平成14年9月11日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2002年8月の地震活動の評価


1 主な地震活動

目立った活動はなかった。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動


(1) 北海道地方

○ 8月25日に根室半島南東沖の深さ約40kmでM5.8の地震が発生した。この地震は太平洋プレートと陸のプレートの境界付近で発生した地震である。地震活動は本震−余震型で、8月末現在ほぼ収まりつつある。この付近では「1973年6月17日根室半島沖地震」(M7.4)が発生している。 補足説明へ

(2) 東北地方

○ 8月12日に青森県東方沖の深さ約25kmでM5.0の地震が発生した。この地震は太平洋プレートと陸のプレートの境界付近で発生した地震である。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○ 8月3日に鳥島近海の深さ約450kmでM6.2の深発地震が発生した。発震機構は、ほぼ西下がりに圧力軸を持つ型であり、太平洋プレート内部の地震である。

○ 8月11日に静岡・愛知県境付近の深さ約40kmで、M4.3の地震が発生した。

○ 8月13日から八丈島付近の深さ約10kmで微小な地震活動が始まり、活動域は段階的に西方向へ広がった。GPS観測結果によると、15日から16日にかけて、八丈島で東方向に5〜6cmの移動、数cmの隆起が観測された。8月23日にはこの活動における最大の地震(M4.1)が発生したが、9月に入り活動はほぼ収まりつつある。

○ 8月18日に福井県嶺北地方の深さ約10kmでM4.5の地震が発生した。

○ 8月20日に鳥島東方沖の浅い所でM6.1の地震が発生した。この地震の発震機構は、ほぼ東西に圧力軸をもつ逆断層型であり、太平洋プレートの沈み込みに伴う地震である。

○ 三宅島から新島・神津島付近にかけての地震活動及び地殻変動は、引き続き低調ながらも続いている。

○ 東海地方のGPS観測結果に昨年から認められた長期的な変化は、現在でも依然として継続しているように見える。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ




補足

○ 9月2日に和歌山県北部の深さ約10kmでM4.0の地震が発生した。

○ 9月8日に宮城県北部の深さ約10kmでM3.8、9日にM4.1の地震が発生した。



2002年8月の地震活動の評価についての補足説明

平成14年9月11日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

日本及びその周辺域では、マグニチュード(M)4.0以上の地震の発生は55回(7月は73回、2000年末までの30年間の月平均は約46回)観測された。この内、M5.0以上の地震の発生は7回(7月は7回)であった。
 また、M6.0以上の地震の発生は、1998〜2000年の間で、年に平均16回(2000年までの30年間の年平均も約16回)発生している。2002年8月にはM6.0以上の発生は2回。2002年は7月までに7回発生している。
2001年8月以降2002年7月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

−岩手県内陸南部 2001年12月2日M6.4(深さ約120km)
−神奈川県西部 2001年12月8日M4.5(深さ約25km)
−奄美大島 2001年12月9日M5.8(深さ約40km)
−与那国島近海 2001年12月18日M7.3(深さ約10km)
−茨城県沖 2002年2月12日M5.5(深さ約50km)
−石垣島南方沖 2002年3月26日M6.6(深さ約10km)
−台湾付近 2002年3月31日M7.0

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

北海道地方では、特に補足する事項はない。

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(2) 東北地方

東北地方では、特に補足する事項はない。

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(3) 関東・中部地方

「東海地方のGPS観測結果に昨年から認められた長期的な変化は、現在でも依然として継続しているように見える。」:
 東海地方から中部地方にかけての太平洋側は、フィリピン海プレートの北西方向への沈み込みなどにより、西北西にほぼ一定速度で移動しているが、GPS観測結果では、静岡県西部を中心とする地域において、2001年4月頃から、この移動に、やや変化している傾向が見られるようになり、2002年8月に入っても継続している。但し、変化が加速している様子はない。
(なお、9月1日の総合防災訓練の際に気象庁で開催された判定会(訓練)で検討された結果では、7月29日の判定会定例打ち合わせ会以降、東海地域の地震活動状況には大きな変化はない。本評価結果は、この見解と同様である。)
(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成14年7月29日気象庁地震火山部)

「東海地域のフィリピン海プレート内の地震活動は、昨年4〜6月の静岡県中部の活動終了以降低い状態でしたが、最近、M3クラスの活動も見られるようになりました。
 一方、地殻内の地震活動は、全体としては平常のレベルですが、今年に入って駿河湾沿岸での活動は低下しています。
 また、東海地域及び周辺の地殻変動には、国土地理院の観測によれば、昨年から長期的な変化が認められ、現在でも依然として継続しているように見えます。
 現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。」

 関東・中部地方では、他に次の地震活動があった。
  −7月27日頃から始まった長野県北部の地震活動(最大M2.4)は、8月も断続的に継続している。

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(4) 近畿・中国・四国地方

−和歌山・奈良県境の深さ約10km付近の地震活動は、8月も断続的に継続している。8月中の最大Mは2.7であった。

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(5) 九州・沖縄地方

−8月30日に熊本県熊本地方でM3.7の地震が発生した。また、9月2日にはこの地震の南東方向へ約20km離れた場所でM3.8の地震が発生した。2日の震源は布田川・日奈久断層帯付近に位置し、この付近では2000年6月8日にM4.8(最大震度5弱)の地震が発生している。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
M6.0以上のもの。又は、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。