平成13年6月13日 |
地震調査研究推進本部 |
地震調査委員会 |
2001年5月の地震活動の評価
目立った活動はなかった。 補足説明へ
○ 5月8日に、十勝支庁南部の深さ約55kmで、M4.6の地震が発生した。発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。この地震は沈み込む太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生したものである。
○ 5月25日に、択捉島付近で、M6.6の浅い地震が発生した。この地震は太平洋プレートの沈み込みに伴うものと考えられる。 補足説明へ
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○ 5月24日に、茨城県南部の深さ約75kmで、M4.2の地震が発生した。この地震は太平洋プレートの沈み込みに伴うものと考えられる。
○ 5月25日に、千葉県北東部の深さ約50kmで、M4.8の地震が発生した。発震機構は東西方向に圧力軸をもつ逆断層型であった。この地震は沈み込むフィリピン海プレートと太平洋プレートの境界付近で発生したものである。この付近では、2000年6月3日にM6.1の地震が発生している。
○ 5月31日に、茨城県南西部(茨城県南部)の深さ約55kmで、M4.5の地震が発生した。この地震は沈み込むフィリピン海プレートの内部で発生したものである。
○ 三宅島付近から新島・神津島付近にかけての海域では、5月1日に神津島の東方海域の深さ約10kmで発生したM4.2の地震を含め、M3.0以上の地震が7回発生した。この付近でM4.0以上を観測したのは、2000年10月以来であり、5月以降の地震活動は、6月初めの地震活動(補足参照)も含め、昨年10月以来の中ではやや活発であったといえる。一方、周辺のGPS観測によれば、最近の地殻変動は、まだ完全な停止まではいたっていないものの、変化傾向は一定であり、今回の活動に伴う新たな変化は見出されていない。
○ 静岡県中部の、沈み込むフィリピン海プレート内の地震活動は、4月3日の地震の発生によりその余震域の周辺で地震活動の一時的な活発化が認められたが、その後減少し、ほぼ平常の状態に戻った。5月31日に、4月3日の余震域の範囲内でM4.1の地震が発生し、それに伴って、地震活動が活発化した(補足参照)。
一方、駿河湾及びその周辺の地殻内の地震活動はやや活動の低い状態が続いている。また、東海地方のGPS観測及び水準測量の結果には、従来の変化傾向から変わるものは見られていない。 補足説明へ
目立った活動はなかった。 補足説明へ
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○ 6月3日に、新島・神津島近海(神津島北端部)の深さ約10kmで、M4.6の地震があり、神津島北部を中心に一時地震活動が活発化した。
○ 4月3日に発生したM5.1の静岡県中部の地震の余震活動は、その後時間とともに低下し、下旬にはほとんど収まっていた。5月31日にM4.1の地震、さらに6月1日にM4.8の地震が発生し、6月3日まで地震活動が活発となった。5月31日からの活動は、4月3日のM5.1の地震の南東側に隣接し、沈み込むフィリピン海プレート内部で発生したものである。主な地震の発震機構は、東西方向に張力軸を持つ型で、4月3日の地震とほぼ同じ型である。
5月31日からの地震活動は、4月3日の地震を本震とする余震域の中で、誘発されたものと考えられる。また、過去の日本及びその周辺で発生した地震の平均に比べると大きめの余震の発生が多い傾向がある。
この地域では過去のデータによると、今回のように、短期間(3〜4日間)に、同じ場所でM4クラスが続けて発生したことはない。
現在まで、周辺地域で特段異常な地殻変動は観測されていない。
平成13年6月13日 |
地震調査委員会 |
日本及びその周辺域では、マグニチュード(M)4.0以上の地震の発生は56回(4月は46回、2000年末までの30年間の月平均は約46回。)観測された。この内、M5.0以上の地震の発生は2回(4月は10回)であった。
また、M6.0以上の地震の発生は、1998〜2000年の間で、年に平均16回(2000年までの30年間の年平均は約16回)発生している。2001年は1月〜5月までに、5回発生している。
2000年5月以降2001年4月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。
−千葉県北東部 | 2000年6月3日M6.1(深さ約50km) | |
−石川県西方沖 | 2000年6月7日M6.1(深さ20km以浅) | |
−熊本県熊本地方 | 2000年6月8日M4.8(深さ約10km) | |
−三宅島付近から新島・神津島付近にかけての地域 | ||
2000年6月末から同年9月までマグマ活動に関連する活発な地震活動が継続。7月1日M6.4(深さ約10km)及び7月30日M6.5(深さ約10km)。 | ||
−茨城県沖 | 2000年7月21日M6.4(深さ約50km) | |
−鳥取県西部「平成12年(2000年)鳥取県西部地震」 | ||
2000年10月6日M7.3(深さ約10km) | ||
−西表島付近 | 2000年11月14日M4.4 (深さ約10km) | |
−新潟県中越地方 | 2001年1月2日M4.4(深さ約10km) | |
−新潟県中越地方 | (1月2日の地震から南南東に40kmのところ) | |
2001年1月4日M5.1(深さ約10km) | ||
−兵庫県北部 | 2001年1月12日M5.4(深さ約10km) | |
−新島・神津島付近 | 2001年2月13日M3.9(深さ約10km) | |
−安芸灘「平成13年(2001年)芸予地震」 | ||
2001年3月24日M6.7(深さ約50km) | ||
−静岡県中部 | 2001年4月3日M5.1(深さ約35km) |
「5月25日に、択捉島付近で、M6.6の浅い地震が発生した。この地震は太平洋プレートの沈み込みに伴うものと考えられる。」:
余震活動は、減衰しており5月末には収まっている。この付近では、1994年10月4日に北海道東方沖地震(M8.2)、また1995年12月4日に択捉島付近の地震(M7.2)が発生している。
東北地方では、特に補足する事項はない。
「5月25日に、千葉県北東部の深さ約50kmで、M4.8の地震が発生した。発震機構は東西方向に圧力軸をもつ逆断層型であった。この地震は沈み込むフィリピン海プレートと太平洋プレートの境界付近で発生したものである。この付近では、2000年6月3日にM6.1の地震が発生している。」:
この地域では、2000年6月3日のM6.1の地震以降、その余震活動も含め、従来に比べて、地震活動のレベルが高まっている。
「静岡県中部の、沈み込むフィリピン海プレート内の地震活動は、4月3日の地震の発生により余震域の周辺で地震活動の一時的な活発化が認められたが、その後減少し、ほぼ平常の状態に戻った。5月31日に、4月3日の地震活動域の範囲内でM4.1の地震が発生し、それに伴って、地震活動が活発化した(補足参照)。」:
静岡県中部のフィリピン海プレート内の地震(M1.5以上)の発生頻度が、1999年8月以降、それより前の平均(30日当り6回程度)以上となることが連続することなく三度あったものの、全体としては平均より少ない状態が続いていた。しかし、2000年10月15日からは30日当り9回、10回、7回と平均を超えた状態が連続し、その後、5回、10回、10回と推移している。最新の区間(2001年4月13日から5月12日)は9回であった。
(補足)「4月3日に発生したM5.1の静岡県中部の地震の余震活動は、その後時間とともに低下し、下旬にはほとんど収まっていた。 ・・・(略)・・・
5月31日からの地震活動は、4月3日の地震を本震とする余震域の中で誘発されたものと考えられる。また、過去の日本及びその周辺で発生した地震の平均に比べると大きめの余震の発生が多い傾向がある。」:
5月31日以降の活動は、4月3日の地震を本震とする本震−余震型の活動の中に含まれると考えることもできる。この場合でも、過去の日本及びその周辺で発生した地震の平均に比べると大きめの余震の発生が多い傾向がある。
− 富士山付近の深さ15km前後で、低周波地震が4月30日頃から5月上旬にかけて増加した。
なお、期間外の6月になってから次の活動があった。
− 6月5日から7日頃にかけて、栃木県北部(日光白根山付近)でM3.1を最大とする地震活動。この場所は、3月31日に、栃木・群馬県境で発生したM4.9の地震の南東約4kmに位置している。
近畿・中国・四国地方では、次のような地震活動があった。
− 2000年 10月6日に発生した「平成12年(2000年)鳥取県西部地震」の余震活動は、減衰している。
− 3月24日に発生した「平成13年(2001年)芸予地震」の余震活動は、減衰している。
− 5月29日から6月上旬にかけて和歌山・奈良県境付近の深さ約15kmでM3.6を最大とする地震活動。
中国地方から四国地方にかけてのフィリピン海プレート内部で次の地震がそれぞれ発生。
− 5月9日と12日に愛媛県南予地方の深さいずれも約45kmで、それぞれM4.1とM4.0の地震
− 5月16日に広島県南部の深さ約45kmでM4.2の地震。
− 5月27日に安芸灘の深さ約55kmでM4.0の地震。
九州・沖縄地方では、次の活動があった。
− 5月7日から8日にかけて、大分県西部で、M3.2を最大とする地震活動。
− 5月7日に、沖縄本島近海の深さ約50kmで、M4.8の地震。
ア 「生駒断層帯の評価」(平成13年5月15日付、地震調査研究推進本部地震調査委員会)の「本文」の「注2」の記述(数字)に誤りがありましたので訂正します。
訂正個所は、p.6の「注2」の表中の「1858年飛越地震」及び「1847年善光寺地震」の「断層の平均活動間隔」。
「1858年飛越地震」
誤:約2.5
正:約1.9−約3.3
「1847年善光寺地震」
誤:約1.1
正:約1.0−約1.2
イ 「糸魚川−静岡構造線断層帯(北部、中部)を起震断層と想定した強震動評価手法について(中間報告)」(平成13年5月25日付、地震調査研究推進本部地震調査委員会強震動評価部会)の「説明」の図4の記述(数式)及び「付録:震源の特性化の手続き」の記述(数式)に誤りがありましたので訂正します。
訂正個所は、p.17の上から3行目。
誤:Mo=2.23×10−15×S2/3
正:S=2.23×10−15×Mo2/3
p.36の下から14行目。
誤:S=2.23×10−15×Mo
正:S=2.23×10−15×Mo2/3
ウ 「長期的な地震発生確率の評価手法について」(平成13年6月8日付、地震調査研究推進本部地震調査委員会)の「付録」(地震調査委員会事務局作成)の記述(文中の数式)に誤りがありましたので訂正します。
訂正個所は、p.6の19行目。
誤:1−(1−0.03)25=約0.52
正:(1−0.03)25=約0.52
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