平成13年5月9日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2001年4月の地震活動の評価


1 主な地震活動

4月3日に、静岡県中部の深さ約35kmでマグニチュード(M)5.1の地震が発生し、最大震度5強を観測し、被害を伴った。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動


(1) 北海道地方

○ 4月14日に、釧路沖の深さ約50kmで、M5.4の地震が発生した。この地震は太平洋プレートと陸のプレートの境界付近で発生したものである。

○ 4月27日に、根室半島南東沖の深さ約80kmで、M5.9の地震が発生した。発震機構は北北西−南南東方向に張力軸を持つ正断層型で、太平洋プレート内部で発生したものである。 補足説明へ

(2) 東北地方

○ 4月3日に、青森県東方沖の深さ約60kmで、M5.4の地震が発生した。この地震は太平洋プレート内部で発生したものである。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○ 4月10日に、千葉県南部の深さ約100kmで、M4.5の地震が発生した。この地震は太平洋プレート内部で発生したものである。

○ 4月16日に、福井・滋賀県境(福井県嶺南地方)の深さ約15kmで、M4.0の地震が発生した。

○ 4月20日に、埼玉県東部の深さ約60kmで、M4.0の地震が発生した。この地震は、フィリピン海プレート内部で発生したものである。

○ 三宅島付近から新島・神津島付近にかけての地震活動は、低調ながらも続いている。また、周辺のGPS観測によれば、地殻変動も、まだ完全な停止にまでは至っていない。

○ 4月3日に、静岡県中部の深さ約35kmでM5.1の地震が発生し、最大震度5強を観測し、被害を伴った(第86回地震調査委員会評価文参照)。余震活動は、その後も、時間とともに低下している。

○ 静岡県中部の、沈み込むフィリピン海プレート内の地震活動は、4月3日の静岡県中部の地震後、誘発されたと思われる微小地震の活動が、一時的に活発化したが、その後、減少に向かっている。一方、駿河湾及びその周辺の地殻内の地震活動はやや活動の低い状態が続いている。また、東海地方のGPS観測の結果には、従来の変化傾向から変わるものは見られていない。

○ 4月15日に、鳥島東方沖で、M6.4の浅い地震が発生した。発震機構は正断層型で、太平洋プレートの沈み込みに伴う地震である。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

○ 3月24日に発生した「平成13年(2001年)芸予地震」の余震活動は、引き続き次第に減衰している。

○ 2000年 10月6日に発生した「平成12年(2000年)鳥取県西部地震」の余震活動は、さらに減衰してきている。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

○ 4月25日に、日向灘の深さ約40kmで、M5.6の地震が発生した。発震機構は、ほぼ東西方向に張力軸を持つ型で、フィリピン海プレート内部で発生したものである。 補足説明へ




4 補足

○ 5月8日に、十勝支庁南部の深さ約50kmで、M4.5の地震があった。



2001年4月の地震活動の評価についての補足説明

平成13年5月9日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

日本及びその周辺域では、マグニチュード(M)4.0以上の地震の発生は46回(3月は51回、2000年末までの30年間の月平均は約46回。)観測された。この内、M5.0以上の地震の発生は10回(3月は6回)であった。
 また、M6.0以上の地震の発生は、1998〜2000年の間で、年に平均16回(2000年までの30年間の年平均は約16回)発生している。2001年は1月〜4月までに、4回発生している。
2000年4月以降2001年3月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

 −北海道胆振支庁(有珠山周辺)
2000年3月30日M4.3(深さ約10km以浅)及び4月1日M4.6(深さ約10km以浅)を始めとする火山活動に関連する地震活動
−千葉県北東部2000年6月3日M6.1*)(深さ約50km)
−石川県西方沖2000年6月7日M6.1(深さ20km以浅)
−熊本県熊本地方2000年6月8日M4.8(深さ約10km)
−三宅島付近から新島・神津島付近にかけて
2000年6月末から同年9月までマグマ活動に関連する活発な地震活動が継続。7月1日M6.4(深さ約10km)及び7月30日M6.5*)(深さ約10km)。
−茨城県沖2000年7月21日M6.4*)(深さ約50km)
−鳥取県西部「平成12年(2000年)鳥取県西部地震」
2000年10月6日M7.3*)(深さ約10km)
−西表島付近2000年11月14日M4.4 (深さ約10km)
−新潟県中越地方 2001年1月2日M4.4(深さ約10km)
−新潟県中越地方(1月2日の地震から南南東に40kmのところ)
2001年1月4日M5.1(深さ約10km)
−兵庫県北部2001年1月12日M5.4(深さ約10km)
−新島・神津島付近2001年2月13日M3.9(深さ約10km)
−安芸灘「平成13年(2001年)芸予地震」
2001年3月24日M6.7*)(深さ約50km)
*) 第3項参照。

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

− 4月30日に、北海道東方沖でM5.2の地震。

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(2) 東北地方

「4月3日に、青森県東方沖の深さ約60kmで、M5.4の地震が発生した。この地震は太平洋プレート内部で発生したものである。」:
 余震活動は減衰しており、その後、特に活発化する傾向はない。この地震の北東から南東の海域にかけては、1931年(M7.6)、1968年(M7.9)、1994年(M7.6*))、1995年(M7.2*))と過去にM7クラスの地震が取り囲むように発生している。今回の地震を中心とした半径約25kmの範囲では、1926年以降M5.0以上の地震の発生はなかった。
*) 第3項参照。

− 4月12日に、福島県沖でM5.0の地震。この地震の沖合50kmのところで、2月25日にM5.8の地震が発生している。

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(3) 関東・中部地方

「静岡県中部の、沈み込むフィリピン海プレート内の地震活動は、4月3日の静岡県中部の地震後、誘発されたと思われる微小地震の活動が、一時的に活発化したが、その後、減少に向かっている。一方、駿河湾及びその周辺の地殻内の地震活動はやや活動の低い状態が続いている。また、東海地方のGPS観測の結果には、従来の変化傾向から変わるものは見られていない。」:
静岡県中部のフィリピン海プレート内の地震(M1.5以上)の発生頻度が、1999年8月以降、それより前の平均(30日当り6回程度)以上となることが連続することなく三度あったものの、全体としては平均より少ない状態が続いていた。しかし、2000年10月15日からは30日当り9回、10回、7回と平均を超えた状態が連続し、その後、5回、10回と推移している。その後の4月3日の地震を含む最新の区間(2001年3月14日から4月12日)は10回であった。なお、4月3日の地震で誘発された微小地震の大部分はM1.5未満である。
(なお、本評価結果は、4月27日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合会における見解(参考参照)と同様である。)
(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成13年4月27日気象庁地震火山部)
「 東海地域においては、4月3日に静岡県中部の深さ33kmでM5.1の地震が発生し、静岡県内で最大震度5強のゆれを観測しました。静岡県中部でM5以上の地震が発生したのは、1965年4月21日(M6.1)以来でした。今回の地震は沈み込むスラブの上面付近で発生し、最大M4.0の余震を伴いましたが、余震活動は順調に減衰していることから、今回の地震が直ちに東海地震に結びつく恐れはないと考えています。
一方この地震の発生をきっかけとしてスラブ内では余震域の周辺で地震活動の一時的な活発化が認められました。スラブ内の地震活動はその後減少に向かっていますが、今後の活動については、しばらく推移を見守る必要があります。駿河湾及びその西岸域の地殻内の地震活動については、今回の地震に伴う変化は観測されず、やや活動の低い状態が依然として継続しているように見えます。
 地震に伴って震源の周辺で体積歪計に歪のステップが観測され、一部の観測点では余効変化が観測されていますが、観測点周辺の局所的な変化と考えられ、異常な地殻変動に結びつくものとは考えられません。」

  − 富士山付近の深さ15km前後で、低周波地震が4月30日頃から増加した(最大は、M2.3)。

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(4) 近畿・中国・四国地方

「2000年 10月6日に発生した「平成12年(2000年)鳥取県西部地震」の余震活動は、さらに減衰してきている。」:
 鳥取県西部地震により地震活動が誘発された東側と西側の領域では、それぞれ、M2.0以上の地震が1回ずつ発生した。

  − 4月3日に周防灘の深さ約70kmのフィリピン海プレート内部でM4.4の地震。

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(5) 九州・沖縄地方

4月については特に補足する事項はないが、期間外の5月になってから次の活動があった。
  − 5月7日に、大分県西部で、M3.2を最大とする地震活動。

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3 マグニチュードについて

気象庁は、平成13年4月23日に、気象庁マグニチュードの一貫性を保つために従来の決定方式を見直し、1994年の観測網の変更に伴う影響を補正する新しい方式を導入することとした。方式の見直し過程において、1994年以降に発生した地震のうち下の17地震については、観測網変更以前のマグニチュード決定方式が忠実に再現できたと考えられるため、その値をもって気象庁マグニチュードの値を修正した。1994年以降のこれ以外の地震についても、新しい方式に則った修正が行われる予定である。
 地震調査委員会では、今後とも気象庁マグニチュードを評価文のマグニチュードとして採用することとし、上記修正に伴い、これまでに発生した地震のマグニチュードを次のとおり修正することとする。

発生年月日時分 これまでの
マグニチュードの値 
修正後
1994/10/04 22:22 北海道東方沖地震 8.1 8.2
1994/12/28 21:19 三陸はるか沖地震 7.5 7.6
1995/01/07 07:37 岩手県沖 7.1 7.2
1995/01/17 05:46 兵庫県南部地震 7.2 7.3
1996/02/17 00:22 福島県東方沖  6.5 6.8
1996/09/11 11:37 銚子付近 6.2 6.4
1996/10/19 23:44 日向灘 6.6 6.9
1996/12/03 07:17 日向灘 6.6 6.7
1997/06/25 18:50 山口県北部 6.3 6.6
1999/01/24 09:37 種子島近海 6.2 6.6
2000/01/28 23:21 根室半島南東沖 6.8 7.0
2000/06/03 17:54 銚子付近(千葉県北東部) 6.0 6.1
2000/07/15 10:30 新島・神津島近海 6.3 6.3(変わらなかった)
2000/07/21 03:39 茨城県沖 6.0 6.4
2000/07/30 21:25 三宅島近海 6.4 6.5
2000/10/06 13:30 鳥取県西部地震 7.3(暫定) 7.3
2001/03/24 15:27 芸予地震 6.4 6.7

  今回の補足説明で*)をつけたマグニチュードの値は修正後のものである。




参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
M6.0以上のもの。又は、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3を超えるもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。