パソコン版のウェブサイトを表示中です。

スマートフォン版を表示する

  1. 地震・津波の知識
  2. コラム
  3. 首都直下プロ3E-ディフェンスの活用による、都市施設を模擬した建物モデルの実規模震動実験を実施



 文部科学省委託業務「首都直下地震防災・減災特別プロジェクト(2007年−2011年度)の一環である、サブプロジェクト②「都市施設の耐震性評価・機能確保に関する研究」では、首都圏を襲う大地震に対する都市施設の直接被害を軽減し、建物の継続使用性を維持するため、実大三次元震動破壊実験施設(E−ディフェンス、図1)の活用による防災・減災対策の研究開発を行っています。
 本研究開発では、大地震時における救急救命、被災後の生命維持の拠点となる医療施設や被災状況等の情報発信拠点及び経済活動の基幹となる情報通信施設など、都市の重要施設の機能保持及び耐震性向上を目的とする「震災時における建物の機能保持に関する研究開発」と、首都圏を長周期地震動が襲った場合、多大な被害の発生が想定される高層建物の耐震性能評価及び被害軽減を目的とする「長周期地震動による被害軽減対策の研究開発」に取り組んでいます。
 ここでは、昨年度実施したE−ディフェンスによる高層建物実験と、今年度予定している重要施設を模擬した建物モデルの震動実験計画を報告します。



実験目的
 高層建物が林立する大都市が海溝型巨大地震に見舞われたことはありません。海溝型巨大地震によって発生する長周期地震動により高層建物に入力するエネルギーは、これまで設計で想定していたエネルギーを大幅に上回る可能性があり、その耐震性が懸念されています。特に、初期の高層建物では現在の設計で用いられている架構の変形能力を確保するための条件が満足されていない場合があり、これらの建物では過大な損傷が生じる可能性があります。
 本実験では、近年発生が確実視されている海溝型地震による長周期地震動に初期の高層建物が遭遇した場合、どのように揺れ、どこまで耐え、どのような損傷・破壊・機能低下が発生するかを検証しようとしています。

実験方法
 実験に用いた試験体は、1980年代以前の初期高層建物の平均的な規模の建物(地上21階、高さ80m)を想定
していますが、世界最大の震動台・E−ディフェンスといえども、これをそのまま載せることはできません。
 そのため、図2に示すように21層モデルを、1階から4階までの4層は実規模とし、その上の中高層階は3層に縮約する7層モデルとしました。すなわち、縮約後の各質点の質量(Me)は集約する5層の各層質量の和として、また縮約層の剛性(Ke)は該当する5層の各層剛性を直列に結合して評価しました。このモデル化手法による試験体概要を図3に示します。下4層を実規模の鉄骨造架構で模擬し、その上は5階分を1枚のコンクリート錘で代用して、これに想定建物と同様の剛性、強度、減衰性を与えるため、積層ゴムとダンパーを組み込んでいます。また、下層の実大鉄骨造架構部分では初期の高層建物で用いられていた柱梁接合部などのディテールの再現を試みました。
写真1に試験体の全景を示します。
 実験では、耐震設計に標準的に用いられている観測地震動及び東海地震、東海・東南海地震において予測される長周期地震動を入力地震動として用いました。

実験結果
 実験では、設計用の地震動と同程度の最大変形を被る場合でも、長周期地震動の場合は、長時間にわたる多数回の繰返し応答によって、下層の鉄骨造架構に塑性変形が累積していく状況が確認されました。最終的には、鉄骨造架構内の柱梁接合部に破断(写真2)が生じるまで加振を繰り返し、鉄骨造架構の限界性能を確認しました。
 また、試験体に組込んだ間仕切壁は、設計で想定される変形に至る以前より、壁材料が剥落するとともに損傷が進行し、ドアの開閉に支障をきたすフレームの変形(写真3)が確認されました。
 実験データについては、高層建物の長周期地震動に対する安全性向上をめざし、現在精力的に解析を進めています。
 なお、実験映像は、http://www.bosai.go.jp/hyogo/movie.html  でご覧頂けます。



 都市部に大地震が発生した場合、建物の倒壊を極力防ぐことは重要です。一方、被災による、医療、情報発信等社会活動の停止は、被害の拡大やその後の復興にも多大な影響を与えるため、これら都市機能を災害後も継続させることは非常に重要な課題です。しかし、都市機能を構成している重要施設内の機器及びそれらの複合システムの耐震性はほとんど明らかにされておらず、具体的な地震対策方法もほとんど示されていないのが現状です。
 実験では、重要施設を模擬した鉄筋コンクリート造4層の構造体(図4)を建設します。なお、構造体は従来の耐震構造と、重要施設の耐震性向上で導入されている免震構造の実験が可能となっています。構造体内部は一般的な医療施設を想定して、手術室、診察室、検査室、病室や情報通信室等を配置し、各部屋には手術台、ベッド等医療機器やサーバー類を設置します。入力地震動としては、既往の設計用基準地震動や長周期地震動等を用い、構造体・機器類を含めた機能保持性能を明らかにする予定です。



このページの上部へ戻る

スマートフォン版を表示中です。

PC版のウェブサイトを表示する

パソコン版のウェブサイトを表示中です。

スマートフォン版を表示する