平成12年8月22日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

三宅島付近から新島・神津島付近にかけての地震活動の評価


○ 8月22日現在、地震活動が活発な領域は、三宅島西方沖から新島・神津島東方沖の海域(以下「第一の海域という。)、及び利島西方沖から神津島付近の海域(以下「第二の海域」という。)の2つとなっている。三宅島南西沖から御蔵島南西沖の海域(以下「第三の海域」という。)の地震活動は低調となっている。

 地震活動は、8月9日以降も三宅島付近から新島・神津島付近にかけて消長を繰り返しながら継続している。特に、8月15日から16日にかけては、神津島の東南約 10qに発生した マグニチュード(M)4.9 の地震で最大震度5弱を観測するなど地震活動が活発化した。また、8月18日には、神津島の東約8qに発生したM6.0の地震及び式根島の南西約3qに発生したM4.9の地震により、ともに最大震度6弱を観測するなど地震活動が活発化した。M6.0の地震に伴って周辺のGPS観測には地殻変動が観測された。さらに、この地震の発生直後に第二の海域での活動が一時的に活発化した。

 M3.5以上の地震の日別の平均発生回数は、第一の海域では6月26日から7月13日まででは約60回、7月14日以降8月8日までは約30回であった。この期間中、バースト的な地震活動(数時間の間にまとまって地震が発生すること)が繰り返し発生していた。また、M5.0を超える地震の発生は全海域で6月26日から8月3日までは40回あった。

 しかし、M3.5以上の地震の日別の平均発生回数は、8月9日から8月21日までは約10回である。また、M5.0を超える地震の発生は8月4日以降1回であり、バースト的な地震活動が発生する間隔も従来より長くなるという傾向が見えている。

○ 周辺のGPS観測の結果では、神津島東方のマグマ活動を示唆する新島の北東への移動・神津島の南西への移動は、7月中旬頃からの傾向を大きく変えることなく依然として継続している。なお、伊豆大島及び房総半島南端については8月中旬頃から変動レベルにわずかに停滞傾向が見えてきている。

○ このため、地震活動及び地殻変動に従来と異なる傾向が見えてきたものの、地殻変動が継続している現状では、まだ比較的大きな地震が短時間にまとまって起こることもあると考えられる。また、同様にして、これまでに発生したと同規模(最大でM6程度)の地震が起こり、発生場所によっては震度6弱となることも現時点では否定できない。しかし、従来と異なる傾向が見られ、バースト的な地震活動の発生間隔が長くなりながら地震活動が推移していくものと考えられる。