平成15年10月9日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会


2003年9月の地震活動の評価


1 主な地震活動

9月26日に十勝沖の深さ約40kmでマグニチュード(M)8.0の地震が発生した。この地震により、北海道で最大震度6弱を観測し、北海道から東北地方にかけての太平洋沿岸で津波が観測された。また、これまでで最大の余震は26日に発生したM7.1(最大震度6弱)の地震である。これらの地震活動により、行方不明2名および負傷者800名を超える被害が発生した。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動


(1) 北海道地方

○ (9月26日に十勝沖で発生した地震およびその余震活動等については別項を参照) 補足説明へ

(2) 東北地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○ 9月20日に千葉県南部の深さ約70kmでM5.8の地震が発生した。発震機構はほぼ東西に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界付近で発生した地震である。

○ 東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化は、現在でも依然として継続しているように見える。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

○ 9月28日に奄美大島近海の浅いところでM6.0を最大とする地震活動があった。活発な活動は、ほぼ1日間で収まった。 補足説明へ




(6)その他の地域

○ 9月1日にウラジオストク付近の深さ約540kmでM6.2の深発地震が発生した。


補足

○ 10月5日に岐阜県飛騨地方の深さ約15kmでM4.5の地震が発生した。



2003年9月の地震活動の評価についての補足説明

平成15年10月9日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

2003年9月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ168回(8月は57回)および41回(8月は4回)であった。また、M6.0以上の地震の発生は7回で、2003年は9月までに13回発生している。なお、上記の月回数のうち、9月26日の十勝沖地震とその余震活動によるものは、M4.0以上、M5.0以上、M6.0以上のそれぞれについて、97回、30回、および5回であった。
(参考)1971−2000年の30年間の標準的な回数:
   M4.0以上の月回数46回、M5.0以上の月回数8回、M6.0以上の月回数1.3回、年回数約16回
2002年9月以降2003年8月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

−青森県東方沖

2002年10月14日M5.9(深さ約50km)

−宮城県沖

2002年11月3日M6.2(深さ約45km)

−日向灘

2002年11月4日M5.9(深さ約35km)

−宮城県沖

2003年5月26日M7.1(深さ約70km)

−宮城県北部

2003年7月26日M6.4(深さ約10km)

本文へ

2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

北海道地方では、特に補足する事項はない。

本文へ

(2) 東北地方

−7月26日に発生した宮城県北部の地震(M6.4)の余震活動は、引き続き順調に減衰している。

本文へ

(3) 関東・中部地方

「東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化は、現在でも依然として継続しているように見える。」:
東海地方から中部地方にかけての太平洋側は、フィリピン海プレートの北西方向への沈み込みなどにより、西北西にほぼ一定速度で移動しているが、GPS観測結果では、静岡県西部を中心とする地域において、2001年4月頃から、この移動に、やや変化している傾向が見られるようになり、2003年9月に入っても継続している。但し、変化が加速している様子はない。
(なお、本評価結果は、9月29日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合会における見解(参考参照)と同様である。)

(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成15年9月29日気象庁地震火山部)

「現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。

浜名湖直下では5−6月に小規模な活動がありましたが、2002年末頃から通常より地震活動が低下した状態が続いています。その他の領域では地震活動に特段の変化は見られません。

プレート境界のゆっくり滑りに起因すると思われる東海地域およびその周辺で見られる長期的な地殻変動は依然継続しています。」

本文へ

(4) 近畿・中国・四国地方

近畿・中国・四国地方では、特に補足する事項はない。

本文へ

(5) 九州・沖縄地方

九州・沖縄地方では、特に補足する事項はない。

本文へ

参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
M6.0以上のもの。又は、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。