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  1. 地震・津波の提供情報
  2. コラム
  3. 阪神・淡路大震災から15周年を迎えて

(広報誌「地震本部ニュース」平成22年(2010年)1月号)




 平成7年1月17日5時46分、淡路島北部を震源にマグニチュード7.3の大都市直下型地震が発生しました。
 この地震では観測史上初の震度7を記録し、甚大な被害が発生しました。直接被害額は約10兆円、死者・行方不明者数は6,437名にのぼりました。



 発災直後から、家屋の下敷きになった人々の多くを家族や近隣の住民が助け出しました。地元の警察や自衛隊だけでは対応できず、全国から応援が駆け付け懸命の救出・救助活動が行われました。約32万人が学校など1,000カ所を超える避難所に避難しました。
 応急仮設住宅は、被災者の不安解消のため、希望者全員入居の方針を打ち出し、平成7年8月までに4万8,300戸を設置しました。全国から、多くの ボランティアが駆け付けたほか、約1,800億円もの義援金や多くの救援物資が寄せられました。
 震災により、電気、ガス、水道などのライフライン、鉄道や高速道路などの交通インフラが甚大な被害を受けました。全国からの応援を得て、ライフラインは3か月の間にほぼ復旧が完了、交通インフラでは8月に被災地の鉄道全てが運行を開始しました。
 まちの復興のためには大量のがれきの早期撤去が必要となり、特例により公費による解体・撤去を実施しました。
 無秩序な建築活動による密集市街地の再現を防ぐため、2か月間の建築制限を実施しましたが、その間での関係者の十分な合意形成は困難なため、二 段階の都市計画決定という手法で事業の早期推進を図りました。
 単に震災前の状態に戻すのではなく、未来を創造する「創造的復興」を目指し、平成7年7月、阪神・淡路震災復興計画を異例のスピードで策定。県民総意のもと被災地主体の復興の取組がスタートしました。


 被災者は、順次避難所を出て仮設住宅に入居し、平成7年8月には、ほぼ避難所が解消されました。仮設住宅の入居者は募集・抽選を原則とし、高齢 者などには優先枠を設けて早期の入居を促進しました。結果として震災前の近隣関係を持ち込めず、高齢者などが集中した団地ができるなど、新たなコミュニティづくりが必要となりました。入居者の交流拠点として設置したふれあいセンターは、ボランティアなどの被災者支援の活動拠点ともなりました。
 インフラ、住宅、産業の3つの緊急復興3か年計画を策定し、重点的に取り組んだ結果、平成10年3月までに目標の水準を総量的にほぼ達成しました。
 インフラでは、阪神高速道路が平成8年9月末に全線開通。神戸港も平成9年3月末に復旧工事を完了するなど、主なインフラは復旧を完了しました。
 住宅は、災害復興公営住宅の入居者の一元募集や家賃の特別減免など被災者ニーズに対応した供給を実施し10年3月末には計画(12万5,000戸)を上回る16万9,000戸が供給されました。
 産業では、企業誘致や起業家支援等のため(財)阪神・淡路産業復興推進機構(HERO)を設立するとともに、産業復興条例等による企業の誘致や投資の促進を図りました。震災で落ち込んだ観光客を取り戻すため、観光復興キャンペーンを展開。仮設工場や仮設店舗への入居も促進し、大手企業の生産再開も順調に進み、平成9年度末には純生産で震災前の水準を上回りました。


 災害復興公営住宅の整備に伴い、仮設住宅から恒久住宅への移行が本格化し、ボランティアによる引っ越し手伝いなどが行われました。
 生活援助員(LSA)に続き、復興公営住宅に生活復興相談員が配置され、閉じこもりがちの高齢者を訪問するなど、新たな住宅で順調に生活できるよう様々な支援が行われました。
 被災者の円滑な生活再建を促すため、復興基金を活用し生活再建支援金などの現金給付制度を創設。これが突破口となり被災者生活再建支援法が成立しました。被災地への遡及適用はありませんでしたが、国会の附帯決議に基づき被災者自立支援金が創設され、復興基金により、法に相当する程度の現金給付がなされました。
 商店街等のにぎわいの回復や、空き地や空き店舗等を解消するため、復興大バザールなどのイベントや小規模事業者への事業再開支援などを引き続き行いました。
 平成10年12月にNPO 法(特定非営利活動促進法)が施行されましたが、阪神・淡路大震災復興支援館(フェニックスプラザ)内に生活復興NPO 情報プラザを開設するなど、NPO /NGO を新たな市民社会の担い手として捉えた支援策を展開しました。
 震災から5年、この間に講じてきた幅広い分野にわたる震災対策を国際的な視野と長期的な展望をもって総合的に検証する震災対策国際総合検証に取り組みました。


 復興計画の前期5か年の検証を踏まえ、後期5か年推進プログラムを策定し、復興計画の効果的な推進に努めました。
 災害復興公営住宅では、高齢化率が5割近くとなり、高齢者の見守り体制を強化したSCS(高齢世帯生活援助員)の配置や看護士等が健康相談を行う「まちの保健室」の開設などに取り組みました。
 住宅再建では、被災者生活再建支援法の2度の改正により、最高300万円の支給が可能となるなど、公的支援が充実しました。しかし、なお不十分なため、兵庫県では5,000円の掛金で最高600万円の支給となる住宅再建共済制度を全国に先駆けて創設しました。
 経済・雇用対策では、被災地再開発ビルの空き床等への入居促進、中小企業向け融資の償還延長、観光キャンペーンに取り組むほか、(財)新産業創造研究機構(NIRO)による新産業の創造支援を行いました。
 震災の経験と教訓を継承・発信するため、国の支援も得て、平成14年4月に人と防災未来センターを開設しました。
 平成17年1月には国連防災世界会議を開催し、「兵庫行動枠組」の採択など国際防災協力にも取り組んでいます。
 平成17年3月に復興計画の期限を迎えるに当たり、復興10年総括検証を実施。この検証で提言のあった高齢者の自立支援やまちのにぎわいづくりなど、残された課題解決に向け、平成17年度以降設置されている復興フォローアップ委員会の提言を受け、現在も取組を進めています。



(広報誌「地震本部ニュース」平成22年(2010年)1月号)

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