平成13年12月12日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2001年11月の地震活動の評価


1 主な地震活動

目立った活動はなかった。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動


(1) 北海道地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(2) 東北地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○ 11月17日に千葉県北西部の深さ約75kmで、マグニチュード(M)4.4の地震が発生した。

○ 三宅島付近から新島・神津島付近にかけての地震活動は、低調ながらも続いている。また、周辺のGPS観測によれば、最近の地殻変動も、まだ完全な停止まではいたっていない。

○ 駿河湾及びその周辺の地殻内の地震活動はやや活動レベルの低い状態が続いていたが、回復傾向が引き続き認められる。

東海地方のGPS観測結果に認められた、静岡県西部を中心とする地域での微小な変化は、その後も継続しているものの最近はやや鈍化したようにも見える。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

○ 5月下旬から、和歌山・奈良県境付近で、微小地震の活動が続いている(最大M3.6)。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

○ 11月24日に宮古島近海の深さ約70kmでM5.1の地震が発生した。この地震は、フィリピン海プレートの沈み込みに伴って発生した地震である。 補足説明へ


補足

○ 12月2日に、岩手県内陸南部の深さ約130kmでM6.4のやや深発地震が発生し、最大震度5弱を観測し、被害を伴った。この地震は、沈み込む太平洋プレート内部で発生した地震で、二重地震面の下面に位置する。発震機構は、沈み込む方向に張力軸を持つ型であった。余震活動は低調である。1926年以降、東北地方北部では、M6.0以上のやや深発地震は3回発生している。周辺のGPS観測によれば、顕著な地殻変動は見出されなかった。

○ 12月8日に、神奈川県西部の深さ約25kmでM4.5の地震が発生し、最大震度5弱を観測した。余震活動は低調である。

○ 12月8日に、福島・栃木県境(福島県中通り地方)の深さ約5kmで、M4.5の地震が発生した。

○ 12月9日に、奄美大島(奄美大島近海)の深さ約40kmで、M5.8の地震が発生し、最大震度5強を観測し、被害を伴った。この地震は、その震源位置から、陸側のプレート内部に発生した地震と考えられる。発震機構は、東西方向に圧力軸を持つ型であった。この地震に引き続き、震度1以上となる地震が12月9日に16回、10日に1回、11日に2回発生している。また、M5.8の地震の発生約20分前に、M4.0の地震が発生している。当該地震活動は、前震−本震−余震型の地震活動である。余震活動は、その後、消長を繰り返しながら減衰してきており、日本周辺の過去の平均的な余震の減衰の仕方とほぼ同じである。周辺のGPS観測では、M5.8の地震発生の前後及びその後において、顕著な地殻変動は見出されていない。

○ 12月9日に新島西方沖(新島・神津島近海)の深さ約10kmで、M4.5の地震が発生した。



2001年11月の地震活動の評価についての補足説明

平成13年12月12日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

日本及びその周辺域では、マグニチュード(M)4.0以上の地震の発生は47回(10月は45回、2000年末までの30年間の月平均は約46回。)観測された。この内、M5.0以上の地震の発生は10回(10月は6回)であった。
また、M6.0以上の地震の発生は、1998〜2000年の間で、年に平均16回(2000年までの30年間の年平均は約16回)発生している。11月には観測されていない。10月は1回観測されている。2001年は1月からこれまでに、9回発生している。
2000年11月以降2001年10月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

−西表島付近2000年11月14日M4.4 (深さ約10km)
−新潟県中越地方 2001年1月2日M4.4(深さ約10km)
−新潟県中越地方(1月2日の地震から南南東に40kmのところ)
2001年1月4日M5.1(深さ約10km)
−兵庫県北部2001年1月12日M5.4(深さ約10km)
−新島・神津島付近2001年2月13日M3.9(深さ約10km)
−安芸灘「平成13年(2001年)芸予地震」
2001年3月24日M6.7(深さ約50km)
−静岡県中部2001年4月3日M5.1(深さ約35km)

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

北海道地方では、次の地震活動があった。
− 11月4日に、北海道西方沖の深さ約220kmで、M5.4のやや深発地震。
− 11月18日に、択捉島付近で、M5.1の地震。
− 10月27日にM4.6とM4.7を含む地震活動があった十勝沖(釧路沖)で、11月22日に、M4.9の地震が発生し、その後、微小な地震の活動が続いている。この付近では、1952年にM8.2の十勝沖地震が発生している。
− 4月以降微小な地震の活動があった余市岳付近で、11月27日にM3.9(4月以降最大M)の地震。この地震を含め、微小な地震の活動が続いている。

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(2) 東北地方

東北地方では、次の地震活動があった。
− 11月13日に、岩手県沖の深さ約50kmで、M4.7の地震。この付近では、過去約5年おきに同程度の規模の地震が発生している。
− 11月26日に、三陸沖で、M5.1の地震があり、その後、M4以上の余震6回を含む地震活動が続いている。

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(3) 関東・中部地方

「駿河湾及びその周辺の地殻内の地震活動はやや活動レベルの低い状態が続いていたが、回復傾向が引き続き認められる。
東海地方のGPS観測結果に認められた、静岡県西部を中心とする地域での微小な変化は、その後も継続しているものの最近はやや鈍化したようにも見える。」:

長期的に見ると1996年頃からやや地震の発生頻度が低下し、2000年10月頃からさらに低下していたが、最近半年程度で見ると、地殻内の地震活動は、若干、発生頻度が高くなっているように見える。11月も引き続きその傾向が続いている。
東海地方から中部地方にかけての太平洋側は、フィリピン海プレートの北西方向への沈み込みなどにより、西北西にほぼ一定速度で移動しているが、GPS観測結果では、静岡県西部を中心とする地域において、2001年4月頃から、やや変化している傾向が見られるようになり、11月に入っても継続している。しかしながら、最近、その変化はやや鈍化しているようにも見える。

(なお、本評価結果は、11月26日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合会における見解(参考参照)と同様である。)
(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成13年11月26日気象庁地震火山部)
「東海地域においては、本年に入りスラブ内の地震活動はやや多い状態が続いていましたが、最近は少し落ち着いてきました。
駿河湾及びその西岸域の地殻内の地震活動については、活動の低い状態が継続していましたが、最近はやや増加の傾向が認められます。
また、東海地域及び周辺の地殻変動には、国土地理院の観測によれば長期的には引き続き変化が認められますが最近はやや鈍化したようにも見えます。地殻変動に関しては東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。」

関東・中部地方では、その他、次の活動があった。
− 11月12日に、東海道沖の深さ約380kmでM5.7の深発地震。

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(4) 近畿・中国・四国地方

「5月下旬から、和歌山・奈良県境付近で、微小地震の活動が続いている(最大M3.6)。」:
5月下旬から続いている和歌山・奈良県境付近の深さ約10kmでの微小地震の活動(これまでの最大M3.6)は、11月に入っても、それまでの地震活動域の範囲で継続しており(11月の最大はM3.1)、11月上旬以降は、南側を中心に続いている。一連の活動の発生域は、南北約5km、東西約4kmに及び、西に緩やかに傾斜するような面状となっているが、活発なところとそうでないところがある。当該地域には顕著な地殻変動は見出されていない。

近畿・中国・四国地方では、その他、次の活動があった。
− 8月25日に発生した京都府南部の地震(M5.1)の余震活動は、減衰しながら続いている。

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(5) 九州・沖縄地方

九州・沖縄地方では、次の活動があった。
− 11月24日に、台湾付近でM5.2のやや深発地震。
− 11月25日に、石垣島南方沖でM5.6の地震。
− 11月29日に、台湾付近でM5.0の地震。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
M6.0以上のもの。又は、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。