13日に北海道西方沖でM5.5の地震が発生した。発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型である。今回の地震は平成5年(1993年)北海道南西沖地震(M7.8)の余震域の北端付近で発生した。 補足説明へ



2005年11月の地震活動の評価についての補足説明

平成17年12月14日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

2005年11月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
 M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ109回(10月は85回)および11回(10月は13回)であった。また、M6.0以上の地震は3回で、2005年は11月までに20回発生している。なお、上記の月回数のうち、11月15日の三陸沖の地震(M7.1)とその余震活動によるものは、M4.0以上、M5.0以上、M6.0以上のそれぞれについて、28回、1回、1回であった。

(参考)1971−2000年の30年間の標準的な回数:
M4.0以上の月回数46回、M5.0以上の月回数8回、M6.0以上の月回数1.3回、年回数約16回

2004年11月以降2005年10月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

    − 釧路沖 2004年11月29日M7.1(深さ約50km)
− 留萌支庁南部 2004年12月14日M6.1(深さ約10km)
− 房総半島南東沖(プレートの三重会合点付近)
2005年1月19日M6.8
− 茨城県南部 2005年2月16日M5.4(深さ約45km)
− 福岡県西方沖 2005年3月20日M7.0(深さ約10km)
− 千葉県北東部 2005年4月11日M6.1(深さ約50km)
− 熊本県天草芦北地方  2005年6月3日M4.8(深さ約10km)
− 新潟県中越地方 2005年6月20日M5.0(深さ約15km)
− 千葉県北西部 2005年7月23日M6.0(深さ約75km)
− 宮城県沖 2005年8月16日M7.2(深さ約40km)
− 新潟県中越地方 2005年8月21日M5.0(深さ約15km)
− 茨城県沖 2005年10月19日M6.3(深さ約50km)

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

北海道地方では特に補足する事項はない。

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(2) 東北地方

東北地方では特に補足する事項はない。

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(3) 関東・中部地方

「東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化には、最近やや緩和する傾向が認められる。」:
 GPS観測結果によれば、東海地方から中部地方にかけての太平洋側は、フィリピン海プレートの北西方向への沈み込みなどにより、西北西にほぼ一定速度で移動していたが、2001年4月頃から、静岡県西部を中心とする地域の移動について、変化している傾向が見られる。最近は、この長期的な変化に、やや緩和する傾向が認められる。
(なお、これは、11月28日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合せ会における見解(参考参照)と同様である。)


(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成17年11月28日気象庁地震火山部)
「 現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。
 全般的には顕著な地震活動はありません。浜名湖直下で通常より活動レベルの低い状態が続いていますが、その他の地域では概ね平常レベルです。
 東海地域及びその周辺における、プレート境界のゆっくり滑りに起因すると思われる長期的な地殻変動は、最近やや緩和する傾向が認められます。 」
関東・中部地方では、他に次の活動があった。

−10月19日の茨城県沖の地震(M6.3)発生後、付近では地震回数の増加がみられたが、その後は以前の活動レベルに戻りつつある。GPS観測結果によると、茨城県の太平洋沿岸の観測点で、この地震に伴うごくわずかな地殻変動が観測された。

−11月4日に新潟県沖の深さ約25kmでM4.8の地震が発生した。余震活動は、11月中旬でほぼ収まった。

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(4) 近畿・中国・四国地方

−11月1日に紀伊水道の深さ約45kmでM4.3の地震が発生した。

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(5) 九州・沖縄地方

九州・沖縄地方では特に補足する事項はない。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
   M6.0以上のもの。または、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
  1  「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
  2  「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
  3  評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。