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  1. 地震・津波の知識
  2. コラム
  3. 地震時の退避行動等はどうあるべきか3

 地震時の適切な退避行動についてとりまとめた「地震防災研究を踏まえた退避行動等に関する報告書」(平成22 年5月)を基に、5月号(第1回)では、作業部会での「検討方法」や「地震時に人命を守るための退避行動等(提言)」等について、6月号(第2回)では、「これまで推奨されてきた退避行動の検証」及び「退避行動を検討または実施する際の留意点」等について紹介しました。
 第3回目(最終回)の今号では、退避行動等は端的にイメージしておくことが効果的であることから、推奨する退避行動のそれぞれについて標語例を付記して再掲するとともに、今後の退避行動に関する課題について紹介します。


 地震防災研究を踏まえた退避行動等について、耐震化や家具の固定等の事前対策も含め、地震発生から揺れが終息するまでの各フェーズにおける推奨行動を以下のように整理しました。この内容は、一般的な居室を想定していますが、学校等においても、これを参考に、その場所の特性を踏まえた事前対策の充実、適切な退避行動の具体的検討を日頃から十分に進めておくことが重要です。また、端的にイメージしておくことが効果的であることから、それぞれについて標語例を付記しました。

(1)事前対策
・建物の耐震化、家具類の固定、消火設備の設置、適切な退避行動の事前の検討を行う(事前対策の充実により退避行動の選択肢の増加につながる)
【標語例】
備えあれば憂いなし! 事前の備えを十分に! 
作ろう 自分の心得を!
(2) 主要動到達直前(緊急地震速報時、初期微動時)
① 主要動到達までの時間が不明な場合
・主要動がすぐに到達するとの想定のもと、周囲に声をかけ、頭部を保護して安全空間に移動する
② 主要動到達までの時間が知らされた場合
・周囲に声をかけ、目前の火を消す、頭部を保護する、扉を開ける、履物をはくなどを行い、速やかに安全空間に移動する(地震までの時間に応じて取るべき行動の優先順位を事前に検討しておくことが必要)
【標語例】
緊急地震速報だ! 周りに声かけ、安全な場所へ!
(3)揺れの最中
① 揺れが非常に大きい場合
  (動けない場合:震度6弱以上)
・その場で姿勢を低くし頭部を守る、無理に行動しない
② 揺れが大きい場合
  (動ける場合:震度5強以下)
・その場の状況を判断し、頭部を守ったり安全空間に逃げ込む
【標語例】
動けなければ、姿勢を下げて、頭を守る。
動けるならば、落ち着いて、身近な安全な場所へ。
(4)揺れが収まった直後
・火を消す、扉を開ける、履物をはく、余裕があればブレーカーをおとす(二次災害回避や余震に備えた行動を行う)
【標語例】
揺れがとまれば、火消し、靴はき、ドアあける。
ブレーカー落として火災を回避。


(1) 現状における課題
 作業部会において、主に屋内空間について、現状での推奨される退避行動をまとめましたが、現状においては以下のような課題があると考えられます。
○現在の退避行動の検討の限界
  現状では、安全空間の定量的判断や安全空間の確保の方法は確立されておらず、推奨されてきた退避行動も場合により適否が分かれるなど、ベストな選択の提示は不可能な状況です。
○個人の意識の向上
  一方で、個人が自分の身は自分で守るという意識を持って、自らを取り巻く環境を把握し、耐震性の向上、家具の固定など、現状よりもベターな事前対策や自身の退避行動の策定が行われることが望ましいと考えられます。
○個人の限界
  しかし、個人には限界があるため、防災関係機関は、既存の退避行動の検証、適切な退避行動の確立、国民への普及等に取り組むとともに、地域や組織(企業、学校等)に対して退避行動の検証を働きかけることが重要です。
(2)より適切な退避行動の実現に向けて必要な将来の姿
 このような現状における課題を踏まえて、より確実に国民の生命を守り、より適切で効果的・効率的な退避行動を実現するためには、以下のような仕組みの構築が必要と考えられます。
○退避行動の判断支援の仕組みの構築
  適切な退避行動の決定が誰でもどこでも容易に行うことが可能となる判断支援のための仕組み(例:安全空間を解析するシステム、音声誘導システム等)の構築とこれらに基づく適切な退避行動の教育・訓練の推進が必要です。
○安全空間を増加させる仕組みの構築
  退避行動を効率的・効果的なものとするためには安全空間を増加させることが重要であり、安全空間を増加させる家具の固定等を促進させる仕組み(例:家具固定効果の認証制度、支援制度、専門家等人材育成制度)の構築が必要です。
(3)課題解決に向けた研究内容
 より適切な退避行動の実現に向けて必要な将来の姿を実現するためには、上記のような課題を克服していくことが必要ですが、その前提となる建物の倒壊や家具類の挙動についての基礎的な知見の蓄積等が十分には進んでおらず、上記のような仕組みの構築を実現可
能な目標とするためには、当面、以下のような研究開発を進める必要があります。
① 基礎的研究の充実
 ・震動による室内の危険要因の挙動、室内環境の変容、屋外や建物倒壊に関する挙動の研究 ・震動による生理的、心理的影響による人間行動の変化等の研究 等
② 被害軽減を目指した実践的な研究
 ・地震時の人間の行動と負傷との関係に関する研究
 ・地震時の安全空間・危険空間等に関する研究
 ・家具の効果的な固定方法等空間の安全性を高めるための研究
 ・屋内から屋外への連続的な危険度評価の研究 等
③ 研究成果の社会普及促進のための研究
 ・危険度を容易に把握できるツールの研究開発
 ・家具の固定等が容易に行われるための制度等の研究 等


 世界でも有数の地震国である日本に住んでいる私たちは、自らのそして家族の生命や身体を守るために、この報告書を参考に、建物の耐震化や家具の固定等の事前対策を充実させるとともに、室内をはじめとした屋内等の安全空間を事前に把握し、地震時の退避行動を具体的に考えておくことが重要です。
 このような取り組みを踏まえ、さらに防災を身近なものとし、国及び地域の防災力向上につなげるため、学校や地域において、防災を体系的かつ実践的に教育していく機会を設けることが重要です。
 この報告書が皆さんの防災に役立つことが、作業部会の委員、事務局全員の願いです。

報告書のポイント
 これまで適切と言われてきた地震時の退避行動等を、科学的知見に基づき検証した結果、主に、以下のことが明らかとなりました。
○これまで適切と言われてきた地震時の退避行動がかえって危険を招く場合がある
○耐震化や家具の固定等の事前対策を講じるとともに、安全空間を把握し、地震時にどのような退避行動を行うのか事前に検討しておくことが重要
○揺れが大きい場合無理な行動をせず姿勢を低くし頭を保護することが重要
○関係機関はこの報告書で提言されている推奨行動を参考に、その場所の状況に合った退避行動等を策定することが望ましい
○今後、地震時における人間行動や人間心理に関する研究および危険空間と安全空間の特定に関する研究などが必要

報告書につきましては、以下のサイト(文部科学省ホームページリンク)をご覧ください。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/sonota/1294461.htm

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