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  1. 地震・津波の提供情報
  2. コラム
  3. 東海・東南海・南海地震の連動性評価研究シンポジウム1
独立行政法人 海洋研究開発機構 金田 義行

 平成20年7月7日に東京大学弥生講堂で、「東海・東南海・南海地震の連動性評価研究」シンポジウムが開催され、総数300名を超える参加者で会場は開始からほぼ満席となり、皆さんの関心の高さが示されました。(写真)

 「東海・東南海・南海地震の連動性評価研究」は平成20年度より開始された 文部科学省の委託研究プロジェクトです。
この研究プロジェクトは、再来が危惧されている南海トラフの海溝型巨大地震(東海、東南海、南海地震)に向けた調査観測研究分野、防災研究分野の2つのサブプロジェクトにより構成されています。
サブプロジェクト1では、海溝型巨大地震の連動性評価モデルを構築するための調査観測研究課題とシミュレーション研究課題、サブプロジェクト2では連動シナリオに基づく防災研究課題を推進します。(図1
 サブプロジェクト1の調査観測研究分野では、南海トラフの「海溝型巨大地震の巣」の姿を明らかにするため、広域・稠密な大規模な地殻構造調査研究や広帯域地震計による地震観測研究のほか、切迫度の高い宮城県沖地震震源域及び根室沖地震震源域における調査観測を行い、地震前後の地殻活動を捉えその成果を南海トラフ巨大地震の発生メカニズムの解明研究に反映させる課題も組み込まれています。さらに、調査観測研究から得られる地殻構造・活動情報から「地震の巣」の姿を表現する「地殻媒質モデルの構築」を目指します。(図2
 また、シミュレーション研究課題は、過去約120年に遡って地殻変動データを解析し、プレート境界面の固着すべりの時空間発展を評価する研究、過去の地震・津波履歴の調査解析から連動発生の多様性を評価する研究、「地殻媒質モデル」に基づく連動性評価モデルを構築するための次世代シミュレーション開発研究、連動するか否かの条件を抽出するための解析研究、さらに各研究成果を組み込んだ長時間サイクルの地震発生サイクルシミュレーション研究で構成されます。(図3
 サブプロジェクト2の防災研究分野では、サブプロジェクト1で得られる地殻構造情報に表層構造を組み込んだ構造モデルや連動シナリオに基づいた地震・津波被害予測の高精度化を行う研究課題、都市部の構造物の安全性評価をもとに都市部の対応力を評価する研究、さらに名古屋市、大阪市、高知市を主対象とした地域防災研究会を立ち上げ、リスクマネージメント対策の提案を行う研究も進めます。(図4
 「東海・東南海・南海地震の連動性評価研究」は従来の地震研究分野と防災研究分野を実質的に連携して、再来が危惧される南海トラフの海溝型巨大地震に備える先進的な地震・津波研究プロジェクトです。
 研究課題担当機関は、海洋研究開発機構、東京大学、京都大学、名古屋大学、東北大学、高知大学及び防災科学技術研究所ですが、プロジェクトの推進にあたっては、大学、気象庁、国土地理院、海上保安庁等の協力のもと、「国家プロジェクト体制」で行います。
 シンポジウムの最後に、時事通信社中川和之氏を進行役として、長谷川昭東北大学名誉教授、本蔵義守東京工業大学教授ならびに研究課題責任者として、私(金田義行海洋研究開発機構部長)、古村孝志東京大学教授及び平原和朗京都大学教授によるパネル討論会が行われ、長期的展望に立った30年後に期待される研究成果、今後の研究ブレークスルー、さらにはプロジェクト推進に向けた決意表明等の有意義な討論が展開されました。


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