平成16年9月8日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会


2004年8月の地震活動の評価


1 主な地震活動

8月10日に岩手県沖の深さ約50kmでマグニチュード(M)5.8の地震が発生し、最大震度5弱を観測した。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(2) 東北地方

○ 8月10日に岩手県沖の深さ約50kmでM5.8の地震が発生し、最大震度5弱を観測した。発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。現在までにM3.0以上の余震は観測されず、地震活動は通常の活動レベルに戻りつつある。
○ 8月19日に福島県沖の深さ約75kmでM5.0の地震が発生した。発震機構は北北東−南南西方向に張力軸を持つ正断層型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○ 8月6日に千葉県北西部の深さ約75kmでM4.6の地震が発生した。発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界で発生した地震である。
○ 8月25日に東京湾の深さ約50kmでM4.4の地震が発生した。
○ 東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化は、現在でも依然として継続しているように見える。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

○ 8月21日に与那国島近海でM5.6の浅い地震が発生した。発震機構は北北西−南南東方向に圧力軸を持つ型であった。余震活動は21日のうちにほぼ収まった。 補足説明へ


補足

○ 9月1日に福島県沖の深さ約30kmでM5.6の地震が発生した。発震機構は、西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。
○ 9月1日に奄美大島近海でM5.2の地震が発生した。
○ (9月5日に発生した紀伊半島南東沖の地震およびその余震活動については別項を参照)
○ 9月7日に新潟県中越地方の深さ約15kmでM4.3(暫定)の地震が発生した。


2004年8月の地震活動の評価についての補足説明

平成16年9月8日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

2004年8月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ91回(7月は132回)および8回(7月は17回)であった。また、M6.0以上の地震の発生はなく、2004年は8月までに4回発生している。

このうち、台湾付近の地震活動の地震回数は、M4.0以上が21回(7月は67回)、M5.0以上が1回(7月は6回)で、これを除いたM4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ70回(7月は65回)および7回(7月は11回)である。
(参考)1971−2000年の30年間の標準的な回数:
    M4.0以上の月回数46回、M5.0以上の月回数8回、M6.0以上の月回数1.3回、年回数約16回

2003年8月以降2004年7月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

−十勝沖(平成15年(2003年)十勝沖地震)

2003年9月26日M8.0(深さ約40km)

−福島県沖

2003年10月31日M6.8(深さ約30km)

−房総半島南東沖(プレートの三重会合点付近)
2004年5月30日M6.7

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

−8月17日に十勝沖の深さ約45kmでM5.1の地震が発生し、その後2時間以内に、ほぼ同じ場所でM4.6、M4.9、M4.7の地震が発生した。これらの地震は、平成15年(2003年)十勝沖地震の余震域の南西端に位置している。
−平成15年(2003年)十勝沖地震の余震活動は、引き続き減衰傾向である。GPS観測結果によると、本震発生後に観測された余効変動はわずかながら継続している。

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(2) 東北地方

東北地方では、特に補足する事項はない。

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(3) 関東・中部地方

「東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化は、現在でも依然として継続しているように見える。」:
東海地方から中部地方にかけての太平洋側は、フィリピン海プレートの北西方向への沈み込みなどにより、西北西にほぼ一定速度で移動しているが、GPS観測結果では、静岡県西部を中心とする地域において、2001年4月頃から、この移動に、やや変化している傾向が見られるようになり、2004年8月に入っても継続している。但し、変化が加速している様子はない。
(なお、9月1日の総合防災訓練の際に気象庁で開催された地震防災対策強化地域判定会(訓練)における検討結果によれば、7月26日の同判定会委員打合会以降、東海地域の地震活動および地殻変動の状況に大きな変化はない。本評価結果は、この見解と同様である。)


(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成16年7月26日気象庁地震火山部)

「現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。

 全般的には顕著な地震活動はありません。浜名湖直下で通常より活動レベルの低い状態が続いていますが、その他の地域では概ね平常レベルです。

 プレート境界のゆっくり滑りに起因すると思われる東海地域およびその周辺で見られる長期的な地殻変動は依然継続しています。2003年の変動は、2002年に比べて大きく、2001年と同程度でした。また、すべりの中心は浜名湖北東にあり、移動していないとみられます。」

関東・中部地方では他に次の地震活動があった。
−8月21日に千葉県東方沖の深さ約40kmでM5.4の地震が発生し、その約1時間後にも、ほぼ同じ場所でM5.1の地震が発生した。余震活動は、数日中にほぼ収まった。


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(4) 近畿・中国・四国地方

近畿・中国・四国地方では、特に補足する事項はない。

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(5) 九州・沖縄地方

九州・沖縄地方では、特に補足する事項はない。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
   M6.0以上のもの。または、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
  1  「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
  2  「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
  3  評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。