平成14年11月14日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2002年10月の地震活動の評価


1 主な地震活動

10月14日に青森県東方沖の深さ約50kmでマグニチュード(M)5.9の地震が発生し、最大震度5弱を観測した。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動


(1) 北海道地方

○ 10月19日に択捉島付近でM6.4の地震が発生した。 補足説明へ

(2) 東北地方

○ 10月14日に青森県東方沖の深さ約50kmでM5.9の地震が発生し、最大震度5弱を観測した。発震機構は西北西―東南東に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界付近で発生した地震である。

○ 10月12日に福島県沖の深さ約30kmでM5.6の地震が発生した。ほぼ同じ場所で11日にもM5.2の地震が発生している。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○ 10月21日に茨城県沖の深さ約50kmでM5.2の地震が発生した。

○ GPS観測結果によると、10月上旬に房総半島南東部で南東方向へ1〜2cm程度の系統的な地殻変動が見られた。これは、プレート境界でゆっくりとした滑りが起こったことが原因と考えられる。これとほぼ同時期の10月2日から房総半島東方沖で地震活動があり、6日頃からは千葉県南部でも活動が見られるようになった。中旬以降、千葉県南部の活動は低調ながら続いているものの、房総半島東方沖の地震活動と地殻変動はほぼ収まっている。なお、この付近では1996年5月にも今回と同様な現象が観測されている。

○ 東海地方のGPS観測結果に昨年から認められた長期的な変化は、現在でも依然として継続しているように見える。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

○ 10月23日に島根県東部の深さ約10kmでM4.4の地震が発生した。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ




補足

○ 11月3日に宮城県沖の深さ約45kmでM6.1の地震が発生し、最大震度5弱を観測した。発震機構はほぼ西北西−東南東に圧力軸をもつ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界付近で発生した地震である。地震活動は本震−余震型で推移し、次第に低下してきている。この付近では、過去にM6クラスの地震が繰り返し発生している(1954年、1973年、1986年)。なお、この地震は1978年6月12日の宮城県沖地震(M7.4)の震央から約80km北に位置し、その震源域からは外れている。
○ 11月4日に日向灘の深さ約35kmでM5.7の地震が発生し、最大震度5弱を観測した。発震機構はプレートの沈み込みの方向に張力軸を持つ型で、フィリピン海プレートの沈み込みに伴う地震である。地震活動は本震−余震型で推移し、次第に低下してきている。



2002年10月の地震活動の評価についての補足説明

平成14年11月14日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

日本及びその周辺域では、マグニチュード(M)4.0以上の地震の発生は164回(9月は56回、2000年末までの30年間の月平均は約46回)観測され、そのうち石垣島北方沖の活動によるものが100回であった。M5.0以上の地震の発生は19回(9月は11回)であった。
また、M6.0以上の地震の発生は、1998〜2000年の間で、年に平均16回(2000年までの30年間の年平均も約16回)発生している。2002年10月にはM6.0以上の発生は1回。2002年は9月までに10回発生している。
2001年10月以降2002年9月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

−岩手県内陸南部 2001年12月2日M6.4(深さ約120km)
−神奈川県西部 2001年12月8日M4.5(深さ約25km)
−奄美大島 2001年12月9日M5.8(深さ約40km)
−与那国島近海 2001年12月18日M7.3(深さ約10km)
−茨城県沖 2002年2月12日M5.5(深さ約50km)
−石垣島南方沖 2002年3月26日M6.6(深さ約10km)
−台湾付近 2002年3月31日M7.0

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

北海道地方では、特に補足する事項はない。

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(2) 東北地方

−10月25日に秋田県沖(秋田市付近)の深さ約20kmでM4.5の地震が発生した。

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(3) 関東・中部地方

「東海地方のGPS観測結果に昨年から認められた長期的な変化は、現在でも依然として継続しているように見える。」:
東海地方から中部地方にかけての太平洋側は、フィリピン海プレートの北西方向への沈み込みなどにより、西北西にほぼ一定速度で移動しているが、GPS観測結果では、静岡県西部を中心とする地域において、2001年4月頃から、この移動に、やや変化している傾向が見られるようになり、2002年10月に入っても継続している。但し、変化が加速している様子はない。
(なお、本評価結果は、10月25日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合会における見解(参考参照)と同様である。)
(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成14年10月25日気象庁地震火山部)

「 東海地域の地震活動は、地殻内およびフィリピン海プレート内ともに平常レベルです。
 東海地域及びその周辺において、昨年からの長期的な地殻変動が依然継続しています。その原因となるプレート境界のゆっくり滑りの状況に特段の変化は見られません。
 なお、国土地理院による水準測量及びGPS観測により、御前崎付で沈降不足とみられる微小な変化が観測されていますが、周辺の体積歪計ではこれに対応するような変化は認められていません。
 現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。」


関東・中部地方では、他に次の地震活動があった。
−8月13日から始まった八丈島付近の地震活動は9月以降低調となり、10月初めにはほぼ収まったように見えたが、10月23日頃から西方沖での活動が一時的に活発化した。10月24日と28日には、活動が始まってから最大規模のM4.6の地震が発生した。
−10月2日から長野県中部(牛伏寺断層付近)の深さ約5kmで小規模な地震活動が始まり、4日にはM3.1の地震が発生した。10月下旬は活動は収まっている。

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(4) 近畿・中国・四国地方

−10月13日に豊後水道の深さ約40kmでM4.7の地震が発生した。

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(5) 九州・沖縄地方

−10月24日から石垣島北方沖の浅いところで地震活動が始まった。24日から25日にかけてM5以上の地震が10回発生するなど活発な活動がみられたが、11月に入り、低調となっている。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
M6.0以上のもの。又は、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。