平成12年7月2日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2000年7月1日の新島・神津島近海の地震活動の評価


地震活動は、当初(6月26日夜)、三宅島の火山活動に伴って三宅島西部地域から始まり、その後、活動域は三宅島の西方の海域に移動し、活発な活動が続いている。一方、これらの地震活動とは別に、6月29日12時11分頃に神津島の北部沿岸でマグニチュード(M)5.2の地震が発生し、震源地付近で震度5弱を観測した。

三宅島西方海域の地震活動は、29日午後以降はさらに北西へ移動し、神津島の東方約10kmの海域でさらに活動を続けた。一方、神津島付近の散発的な地震活動は30日午後までにはほぼ収まった。

7月1日16時02分頃、神津島の東方約5kmでM6.4の地震が発生し、神津島で震度6弱、新島で震度5弱を観測した。この地震の発震機構は、北西−南東方向に圧力軸を持つ横ずれ型であり、この地域の標準的なものであった。また、概ね東西方向に余震が並ぶことから、この地震を起こした断層は、東西走向の右横ずれ断層であると考えられる。

GPS観測においては、式根島では南東向きの変動、神津島では南西向きの変動が観測された。なお、神津島の傾斜観測においては、28日以降、北西下がりの傾斜変動が観測された。

今回の地震は、29日に発生したM5.2の地震と同様に、三宅島の火山活動が地殻に及ぼした力によって誘発された可能性があると考えられる。三宅島周辺海域では、1962年の三宅島の火山活動に際して、M5.9及び5.8の地震を含む活発な活動が三宅島西方海域で一週間続き、その後1ヶ月程度で活動が収まった。今回の活動は、1962年の活動に近いが、現在の地震の活動域は新島・神津島の近隣であることから、M5程度の地震でも強い揺れをもたらすこととなるので、今後暫くの間、新島・神津島近海について活動の推移を見守る必要がある。