平成13年4月11日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2001年3月の地震活動の評価


1 主な地震活動

3月24日に、安芸灘の深さ約50kmでマグニチュード(M)6.4の「平成13年(2001年)芸予地震」が発生し、最大震度6弱を観測した。この地震により死者2名を含む被害が発生した。3月26日にはほぼ同じ場所で、M5.0の地震が発生し、最大震度5強を観測した。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動


(1) 北海道地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(2) 東北地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○ 3月31日に、栃木・群馬県境の深さ約10kmで、M4.9の地震が発生した。発震機構は、北西−南東方向に圧力軸をもつ横ずれ型であった。余震活動は、4月1日にM3.9の余震が発生したものの、減衰してきている。

○ 三宅島付近から新島・神津島付近にかけての地震活動は、低調ながらも続いている。また、周辺のGPS観測によれば、地殻変動も収まりつつあるものの、まだ完全な停止にまでは至っていない。

○ 静岡県中部の、沈み込むフィリピン海プレート内の地震活動は、1999年8月以来、低い活動レベルの状態が続き、2000年10月頃からは回復傾向が見え始めた。その後、消長を繰り返しながら定常的な活動レベルに戻りつつあるように見え、最近は、平均的な活動レベルで推移している。また、駿河湾及びその周辺の地殻内の地震活動はやや活動の低い状態が続いている。一方、東海地方のGPS観測の結果には、従来の変化傾向から変わるものは見られていない。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

○ 3月24日に、「平成13年(2001年)芸予地震」が発生し、最大震度6弱を観測した。また、3月26日には、本震の震源とほぼ同じ場所で、これまでで最大のM5.0の余震が発生し、最大震度5強を観測した(第84回、第85回地震調査委員会評価文参照)。その後、余震活動は次第に減衰してきている。

○ 2000年12月から続いている兵庫県北部(鳥取県との県境付近)の地震活動は、3月にはM3.1の地震を含む余震活動があったものの、減衰してきている。

○ 2000年 10月6日に発生した「平成12年(2000年)鳥取県西部地震」(M7.3(暫定))の余震活動及び誘発された地震活動は、減衰してきている。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ




4 補足

○ 4月3日に、青森県東方沖の深さ約60kmで、M5.4の地震が発生した。

○ 4月3日に、静岡県中部の深さ約35kmでM5.1の地震が発生し、最大震度5強を観測し、被害を伴った。地震活動は、1時間程度はかなり活発であったが、その後、時間とともに低下してきており、M5.1の地震を本震とする本震−余震型で推移している。

  発震機構は、東西方向に張力軸を持つ型で、震源の深さからフィリピン海プレート内部で発生したものと考えられる。周辺のGPS観測による地殻変動には、この地震の前後で変化は見られていない。

○ 4月10日に、千葉県南部の深さ約100kmで、M4.5の地震が発生した。



2001年3月の地震活動の評価についての補足説明

平成13年4月11日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

日本及びその周辺域では、マグニチュード(M)4.0以上の地震の発生は51回(2月は45回、2000年末までの30年間の月平均は約46回。)観測された。この内、M5.0以上の地震の発生は6回(2月は5回)であった。
 また、M6.0以上の地震の発生は、1998〜2000年の間で、年に平均16回(2000年までの30年間の年平均は約16回)発生している。2001年は1月〜3月までに、3回発生している。
2000年3月以降2001年2月末までの主な地震活動として次のものがあった。

   −北海道胆振支庁(有珠山周辺)
2000年3月30日M4.3(深さ約10km以浅)及び4月1日M4.6(深さ約10km以浅)を始めとする火山活動に関連する地震活動
−千葉県北東部 2000年6月3日M6.0(深さ約50km)
−石川県西方沖 2000年6月7日M6.1(深さ20km以浅)
−熊本県熊本地方 2000年6月8日M4.8(深さ約10km)
−三宅島付近から新島神津島付近にかけての地域
2000年6月末から同年9月までマグマ活動に関連する活発な地震活動が継続。7月1日M6.4(深さ約10km)及び7月30日M6.4(深さ約10km)。
−茨城県沖 2000年7月21日M6.0(深さ約50km)
−鳥取県西部「平成12年(2000年)鳥取県西部地震」
2000年10月6日M7.3(暫定)(深さ約10km)
−西表島付近 2000年11月14日M4.4 (深さ約10km)
−新潟県中越地方  2001年1月2日M4.4(深さ約10km)
−新潟県中越地方 (1月2日の地震から南南東に40kmのところ)
2001年1月4日M5.1(深さ約10km)
−兵庫県北部 2001年1月12日M5.4(深さ約10km)
−新島・神津島付近 2001年2月13日M3.9(深さ約10km)

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

− 3月23日に、北海道東方沖でM5.8の地震。この地震が発生した場所は1994年の北海道東方沖地震の余震域の北東端にあたる。発震機構は北西−南東方向に圧力軸をもつ逆断層型であった。

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(2) 東北地方

− 3月25日に、三陸沖でM5.2の地震。
− 2月25日のM5.8の福島県沖の地震に伴う余震活動は、3月18日にM4.0の余震が発生したものの、徐々に減衰してきている。

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(3) 関東・中部地方

「静岡県中部の、沈み込むフィリピン海プレート内の地震活動は、1999年8月以来、低い活動レベルの状態が続き、2000年10月頃からは回復傾向が見え始めた。その後、消長を繰り返しながら定常的な活動レベルに戻りつつあるように見え、最近は、平均的な活動レベルで推移している。また、駿河湾及びその周辺の地殻内の地震活動はやや活動レベルの低い状態が続いている。一方、東海地方のGPS観測の結果には、従来の変化傾向から変わるものは見られていない。」:
静岡県中部のフィリピン海プレート内の地震(M1.5以上)の発生頻度が、1999年8月以降、それより前の平均(30日当り6回程度)以上となることが連続することなく三度あったものの、全体としては平均より少ない状態が続いていた。しかし、2000年10月15日からは30日当り9回、10回、7回と平均を超えた状態が連続した。その後、5回、10回と推移している。
(なお、本評価結果は、3月29日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合会における見解(参考参照)と同様である。)
(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成13年3月29日気象庁地震火山部)
「 東海地域においては、一昨年以来潜り込むスラブ内において地震活動の低下が見られましたが、地震発生数は多少の消長を繰り返しながら最近は平均的なレベルで推移しています。
 駿河湾及びその西岸域の地殻内の地震活動については、やや活動の低い状態が依然として継続していると考えられます。
 また、東海地域の地殻変動には注目すべき特別な変化は観測されていません。」

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(4) 近畿・中国・四国地方

「3月24日に、「平成13年(2001年)芸予地震」が発生し、最大震度6弱を観測した。」:
余震は、本震の破壊の開始点の南側に伸びる形で20km余りにわたって発生している。これまでの最大の余震は3月26日に発生したM5.0であり、余震活動域の北端部で発生している。また、現在の余震活動は余震活動域の南側の方が北側に比べ活発である。

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(5) 九州・沖縄地方

− 2月8日のM5.8の地震を最大とする宮古島近海の地震活動は、3月に入って発生頻度は減少してきている。

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(6) 補足

「4月3日に、静岡県中部の深さ約35kmでM5.1の地震が発生し、最大震度5強を観測し、被害を伴った。」:
過去の地震活動を見ると、1900年以降では、M6.0を越す地震としては、1917年にM6.3、1935年にM6.4、1965年にM6.1の地震が、それぞれ、いずれもこの地震の震源から30km以内で発生している。1966年以降ではM6.0以上の地震は発生していない。
「発震機構は、東西方向に張力軸を持つ型」:
破壊は平均的には正断層型であった。
(参考)この地震については、気象庁は、4月4日2時に以下のような「東海地域の地震・地殻活動に関する情報(種類:解説情報)」を発表している。
「4月3日23時57分頃、静岡県中部の深さ33kmでM5.1(暫定値)の地震がありました。この地震により、静岡県の静岡市で震度5強を観測したほか、島田市、岡部町、川根町で震度5弱、東海地方を中心に、関東地方から近畿地方にかけて震度1以上を観測しました。
震度1以上を観測した余震は、02時現在3回で、余震活動は順調に減衰しています。発震機構は、正断層型でフィリピン海プレート内部の地震と考えられます。なお、この地域では、1996年10月5日に川根付近でM4.3の地震が発生しており、今回の地震と同様の発震機構でした。
地殻変動については、地震と同時にステップ上の変化が観測されましたが、その後変化は観測されていません。
以上のことから、今回の地震は、想定される東海地震と結びつくものではないと判断しています。」

その他、以下の地震があった。
  − 4月3日に周防灘の深さ約70kmのフィリピン海プレート内でM4.4の地震。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
M6.0以上のもの。又は、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3を超えるもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。