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  1. 地震・津波の知識
  2. コラム
  3. 情報収集・伝達手段の見直しなど、教訓を踏まえた対策を強化


 平成20年6月14日(土)8時43分、岩手県内陸南部を震源とするマグニチュード7.2の地震が発生し、県内各地の震度は、奥州市で震度6強と本県観測史上かつてない震度を記録したほか、北上市、一関市、金ヶ崎町、平泉町で震度5強を記録しました。
 この地震による被害は、人的被害が死者・負傷者39名、建物被害が784棟にのぼり、ピーク時には166名の方々が避難所生活を余儀なくされました。
 震源地が山間部ということもあり、道路被害や河川被害、農地や農業施設、林業関係の被害が多く、特に震源地に近い国道342号線は甚大な被害を受けました。長さ95メートルの祭畤(まつるべ)大橋が落橋したほか、数カ所で土砂崩壊や路面損傷が発生し、地震発生直後は、200人以上もの人が取り残され、孤立状態となりました。(写真1・2
 また、7月24日にも岩手県沿岸北部を震源とする地震があり、2つの地震の影響で観光面での風評被害が拡大し、県内経済へ及ぼした被害は、甚大かつ深刻なものでした。


 岩手・宮城内陸地震の発災から約1ヶ月にわたって応急対策に取り組んできましたが、平成20年7月15日、応急対策にも一応の目途がつき、事後は被災施設等の復旧や被災者への生活支援などにその重点が移ってきたことから、災害対策本部から岩手県災害復旧・復興推進本部に移行し、災害の復旧や地域の復興を進めていくことになりました。(写真3
 県は、これまで地域生活の基盤である道路等のインフラの復旧に全力を挙げてきましたが、被害の大きかった国道342号線は未だに全面通行可能となっておりませんし、被災住宅の再建についても県としての支援措置を実施してきましたが、地震から1年たった現在も10世帯37名の方が避難生活を送っています。
 産業・観光面では、風評被害に負けず、「がんばろう!岩手」運動を展開し、 首都圏等でのトップセールスを行うほか、「いわて・平泉観光キャンペーン」や「いわてフェア」を開催するなど、様々なイベントや広報活動を実施して本県の食や歴史・文化などの魅力を全国に発信して誘客等に努めているところです。


 今回の地震から様々な教訓を得ました。まず、職員の連絡・参集に関してですが、県はこれまで、災害時の連絡・参集は電話で行っていたのですが、発災直後は、災害時優先の携帯電話等が全く通じなかったことから、地震のような突発的な災害は、自主参集を原則とし、電話は補助手段とすることにしました。
 情報収集に関しては、ヘリコプターの重要性を再認識しました。国道342号線で孤立した住民の最初の情報は、防災ヘリの偵察によるものでしたし、奥州市の山林で転落したバスの発見もヘリによるものでした。(写真4)また、自衛隊や県警などのヘリテレ映像も情報の共有化とリアルタイムの情報収集という観点では有効な手段となりました。
 救助活動では、孤立住民の救助や転落バスの乗客の救助活動は、ヘリコプター21機の運用によるものでしたが、ヘリが多くなれば、それを運用・調整する機能が災害対策本部と現地レベルでも必要になります。また、燃料補給の問題やヘリポートの確保も問題となりますので、事前対策として十分準備しておく必要があります。さらに、救助活動ではDMAT(災害派遣医療チーム)との連携が重要であることから、DMATの調整責任者を災害対策本部に常駐させることも必要になります。
 自衛隊等への派遣要請は、被害が判明してからでは遅いことが多いことから、被害を予測し、空振り覚悟で早い段階で要請することが重要です。2度の地震では、早い段階から派遣要請を行い、災害時の対応を円滑に実施することができました。このためにも平素から自衛隊との連携を密接にしておくことが重要ですし、応援部隊が活動できる受け入れスペースもあらかじめ準備しておくことが必要です。
 今回の地震では、道路の寸断による孤立化が課題となりました。孤立した地域は携帯電話の不通地域で、双方向の連絡ができませんでしたし、ヘリで救出する際にもヘリが降着できず、かなりの人がホイスト(巻き上げ機)によるピックアップで救出されました。
 県では、宮城県沖地震を想定した場合、沿岸地域の市町村で孤立化地域が多数発生することが予想されることから、コミュニティー単位での情報拠点(避難所)の設置や単純明快な情報伝達手段(旗、発煙筒など)の準備、食料備蓄、ヘリポートの準備等の対策を講じることとしています。
 発災直後から災害対策本部の事務局として、総合防災室の職員が中心となって対応しましたが、情報収集や関係機関等との調整など、必ずしも円滑に実施できたとはいえませんでした。今回の対応を教訓として、事務局の組織、役割を見直し、統括機能、情報収集機能、総合調整機能(ヘリの運用を含む)を強化したところです。
 他にも、職員のローテーション、仮眠所、食料の準備・調達などを考慮しておくこと、マスコミ対応や県民への情報提供のあり方など課題はたくさんありますが、特に、普段やっていないことは本番では絶対できない。つまり、訓練の重要性を痛感したところです。
とりわけ関係防災機関との連携を密接にするには、平素から訓練を地道に実施して積み重ねていくしかありません。

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