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  1. 地震・津波の知識
  2. コラム
  3. eコミプラットフォームの使い方2



 防災科学技術研究所では、平成20年度から府省連携による社会還元加速プロジェクトの一環として「eコミュニティ・プラットフォーム」(略称:eコミ)を開発しています。第1回目では、eコミのコンセプトや使い方を紹介しました。第2回は、東日本大震災におけるeコミの活用事例について紹介していきたいと思います。

 2011年3月11日14時46分に発生した「東日本大震災」。この災害は、地震動による被害、津波による被害、土砂災害による被害、そして原子力災害も同時に発生した巨大複合災害です。この未曾有の大災害に立ち向かうためには、全国の様々な機関や個人が「協働」して
被災地を迅速かつ長期・継続的に支援することが求められます。そこで防災科研では、被災地の災害対応や復興活動に役立つ信頼できる情報を協働型で集約・作成・発信するWebサイト「ALL311:東日本大震災協働情報プラットフォーム(http://all311.ecom-plat.jp)」を
開設しました(図1)。本サイトは、eコミを活用して構築しています。
 その中で、「地図・地理空間情報」というページでは、様々な機関・団体等が発信している地図や地理空間情報をカテゴリ別に分類し、紹介しています。また、特に重きを置いているのは、情報を単にリンクとして紹介するだけではなく、「eコミマップ」を使用し、様々な機関・
団体等から提供されているデータを複数統合して、新しい意味を持つマップとして紹介している点です。これは、インターネット上で公開されている地図データが、国際標準の方式で利用できるものが多いためで、今回の大震災では注目すべき点です。これによって、利用者側は目的別に複数のデータを組み合わせたマップを作成できます。例えば、基盤的な地図と被災前後の空中写真を下敷きに、ボランティア向けには、避難所やボランティアセンターの情報、支援に必要な道路通行状況やランドマークとなる公共施設データ等を組み合せた「ボランティア支援マップ」、避難所向けには、炊き出しの情報、被災地周辺の銭湯情報、気象予報等を組み合わせた「避難所運営支援マップ」など、1つ1つのデータの提供だけではなく、複数のデータの組み合わせのマップで情報を発信することが可能になります(図2)。このようなデータの利用環境のことを、「分散相互運用環境」といいます。
 防災科研では、「ALL311」で収集したマップを活用して、災害対応・復興活動を支援しています。
 被災地現場では、地震発生直後から災害ボランティアセンターが立ち上がり、被災者ニーズの発掘やボランティアの派遣等を行っています。その活動においては、地図や地理空間情報が極めて重要な情報となります。しかし、被災直後には、地図・地理空間情報を使用する仕組みも出力する仕組みもなく、紙の地図をページごとにコピーして、それを貼り合わせて使用しており、非常に手間がかかっていました。そこで、現地にノートパソコン、通信モジュール、プリンター、プロッター、複合機等を各拠点に導入し、「eコミュニティ・プラットフォーム」で災害ボランティアセンターのWeb ページを立ち上げるとともに、「eコミマップ」で地図を作成・出力できる仕組みを宮城県の災害ボランティアセンター(http://msv3151.c-bosai.jp/)に提供しています(図3)。特に、表札情報の入った住宅地図へのニーズが高く、さらに被災後の状況を把握するための被災前後の空中写真や衛星画像、津波被害マップなどの上にボランティアニーズのプロット等を行い、議論や記録、作業指示、工程管理等のために活用されています(図4)。
 地方自治体の災害対応業務でもeコミは活躍しています。岩手県の陸前高田市と大槌町では、保険の請求や税の減免などの手続きに必要なり災証明書を発行するためにeコミマップを拡張し、住宅地図や被災後の航空写真を下敷きに、被害判定結果を地図上で確認し、
証明書を発行できるシステムを支援しました。一方、釜石市では、市民からのガレキの撤去の申請を受けて、eコミマップの地図上にプロットし、申請や撤去状況を管理するために活用されています。
 今回のこれらの支援の実現には、eコミの導入を支援しただけでなく、機材や消耗品の調達・運搬、データ・コンテンツの作成・提供、システムを稼働させるためのクラウド環境、現地で活動する災害情報ボランティアなど、様々な機関・団体・個人の協働により成り立っています。引き続き、より数多くの方々の「協働」による災害対応・復興活動を行っていくことができればと考えています。そして、今回の大震災における経験を糧に、次に起こるかもしれない震災においても、社会全体で対応できるような社会モデルを提案していきたいと考えています。

 


   

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