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  1. 地震・津波の知識
  2. コラム
  3. 首都直下プロ2世界でも例を見ない、首都圏での高密度地震観測網を構築



 首都圏での大地震による被害を軽減するための文部科学省委託事業「首都直下地震防災・減災特別プロジェクト(2007年−2011年度)」の一環として(サブプロジェクト①「首都圏周辺でのプレート構造調査、震源断層モデル等の構築等」)、首都圏に中感度地震観測網を設置し始めました。
研究の最終目標は、沈み込む二つの海洋プレートの相互作用を明らかにし、その結果として発生する大地震の地震像を、より空間的にも高分解能で、より時間的にも古い時代まで遡って明らかにすることです。同時に、小・中学校での地震観測を通じて、理科教育や防災教育と連携して、若い世代の防災意識の向上、そしてまた、自然科学への関心を高めることに役立つことを目ざしています。





 関東は、世界で最も地震の多い場所の一つです。ここでは、有感地震が1〜2カ月の間に約1個程度の割合で発生していて、明治以降、5個のマグニチュード(M)7程度の地震が知られています。このため、地震調査研究推進本部は、M7級の地震が30年以内に発生する確率が70%という高い地震発生確率を公表しています。
 関東で地震が多いのは、日本列島を造る陸のプレートの下に、二つの海洋プレート(太平洋プレート、フィリピン海プレート)が沈み込んでいるからです。地震は、プレートとプレートの境界や、海洋プレートの内部、陸のプレートの浅い場所の活断層のそばで発生しています(図1)。




 地震がどこで、なぜ発生するかを理解するためには、プレートの形、位置(深さ)を詳しく知る必要があります。特に、関東の下では、二つの海洋プレートがどのように衝突しているかを理解することが、地震像を明らかにするために必要です。地震の波を使って、地下の構造を解析すると、かたい岩石とやわらかい岩石の分布を、人体のCT(コンピュータ・トモグラフィー)画像を得るように描き出すことができます。鮮明な画像を得るためには、地震観測点を配置する間隔を小さくする必要があります。この計画では、5km程度の細かさで地下の様子が分かることが重要です。このために、首都圏の約400カ所に地震計を設置する、首都圏地震観測網(MeSO-net)を構築して観測を行うことにしました(図1)。



 このプロジェクトでは、小学校や中学校にお願いして、平均5kmの間隔の地震観測点を設けることにしました。学校は、地域防災の拠点であることから、このプロジェクトの目的である地震防災・減災のための地震観測点の設置場所としては、最も適しています(写真1、2、3は東京都目黒区立五本木小学校の設置状況)。
 都市は、社会活動によって人工的な地面の振動が多いので、地震観測には向いていません。人工的なノイズを減らすために、MeSO-netでは20m程度の深さの井戸の底に地震計を設置しました。この結果、人に感じない小さな地震も観測することができるようになりました。同時に、有感地震のような強い揺れでも記録ができるような装置を選択しています。これらの地震計のデータは、連続的に東京大学地震研究所に伝送されて蓄積されます。これまでの強震計の観測では、地震による揺れだけを記録していましたが、MeSO-netでは、連続的に記録されることが特徴です。その結果、遠い地震も記録することができます。例えば、2008年6月に発生した岩手・宮城内陸地震(M7.2)の記録を、図2に示します。関東平野で、周期5〜8秒の長周期地震動が生成されていることがわかります。







 小中学校に設置する地震計のデータは、インターネットを経由して教室のパソコンで見ることになります。さらに、気象庁の緊急地震速報の情報をパソコンに表示するソフトを開発しました。情報が発信され、学校の地震計の揺れが記録されると、情報による予測と、実際の揺れを比較することができます。さらに、隣接する観測点の記録と比較することによって、自分のいるところが揺れやすいのか、揺れにくいのかを理解することができます。震度だけでなく、地震動の波形を見ることができます。さらに、地震観測装置には、観測点の「環境」を測定、地震観測点として正常な状態にあるかをモニターするために、温度・圧力センサーを付けて測定をしています。これらのデータは、気温・気圧のデータとして、学校の理科教育や防災教育で活用してもらうことを計画しています。これらのデータは、400ヶ所全ての観測点で連続的に測定・記録されインターネットで利用できるようになります。
 学校で記録される地震のデータと、気温・圧力のデータなどをリアルタイムで活用することによって、生徒・児童のみなさんが理科や防災に興味をもってくれることを期待しています。

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