平成13年3月14日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2001年2月の地震活動の評価


1 主な地震活動

2月13日に、新島・神津島近海の深さ約10kmで、マグニチュード(M)3.9の地震が発生し、最大震度5弱を観測した。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動


(1) 北海道地方

2月26日にオホーツク海南部の深さ約420kmでM6.2の深発地震が発生した。この地震は沈み込む太平洋プレート内に発生したものである。 補足説明へ

(2) 東北地方

2月25日に福島県沖の深さ約20kmでM5.8の地震が発生し、26日にはほぼ同じ場所でM5.4の最大余震が発生した。発震機構は、いずれも、西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。余震活動は、徐々に減衰してきている。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○ 2月2日に、神奈川・山梨県境の深さ約20kmで、M4.2の地震が発生した。

○ 2月13日に、新島・神津島近海(式根島の西約5km)の深さ約10kmで、M3.9の地震が発生し、最大震度5弱を観測した。この地震は、三宅島付近から新島・神津島付近にかけて低調ながら続いている地震活動の一つである。この地震の発生後においても当該地震活動に大きな変化は見られていない。また、この付近のGPS観測にも変化は見られず、まだ完全な停止にまでは至っていない。

○ 2月23日に、静岡県西部(浜名湖付近)の深さ約40kmで、M4.9の地震が発生した。発震機構の張力軸の方向はこの付近の過去の地震と同じであった。

○ 静岡県中部の、沈み込むフィリピン海プレート内の地震活動は、1999年8月以来、低い活動レベルの状態が続き、2000年10月頃からは回復傾向が見え始めた。その後、消長を繰り返しながら定常的な活動レベルに戻りつつあるように見え、2月においても同様である。また、駿河湾及びその周辺の地殻内の地震活動はやや活動の低い状態が続いている。一方、東海地方のGPS観測及び水準測量の結果には、従来の変化傾向から変わるものは見られていない。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

○ 2000年12月から続いている兵庫県北部(鳥取県との県境付近)の地震活動は、2月においても本震−余震型で推移しており、M3.9の地震2回を含む余震活動があったものの、次第に減衰している。

○ 2月8日に、徳島県南部の深さ約15kmで、M4.2の地震が発生した。

○ 2月11日に、島根県東部の深さ約15kmで、M4.3の地震が発生した。これは、2000年 10月6日に発生した「平成12年(2000年)鳥取県西部地震」(M7.3(暫定))の余震である。M7.3(暫定)の余震活動は、1月よりさらに低下してきており、誘発された地震活動も同様である。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

○ 2月8日に、宮古島近海(宮古島の南約50km)で、M5.8の地震が発生した。この地震の発生前後にはこの付近で地震活動がやや活発であった。その後、発生頻度は減少したものの、地震活動は継続している。 補足説明へ





2001年2月の地震活動の評価についての補足説明

平成13年3月14日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

日本及びその周辺域では、マグニチュード(M)4.0以上の地震の発生は45回(1月は44回、2000年末までの30年間の月平均は約46回。)観測された。この内、M5.0以上の地震の発生は5回(1月は5回)であった。
 また、M6.0以上の地震の発生は、1998〜2000年の間で、年に平均16回(2000年までの30年間の年平均は約16回)発生している。2001年2月は、オホーツク海南部で1回発生している。
2000年2月以降2001年1月末までの主な地震活動として次のものがあった。



   −北海道胆振支庁(有珠山周辺)
2000年3月30日M4.3(深さ約10km以浅)及び4月1日M4.6(深さ約10km以浅)を始めとする火山活動に関連する地震活動
−千葉県北東部 2000年6月3日M6.0(深さ約50km)
−石川県西方沖 2000年6月7日M6.1(深さ20km以浅)
−熊本県熊本地方 2000年6月8日M4.8(深さ約10km)
−三宅島付近から新島神津島付近にかけて
2000年6月末から同年9月までマグマ活動に関連する活発な地震活動が継続。7月1日M6.4(深さ約10km)及び7月30日M6.4(深さ約10km)。
−茨城県沖 2000年7月21日M6.0(深さ約50km)
−鳥取県西部 2000年10月6日M7.3(暫定)(深さ約10km)
−西表島付近 2000年11月14日M4.4 (深さ約10km)
−新潟県中越地方  2001年1月2日M4.4(深さ約10km)
−新潟県中越地方 (1月2日の地震から南南東に40kmのところ)
2001年1月4日M5.1(深さ約10km)
−兵庫県北部 2001年1月12日M5.4(深さ約10km)

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

北海道地方では、特に補足する事項はない。

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(2) 東北地方

東北地方では、特に補足する事項はない。

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(3) 関東・中部地方

「2月2日に、神奈川・山梨県境の深さ約20kmで、M4.2の地震が発生した。」:
発震機構は北北西−南南東方向に圧力軸を持つ型であった。この付近は、沈み込むフィリピン海プレートと陸側のプレートの境界付近にあたる。余震活動は2月上旬で収まっている。
「2月23日に、静岡県西部(浜名湖付近)の深さ約40kmで、M4.9の地震が発生した。発震機構の張力軸の方向はこの付近の過去の地震と同じであった。」:
この地震は、フィリピン海プレート内で発生したものである。
「静岡県中部の、沈み込むフィリピン海プレート内の地震活動は、1999年8月以来、低い活動レベルの状態が続き、2000年10月頃からは回復傾向が見え始めた。その後、消長を繰り返しながら定常的な活動レベルに戻りつつあるように見え、2月においても同様である。また、駿河湾及びその周辺の地殻内の地震活動はやや活動の低い状態が続いている。」:
静岡県中部のフィリピン海プレート内の地震(M1.5以上)の発生頻度が、1999年8月以降、それより前の平均(30日当り6回程度)以上となることが連続することなく三度あったものの、全体としては平均より少ない状態が続いていた。しかし、10月15日からは30日当り9回、10回、7回と平均を超えた状態が連続した。1月13日から2月11日までの30日では5回となった。
(なお、本評価結果は、2月26日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合会における見解(参考参照)と同様である。)
(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成13年2月26日気象庁地震火山部)
「 東海地域においては、一昨年以来潜り込むスラブ内において地震活動の低下が見られましたが、地震発生数は多少の消長を繰り返しながら定常的なレベルに戻りつつあるように見えます。
 駿河湾及びその西岸域の地殻内の地震活動については、やや活動の低い状態が依然として継続していると考えられます。
 2月23日には浜名湖付近でM4.9の地震が発生しましたが、この地震は沈み込むフィリピン海プレート内部で発生した地震と考えられます。発震機構はこの付近でよく見られるタイプでした。また余震の発生も少なく、東海地域の地殻変動にも注目すべき特別な変化は観測されていません。」
他に次の地震活動があった。
− 富士山付近の深さ15km前後で、2000年10月以降急増した微小な低周波地震の回数は、2000年10月〜12月と比べ減少しているものの、通常に比べるとやや多い状態となっている。2月は1月と同程度であった。

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(4) 近畿・中国・四国地方

「2月8日に、徳島県南部の深さ約15kmで、M4.2の地震が発生した。」:
発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ型であった。

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(5) 九州・沖縄地方

「2月8日に、宮古島近海(宮古島の南約50km)で、M5.8の地震が発生した。この地震の発生前後にはこの付近で地震活動がやや活発であった。その後発生頻度は減少したものの、地震活動は継続している。」:
7日から9日にかけてM4.5以上3回を含む地震活動(60回程度発生)。2月下旬にもM4.7の地震。
その他、次の地震活動があった。
− 2月9日に、別府湾付近でM3.3の地震。
− 与那国島付近(与那国島の北東約50km)で、2月21日にM4.9の地震。2月14日にも21日の地震からさらに北東に約70km離れた海域でM4.4の地震。

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(6) 訂正

「宮城県沖地震の長期評価」(平成12年11月27日付、地震調査研究推進本部地震調査委員会)の「説明」の「2−3 将来の活動」の記述(数字)に誤りがありましたので訂正します。なお、この訂正による評価結果の変更はありません。
訂正個所は、「説明」の「2−3 将来の活動」の節の第2段落後半部分(印刷物では本文7ページ、上から24行目)。
誤:対数標準偏差 σ=0.197
正:対数標準偏差 σ=0.176

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
M6.0以上のもの。又は、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3を超えるもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。