平成14年10月9日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2002年9月の地震活動の評価


1 主な地震活動

目立った活動はなかった。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動


(1) 北海道地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(2) 東北地方

○ 9月9日に宮城県北部の深さ約10kmでM4.1の地震が発生した。この付近では8月29日頃から地震活動が観測されており、8日から9日にかけて活動が一時活発となったが9月下旬にはほぼ収まりつつある。また、この活動域から北方向へ約20km離れた場所で19日にM4.1の地震が発生した。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○ 三宅島から新島・神津島付近にかけての地震活動及び地殻変動は、引き続き低調ながらも続いている。

○ 東海地方のGPS観測結果に昨年から認められた長期的な変化は、現在でも依然として継続しているように見える。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

○ 9月2日に和歌山県北部の深さ約10kmでM4.0の地震が発生した。

○ 9月16日に鳥取県中・西部の深さ約10kmでM5.3の地震が発生した。この地震の発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型であった。活動は本震―余震型で推移しており、9月末現在順調に減衰している。なお、今回の地震は、2000年10月に発生した鳥取県西部地震(M7.3)の震源からは約40km東に位置しており、1943年の鳥取地震(M7.2)の余震域の西端付近で発生した。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ




(6) その他の地域

○ 9月15日にウラジオストク付近の深さ約640kmでM6.5の深発地震が発生した。この付近では、6月29日にM7.2(深さ約590km)の地震が発生している。



2002年9月の地震活動の評価についての補足説明

平成14年10月9日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

日本及びその周辺域では、マグニチュード(M)4.0以上の地震の発生は56回(8月は55回、2000年末までの30年間の月平均は約46回)観測された。この内、M5.0以上の地震の発生は11回(8月は7回)であった。
また、M6.0以上の地震の発生は、1998〜2000年の間で、年に平均16回(2000年までの30年間の年平均も約16回)発生している。2002年9月にはM6.0以上の発生は1回。2002年は8月までに9回発生している。
2001年9月以降2002年8月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

−岩手県内陸南部 2001年12月2日M6.4(深さ約120km)
−神奈川県西部 2001年12月8日M4.5(深さ約25km)
−奄美大島 2001年12月9日M5.8(深さ約40km)
−与那国島近海 2001年12月18日M7.3(深さ約10km)
−茨城県沖 2002年2月12日M5.5(深さ約50km)
−石垣島南方沖 2002年3月26日M6.6(深さ約10km)
−台湾付近 2002年3月31日M7.0

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

北海道地方では、特に補足する事項はない。

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(2) 東北地方

東北地方では、特に補足する事項はない。

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(3) 関東・中部地方

「東海地方のGPS観測結果に昨年から認められた長期的な変化は、現在でも依然として継続しているように見える。」:
東海地方から中部地方にかけての太平洋側は、フィリピン海プレートの北西方向への沈み込みなどにより、西北西にほぼ一定速度で移動しているが、GPS観測結果では、静岡県西部を中心とする地域において、2001年4月頃から、この移動に、やや変化している傾向が見られるようになり、2002年9月に入っても継続している。但し、変化が加速している様子はない。
(なお、本評価結果は、9月30日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合会における見解(参考参照)と同様である。)
(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成14年9月30日気象庁地震火山部)

「東海地域のフィリピン海プレート内の地震活動は、昨年4〜6月の静岡県中部の活動終了以降、低い状態でしたが、最近、M3クラスの活動も見られ、平常レベルの活動に戻っています。
地殻内の地震活動は、全体としては平常のレベルです。駿河湾沿岸では今年に入って活動が低下していましたが、最近M2クラスの活動が見られるようになりました。
また、東海地域及び周辺の地殻変動には、国土地理院の観測によれば、昨年から長期的な変化が認められ、現在でも依然として継続しているように見えます。
この変動は、陸のプレートがフィリピン海プレートに対して、おおむね南東方向に、年間2〜3cm程度かそれ以下のゆっくりとした速度で滑っていることに起因するとみられます。主なすべり領域は、当初、浜名湖付近直下にありましたが、その後、北東方向にやや拡散しました。このすべりは東海地震の想定震源域の外の非地震性すべりと考えられ、そのすべりの総量はモーメントマグニチュードで6.8程度に相当すると考えられます。
現在のところ、この変化はゆっくりとしたもので、他の東海地域の体積歪計などの観測項目も含め、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。」


関東・中部地方では、他に次の地震活動があった。
  −7月27日頃から始まった長野県北部の地震活動(最大M2.6)は、9月中旬以降ほぼ収まりつつある。
  −8月13日から始まった八丈島付近の地震活動は、9月27日にM4.1の地震が発生するなど、散発的に続いているものの、ほぼ収まりつつある。

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(4) 近畿・中国・四国地方

−和歌山・奈良県境の深さ約10km付近の地震活動は、9月も低調ながら続いている。

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(5) 九州・沖縄地方

−9月2日に熊本県熊本地方でM3.8の地震が発生した。震源は布田川・日奈久断層帯付近に位置し、この付近では2000年6月8日にM4.8(最大震度5弱)の地震が発生している。

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補足

−10月2日から長野県中部(牛伏寺断層付近)の深さ約5kmで小規模な地震活動が始まり、4日にはM3.1の地震が発生した。活動は現在も断続的に続いている。


参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
M6.0以上のもの。又は、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。