平成12年3月8日 |
地震調査研究推進本部 |
地震調査委員会 |
2000年2月の地震活動について
目立った活動はなかった。 補足説明へ
2月19日に十勝支庁南部の深さ約55kmでマグニチュード(M)4.6の地震が発生した。発震機構は北西−南東方向に圧縮軸を持つ逆断層型であった。 補足説明へ
○ 2月11日に岩手県内陸南部(岩手・宮城・秋田県境付近)の深さ約10kmでM4.7の地震が発生した。その直後から微小地震が頻発し、発生回数は2月中に計約100回となった。しかし、2月末までで当該活動はほぼ収束した。M4.7の地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧縮軸を持つ逆断層型であった。
○ 2月16日に福島県沖の日本海溝の東側でM5.1の地震が発生した。 補足説明へ
○ 2月6日に栃木県北部の深さ約10kmでM4.1の地震が発生した。
○ 2月11日に山梨県東部の深さ約20kmでM4.2の地震が発生した。
○ 2月29日に新潟県沖の深さ約25kmでM4.3の地震が発生した。
○ 静岡県中部の、沈み込むフィリピン海プレート内の地震活動は、引き続き平均的な活動レベルより低い状態が続いている。また、東海地方のGPS観測の結果には従来の変化傾向から変わるものは見られない。 補足説明へ
目立った活動はなかった。 補足説明へ
2月28日に熊本県阿蘇地方の深さ約10kmでM4.1の地震が発生した。 補足説明へ
2月13日にウラジオストク付近の深さ約600kmでM6.3の地震(深発地震)が発生した。 補足説明へ
平成12年3月8日 |
地震調査委員会 |
「目立った活動はなかった。」:
日本及びその周辺域では、M4.0以上の地震の発生は42回(1月は44回)観測され、内M5.0以上の地震の発生は5回(1月は6回)で、M4.0以上の地震発生回数からみた今月の活動レベルは先月と同様であった。また、過去1年間には主な地震活動として次のものがあったが、これらの地震の活動域及びその周辺域では、2月に目立った活動は発生しなかった。
− 秋田県沿岸南部 1999年2月26日M5.1(深さ約20km)
− 新島・神津島近海 1999年3月14日M4.7(深さ10km以浅)、
1999年3月28日M5.0(深さ20km以浅)
− 釧路支庁中南部 1999年5月13日M6.4やや深発地震(深さ約100km)
− 和歌山県北部 1999年8月21日M5.4(深さ約70km)
− 台湾 1999年9月21日M7.7(米国地質調査所による。)
− 瀬戸内海中部 1999年10月30日M4.5(深さ約15km)
− 熊本県熊本地方(深さ約10km)、福井県沖(深さ約15km)及び
愛知県西部(深さ約50km)で1999年11月にM4を超える地震
− 根室半島南東沖 2000年1月28日M6.8(深さ約60km)
「十勝支庁南部の深さ約55km」:
当該震源付近は、沈み込む太平洋プレートと陸側のプレートとの間に当り、従来から地震活動がある場所である。
「発震機構は北西−南東方向に圧縮軸を持つ逆断層型」:
当該発震機構は、ほぼ同じ場所で発生した1998年12月のM4.6及び1999年2月のM4.7と同様であり、圧縮軸の向きは太平洋プレートの沈み込む向きに一致している。
なお、1月28日に北海道東方沖に発生したM6.8の地震の余震活動は、今月に入り最大M4.3が発生したものの、順調に低下してきている。
「岩手県内陸南部の深さ約10km」:
当該震源付近は、最近20年間では3〜4年に一度M4.0を超える地震が発生している。
「発震機構は西北西−東南東方向に圧縮軸を持つ逆断層型」:
当該発震機構の圧縮軸の向きは、当該震源付近の最近のGPSデータによる最大縮みのそれ(「日本の地震活動」追補版参照)と一致している。
「福島県沖の日本海溝の東側」:
当該震源付近は、M5.0以上の地震の発生は約50年ぶりである。発震機構は正断層型であった。なお、当該地震については、M3.0以上の余震は観測されていない。
「栃木県北部の深さ約10km」:
当該震源付近は、2〜3年に1回程度M4.0を越える地震が発生している場所である。
「山梨県東部の深さ約20km」:
当該震源付近は、沈み込んだフィリピン海プレートと陸側のプレートの境界付近に当る。
「新潟県沖の深さ約25km」:
当該震源付近は、半径20km程度の範囲に、M4.0以上の地震が1997年11月(M4.0)及び1998年4月(M4.5)に発生している。
「静岡県中部の、沈み込むフィリピン海プレート内の地震活動は、引き続き平均的な活動レベルより低い状態が続いている」:
静岡県中部のフィリピン海プレートの地震(M1.5以上)の発生頻度が、平均して1ヶ月に6回程度であったものが、1999年8月頃から1ヶ月に2〜4回の状態となり、2月も平均より少ない状態が継続している。(2月28日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合会における見解と同じである。)
この他、関東・中部地方では、次のような地震活動があった。
− 1999年1月下旬から始まった三重県中部の地震活動は、1999年11月頃には活動が低下していた。今月、一時地震活動が活発化し、活動域が北側に1〜2km広がった。ただし、最大の地震でもM3.0未満であった。
− 2月8日に鳥島近海の深さ約20kmでM5.5の地震が発生した。
近畿・中国・四国地方では、次のような地震活動があった。
− 2月12日に高知県中部の深さ約45kmでM4.0の地震が発生した。
− 瀬戸内海中部で、微小地震の活動が1月と同様の発生頻度で継続している。
なお、3月にはいり、従来の主たる活動域の西側2〜3kmのところで活動がやや顕著になった。
「熊本県阿蘇地方の深さ約10km」:
当該震源の付近は、1975年1月にM6.1の地震が発生している。
この他、九州・沖縄地方では、2月25日に石垣島近海の深さ約130kmでM5.2の地震(やや深発地震)が発生した。なお、1月中旬から下旬にかけて種子島近海の深さ約20km付近で多発した地震活動は1月末には低下し、2月にはいっても散発的な発生に止まっている。
「ウラジオストク付近の深さ約600km」:
当該震源域付近は、沈み込んだ太平洋プレートの先端部に当る。この付近の地震はプレート内に発生すると考えられており、今回の震源も同様であると考えられる。今回の地震でも深発地震に特徴的な震度分布(異常震域)を示した(震央に近い日本海側では無感で、震央から遠い太平洋岸(北海道)で震度1を観測)。