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  1. 地震・津波の知識
  2. コラム
  3. ポスト東北地方太平洋沖地震の活断層研究(石山達也)


 1995年兵庫県南部地震は、約半世紀ぶりに発生した内陸直下型地震で甚大な被害を及ぼし、研究者のみならず社会全体の内陸直下型地震と活断層に対する関心を高めた。以来15年余りの間に立て続けに内陸直下型地震が発生した後、2011年東北地方太平洋沖地震が発生した。869年貞観地震はこの巨大地震の一つ前のM9地震であるかどうかは必ずしも明確ではなく、我々は未曾有の地震性地殻変動サイクルの変換点に直面しているのかもしれない。
 このような状況下で取り組むべき課題は何であろうか。昨年来、地質学的な手法によって、過去の巨大地震像を解明する研究の重要性が指摘されている。一方で、アクセス困難な海域で発生する地質学的事象のすべてを直接的に把握することは本質的に困難である。例えば、陸域の活断層のずれの速度はこれまでの研究によっておおよそ明らかになってきた。しかし、海域の活断層については、この種の基本的な情報さえ、ほとんどわかっていないのが現状である。分布についての精度も、陸上に比べると格段に落ちる。我々は海の中のことは陸の上ほどにはよく知らないのである。この現状をふまえて、今後はより本格的に沈み込み帯先端部から海陸境界域までに分布する海底活断層の実体を明らかにする取り組みを進める必要がある。
 海底活断層の分布やすべり速度の解明に加えて、陸上で我々がトレンチ調査を行うように、曳えい航こう体たいを用いた海溝先端部における断層変位地形などを対象とした高精度反射法地震探査・海底地形調査と海底掘削を行い、断層運動の時期を推定できれば、過去の巨大地震の発生時期をより直接的に推定することが出来る。技術面では、水深が浅い南海トラフではすでに可能であるし、水深が非常に深い日本海溝でも十分実現可能であると期待される。このような試みはすでに一部で始まりつつある。最近、海溝における連動型巨大地震の可能性が強調されるが、一方で過去に実際に起きた巨大地震像を多様な手法を駆使して可能な限り明らかにし、観測事実を基に将来の巨大地震像を提示していく努力を払う必要があることは論を待たない。
 陸域にも課題はある。人口集中域の多くが存在する平野部の活断層・伏在断層の検出は喫緊の課題であると言って良い。これらは活動度が低くとも、ひとたび地震を起こせばその被害は甚大となる。近年の研究プログラムによって、関東平野や新潟平野といった人口集中域で未知の伏在断層の存在が明らかになってきた。このほか、巨大地震発生サイクルと内陸地震の発生様式の関係など、取り組むべき課題は多い。もちろん、活断層・古地震学の基礎的なデータの積み重ねは地震発生の長期予測にとって重要である。
 世界有数の災害国である日本にとって、活断層や過去の巨大地震による地質現象を正確に理解することは非常に重要である。我々はまだすべてを知っているわけではないが、知る術は十分にあるし、知る努力とそのための技術開発を進めるべきである。


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