平成15年11月12日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会


2003年10月の地震活動の評価


1 主な地震活動

10月31日に福島県沖の深さ約30kmでマグニチュード(M)6.8の地震が発生し、宮城県牡鹿町で30cmの津波を観測した。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動


(1) 北海道地方

○  9月26日の十勝沖地震(平成15年(2003年)十勝沖地震)の余震活動は、ほぼ順調に減衰している。10月にはM5.0以上の余震は14回発生し、M6.0以上は2回発生した。10月中の最大の余震は10月8日に余震域の北東端付近で発生したM6.4の地震で、最大震度は4であった。GPS観測結果によると、本震発生後に観測された余効変動は継続しており、本震後の変動量はえりも1観測点で南東方向に約11cm、えりも2観測点で約10cmに達している。

○  10月18日に十勝支庁北部の深さ約10kmでM4.5の地震が発生した。十勝沖地震発生以降、北海道の東側のいくつかの領域で、規模の小さな地殻内の浅い地震活動が活発化しており、この地震も活発化している領域内で発生したものである。

○  10月29日に北海道東方沖でM6.0の地震が発生した。 補足説明へ

(2) 東北地方

○  10月23日に宮城県北部の深さ約10kmでM4.4の地震が発生した。この地震は7月26日に宮城県北部で発生した地震(M6.4)の余震である。

○  10月31日に福島県沖の深さ約30kmでM6.8の地震が発生し、最大震度4を観測した。この地震により、宮城県牡鹿町で30cmの津波を観測した。発震機構は西北西−東南東に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。地震活動は本震−余震型で推移しており、次第に低下してきている。これまでに発生した最大の余震は、11月1日のM6.2の地震である。GPS観測結果によると、この地震に伴いわずかな変動が見られている。今回の地震は、地震調査委員会が想定している宮城県沖地震の東隣に位置している。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○  10月15日に千葉県北西部の深さ約75kmでM5.1の地震が発生した。この地震の発震機構は北東―南西に圧力軸を持つ型で、太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界で発生した地震である。

○  10月5日に岐阜県飛騨地方の深さ約15kmでM4.5の地震が発生した。

○  東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化は、現在でも依然として継続しているように見える。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ





2003年10月の地震活動の評価についての補足説明

平成15年11月12日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

2003年10月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ167回(9月は168回)および21回(9月は41回)であった。また、M6.0以上の地震の発生は4回で、2003年は10月までに18回発生している。なお、上記の月回数のうち、9月26日の十勝沖地震とその余震活動によるものは、M4.0以上、M5.0以上、M6.0以上のそれぞれについて、76回、14回、および2回であった。
(参考)1971−2000年の30年間の標準的な回数:
   M4.0以上の月回数46回、M5.0以上の月回数8回、M6.0以上の月回数1.3回、年回数約16回

2002年10月以降2003年9月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

−青森県東方沖

2002年10月14日M6.1(深さ約50km)

−宮城県沖

2002年11月3日M6.3(深さ約45km)

−日向灘

2002年11月4日M5.9(深さ約35km)

−宮城県沖

2003年5月26日M7.1(深さ約70km)

−宮城県北部

2003年7月26日M6.4(深さ約10km)

−十勝沖(平成15年(2003年)十勝沖地震)

2003年9月26日M8.0(深さ約40km)

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

北海道地方では、特に補足する事項はない。

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(2) 東北地方

「10月23日に宮城県北部の深さ約10kmでM4.4の地震が発生した。この地震は7月26日に宮城県北部で発生した地震(M6.4)の余震である。」:
宮城県北部の地震(M6.4)の余震活動は、引き続き順調に減衰している。

東北地方では他に次の活動があった。
−10月6日に山形県村山地方でM3.5の地震が発生した。

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(3) 関東・中部地方

「東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化は、現在でも依然として継続しているように見える。」:
東海地方から中部地方にかけての太平洋側は、フィリピン海プレートの北西方向への沈み込みなどにより、西北西にほぼ一定速度で移動しているが、GPS観測結果では、静岡県西部を中心とする地域において、2001年4月頃から、この移動に、やや変化している傾向が見られるようになり、2003年10月に入っても継続している。但し、変化が加速している様子はない。
(なお、本評価結果は、10月27日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合会における見解(参考参照)と同様である。)

(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成15年10月27日気象庁地震火山部)

「現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。

浜名湖直下では5−6月に小規模な活動がありましたが、2002年末頃から通常より地震活動が低下した状態が続いています。その他の領域では地震活動に特段の変化は見られません。

プレート境界のゆっくり滑りに起因すると思われる東海地域およびその周辺で見られる長期的な地殻変動は依然継続しています。」


関東・中部地方では他に次の活動があった。
−10月2日頃から伊豆大島近海で小規模な地震活動が始まった。10月28日にはM4.4の地震(深さ約10km)が発生し、活動が活発化したが、その後は徐々に収まりつつある。この付近では、1978年1月14日にM7.0の地震(1978年伊豆大島近海地震)が発生している。

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(4) 近畿・中国・四国地方

−GPS観測結果によると、豊後水道周辺で地殻変動が検出された。この変化は、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界におけるゆっくりとした滑りに起因するものと考えられる。変化は8月上旬頃から始まり、11月上旬までに愛媛三崎観測点では南東方向に1cm程度移動している。また、ほぼ同じ領域の深さ30〜40kmで8月下旬頃から低周波地震の活動が活発となった。なお、この付近では、1996〜1997年にも長期的なゆっくり滑りが観測されている。

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(5) 九州・沖縄地方

九州・沖縄地方では、特に補足する事項はない。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
M6.0以上のもの。又は、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。