平成13年2月14日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2001年1月の地震活動の評価


1 主な地震活動

1月2日に、新潟県中越地方の深さ約10kmで、マグニチュード(M)4.4の地震が発生した。また、1月4日にも、2日の地震から南南東約40kmの深さ10kmでM5.1の地震が発生した。共に最大震度5弱を観測した。1月12日には、兵庫県北部の深さ約10kmで、M5.4の地震が発生し、最大震度4を観測し、被害を伴った。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動


(1) 北海道地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(2) 東北地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○ 1月2日に、新潟県中越地方の深さ約10kmでM4.4の地震が発生した。発震機構は、北西−南東方向に圧力軸をもつ逆断層型であった。また、1月4日にも、新潟県中越地方(2日の地震の震源から南南東に約40km離れた場所)の深さ約10kmでM5.1の地震が発生した。発震機構は、東西方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。これらは相互に直接の関係はないと考えられる。その後、前者では、1月中旬以降M2.9を最大として微小地震が平均して3日に1回程度発生した。後者では、1月中旬にM3.9が発生し、一時活発な時期があったものの、下旬は微小地震が3回発生したに止まっている。

○ 1月6日に、岐阜県美濃東部(岐阜・愛知県境)の深さ約50kmでM4.6の地震が発生した。この地震は沈み込むフィリピン海プレート内部で発生したものである。

○ 三宅島付近から新島・神津島付近にかけての2000年6月末からの地震活動は、1月3日に三宅島南南西約25kmでM3.6の地震が発生するなど、低調ながら続いている。また、GPS観測における変化も、まだ完全な停止にまでは至っていない。

○ 静岡県中部の、沈み込むフィリピン海プレート内の地震活動は、1999年8月以来、低い活動レベルの状態が続いたが、2000年12月頃からは回復傾向が見え、消長を繰り返しながら定常的な活動レベルに戻りつつあるように見える。一方、東海地方のGPS観測の結果には、従来の変化傾向から変わるものは見られていない。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

○ 1月12日に、兵庫県北部(鳥取県との県境付近)の深さ約10kmで、M5.4の地震が発生した。発震機構は、北北西−南南東方向に圧力軸を持つ横ずれ型であった。1月20日には、M5.4の地震の震央の北北西約4kmにM4.7の地震が発生した。2000年12月から微小地震の活動として始まった今回の活動は、M5.4の地震発生後には活発化したが、全体としては、前震−本震−余震型で推移している。

 今回の活動域は、東西方向に約6km、北西−南東方向に約7kmの範囲に広がっている。しかし、地震は複雑に分布していることから、M5.4の地震に誘発された地震活動が含まれているものと考えられる。GPS観測の結果には、M5.4の発生時に変化は認められず、その後においても、明瞭な変化は認められていない。以上のことから、今後もM4クラス(最大震度4)の地震発生も見込まれるものの、その可能性は時間とともに低下していくと考えられる。

○ 1月25日に、徳島県北部の深さ約50kmで、M4.4の地震が発生した。この地震は沈み込むフィリピン海プレート内部で発生したものである。

○ 2000年10月6日に発生した「平成12年(2000年)鳥取県西部地震」(M7.3(暫定))の余震活動は、1月に入ってからは、22日にM3.7の余震が余震域北部で発生したが、12月よりさらに低下してきている。また、余震域の西南西約25km付近と東北東約30km付近で発生していた、M7.3(暫定)の地震に誘発された地震活動も、同様である。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ




4 (6)その他の地域

1月14日に、父島の南約600kmで、M6.2の地震(やや深発地震)が発生した。この付近では、2000年3月28日にM7.6の地震が発生している。


5 補足

○ 2月2日に、神奈川県西部の深さ約20kmで、M4.2の地震が発生した。

○ 2月8日に、徳島県南部の深さ約15kmで、M4.2の地震が発生した。

○ 2月8日に、宮古島近海で、M5.8の地震が発生した。

○ 2月11日に、島根県東部の深さ約15kmで、M4.3の地震(「平成12年(2000年)鳥取県西部地震」の余震)が発生した。

○ 2月13日に、新島・神津島近海(式根島の西約4km)のごく浅いところで、M3.9の地震が発生し、震度5弱を観測した。三宅島付近から新島・神津島付近にかけて低調ながら続いている地震活動の一つであり、この地震の発生後に地震活動に大きな変化は見られない。



2001年1月の地震活動の評価についての補足説明

平成13年2月14日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

日本及びその周辺域では、マグニチュード(M)4.0以上の地震の発生は44回(12月は43回、2000年末までの30年間の月平均は約46回。)観測された。この内M5.0以上の地震の発生は5回(12月は4回)であった。
 また、M6.0以上の地震の発生は、1998〜2000年の間で、年に平均16回(2000年までの30年間の年平均は約16回)発生している。2001年1月は、父島近海で1回発生している。
 2000年1月以降2000年12月末までの主な地震活動として次のものがあった。

   −北海道東方沖 2000年1月28日M6.8(深さ約60km)
−北海道胆振支庁(有珠山周辺)
2000年3月30日M4.3(深さ約10km以浅)及び4月1日M4.6(深さ約10km以浅)を始めとする火山活動に関連する地震活動
−千葉県北東部 2000年6月3日M6.0(深さ約50km)
−石川県西方沖 2000年6月7日M6.1(深さ20km以浅)
−熊本県熊本地方 2000年6月8日M4.8(深さ約10km)
−三宅島付近から新島・神津島付近にかけて
2000年6月末から同年9月までマグマ活動に関連する活発な地震活動が継続。
7月1日M6.4(深さ約10km)及び7月30日M6.4(深さ約10km)。
−茨城県沖 2000年7月21日M6.0(深さ約50km)
−鳥取県西部 2000年10月6日M7.3(暫定)(深さ約10km)
−西表島付近 2000年11月14日M4.4 (深さ約10km)

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

次の地震活動があった。
− 1月3日に北海道東方沖で、M5.6の地震。震源は1994年北海道東方沖地震の余震域の東端付近。

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(2) 東北地方

東北地方では、特に補足する事項はない。

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(3) 関東・中部地方

新潟県中越地方の2つの地震は「相互に直接の関係はないと考えられる。」:
2000年12月の地震活動の評価の補足に述べたように、これらの地震の規模がM4クラス及びM5クラスであること、並びに震源が相互に約40km離れていることから判断。なお、2月10日に、1月2日の地震の震源近傍でM3.6の地震。
「静岡県中部の、沈み込むフィリピン海プレート内の地震活動は、1999年8月以来、低い活動レベルの状態が続いたが、2000年12月頃からは回復傾向が見え、消長を繰り返しながら定常的な活動レベルに戻りつつあるように見える。」:
静岡県中部のフィリピン海プレート内の地震(M1.5以上)の発生頻度が、1999年8月以降、それより前の平均(30日当り6回程度)以上となることが連続することなく三度あったものの、全体としては平均より少ない状態が続いていた。しかし、10月15日からは30日当り9回、10回、7回と平均を超えた状態が連続した。1月13日から2月11日までの30日では5回となった。
(なお、本評価結果は、1月29日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合会における見解(参考参照)と同様である。)
(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成13年1月29日気象庁地震火山部)
「 東海地域においては、一昨年以来潜り込むスラブ内において地震活動の低下が見られましたが、地震発生数は多少の消長を繰り返しながら定常的なレベルに戻りつつあるように見えます。
 なお駿河湾及びその西岸域の地殻内の地震活動については、やや活動の低い状態が依然として継続していると考えられます。
 また、東海地域の地殻変動には注目すべき特別な変化は観測されていません。」
他に次の地震活動があった。
− 富士山付近の深さ15km前後で、2000年10月以降急増した微小な低周波地震は11月、12月も多い状態が続いたが、1月にはやや減少。

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(4) 近畿・中国・四国地方

(兵庫県北部の地震活動について)
− 今回の活動域では、1977年以降については、M3.0以上の地震を含む微小地震の活動は、1977年、1994年及び昨年(12月にM3.1及びM3.0の地震を含むやや活発な活動)にあった。
− 今回の活動域及びその周辺では、最近のGPS観測の結果では西北西−東南東方向又は東西方向に縮み傾向を示している。
− 今回の活動域から20km程度以内の範囲では、1926年以降、M5.0以上の地震は3回(そのうちの一つの1949年のM6.3の地震は今回の活動域の西に接した位置)発生している。これら3回の地震は、いずれも1943年に今回の活動域の西側に発生した「鳥取地震」(M7.2)の余震と考えられている。
− 今回の活動域の東約30kmでは1925年に「北但馬地震」(M6.8)、東約50kmでは1927年に「北丹後地震」(M7.3)が、それぞれ発生している。

他に次の地震活動があった。

− 1月9日に伊予灘で、M4.6の地震。

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(5) 九州・沖縄地方

次の地震活動があった。

− 1月10日に、熊本県阿蘇地方でM3.9の地震。
− 2000年10月2日にM5.7及びM5.2の地震が発生した奄美大島近海(悪石島付近)では、1月26日にM4.2を最大とする地震活動があった。
− 2000年11月半ばからの西表島付近の地震活動は、1月以降も低調ながら続いている。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
M6.0以上のもの。又は、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3を超えるもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。