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  1. 地震・津波の知識
  2. コラム
  3. 1978年宮城県沖地震30周年を契機に




 1978年6月12日午後5時14分に発生した宮城県沖地震(マグニチュード7.4)は仙台市を中心に宮城県とその周辺に甚大な被害をもたらしました。この地震による被害総額2,688億円は被害当時の宮城県の年間予算に匹敵し、「都市型地震災害」の様々な様相を我々に示しました。この地震から今年で30年、極めて高い確率で発生が予測されている次の宮城県沖地震に備え、過去に学び、現況を知り、次に備えるという観点から地震対策が必要なのです。



 78年の地震による被害の特徴としては、①ブロック塀などの下敷きによる死亡者が多かったこと(宮城県内の死者27人中19人が屋外で死亡)、②丘陵地を造成した新興住宅地の地盤被害、③沖積平野部での建物被害が大きかった(図1参照)ことなどが挙げられます。
 この地震の教訓として、建築構造物の耐震対策関連では、鉄筋コンクリート構造物の被害調査結果が2次壁を含めた壁量と柱量により説明できることが示され、「志賀マップ」が提唱されました。これは、現行の既存建物の耐力評価や耐震診断法成立の契機となり、新耐震設計法の考え方に大きく影響を及ぼしました。
 また、当時の山本壮一郎宮城県知事が東京事務所で行った講演会「宮城県沖地震の教訓」の内容は地震防災対策上極めて示唆に富むものでした。山本知事は、講演の中で、都市の近代化が地震の被害を拡大したことを述べ、情報の的確で迅速な提供が大事なことや、
個人個人の家庭の対応策の必要性を指摘し、安全な空間を一箇所はつくれ、地質の再調査は防災体制の基本であると述べました。また、地域コミュニティーの必要性や実態に合った地震保険などの国への要請についても言及しています。



 この30年間の社会変化も大きく、市街地は東南部の沖積平野に広がり、オフィスビルやマンションは高層化し、地下鉄や新幹線が登場しました。少子高齢化が進む一方で人口や世帯数は増えました。建物の耐震性能が年代とともに良くなっているとはいえ、地盤条件に対応した設計の浸透は必ずしも十分ではありません。地震時の揺れの大きいところへの市街地の拡大は、耐力の増加を上回る入力の増大をもたらし、結果的に都市の脆弱化、安全性の低下をもたらしている可能性もあります。
高層建物の増大は、高層階で働く人や居住する人が増えていることを意味します。地震時の揺れは建物の上層階ほど大きいのです。エレベータの閉じ込め問題や家具の転倒防止対策などの対策は必須です。JR仙台駅と地下鉄の仙台駅は多くの利用客が行き交うことから、特に、地震が発生したときの地下空間における利用客のパニックが懸念されます。




 この地震の後、5年の歳月をかけて「宮城県地震地盤図」が作成され、宮城県や仙台市などの地震被害想定などに利用されています。最近では、仙台平野南部地下構造調査が行われました。これは、長周期地震動の評価やこれに基づく長周期構造物の地震対策のための貴重なデータです。図2には、仙台平野南部の深部地盤構造の卓越周期分布図を示します。78年の地震当時の仙台市内の強震観測点は仙台駅前と住友生命ビルと東北大学の2点だけでしたが、この30年間に国や県、大学による強震観測網が整備され、貴重なデータが蓄積されています。建物や都市における地震リスク評価において周期情報を含んだ地震ハザード評価は重要です。筆者らは、シナリオ地震や確率論的地震動に対し、周期情報を有するハザード情報のデータベースを作成してきました。平成19年度には50mメッシュのデータベースを作成し、仙台市地震被害想定調査に適用しています。
図3には、仙台市域の想定宮城県沖地震(単独モデル)に対する地動最大加速度分布図を示します。

  




 地域の防災力を高めるためには、最新の科学的知見に基づく研究成果を防災対策に反映する事が大切です。筆者らは、平成16年度から3年間にわたり、文部科学省の防災研究成果普及事業に取り組みました。この事業では、極めて高い確率で発生が予測されている宮城県沖地震に備えた地震対策として、①地域防災情報の共有化、②地震リスクの地域内格差の明確化と防災力向上戦略の展開、③緊急地震速報・地震観測情報の防災対策への有効活用、を3つの柱とした事業を展開しました。
特に、緊急地震速報システムの活用に関しては、宮城県域の学校を中心に展開し、形骸化する防災訓練・防災教育への改革を行うとともに、地震発生時における早期避難体制の構築に役立ててきており、先日の岩手・宮城内陸地震の際には、その有効性が実証されました。学校施設の耐震化と融合する形での普及展開が望まれます。図4には、学校向けの緊急地震速報システムを用いた避難訓練の様子を示します。



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