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  1. 地震・津波の知識
  2. コラム
  3. ユキビタス社会と地震情報



 「天気予報」という単語でインターネットを検索しても、別にあやしげなサイトに出会うことはありません。しかし「地震予知」という単語で検索すると、あやしげなサイトが並んで出てきます。「あなたもできる○○」「○○雲で予知」「予知情報サービス○○」と続きます。地震予知を実現してほしいのは日本人の悲願ですが、本物の研究者の情報が少ないために、地震予知という大切な概念が、あやしげなサイトlこ乗っ取られてしまったような気分です。地震予知という言葉の意昧がきわめて暖昧になったので、もうとの言葉は使わないようにしたいと思います。
 ウェブサイトを検索してさまざまの情報を得ることができる世の中になりました。「ユビキタス社会」という言葉が使われるようになって、情報の生産をする本物の研究者たちの存在がますます大切であり、情報を使う市民の知的レベルの向上が国の行く末を左右するような世の中になってきました。
 そこで、プレート収束域にある東アジアの先進国である日本の役割が重要になります。とくに地震や噴火や津波に関連して、変動帯に住むさまざまな国の人びとのために、日本の役割がますます大きな意昧を持つようになりました。


 1995年(平成7年) 7月に地震 防災対策特別措置法ができました。地震調査研究推進本部はその法律にもとづいて生まれました。推進本部の基本的な役割は、地震防災対策の強化、とくに地震による被害を軽減するための調査や研究の推進であるとされています。本部の目標の中には、調査結果などの収集、整理、分析と総合的な評価、それらによる成果の広報というようなことが含まれています。
 一方、日本国の第三期科学技術基本計画は、科学技術に関する国民意識の醸成をあげています。理念の三番目には、健康と安全を守るという項目があり、その目標には、安全が誇りとなる国、世界一安全な日本を実現するという、国民の生活にとってたいへん重要な内容が盛り込まれています。
 世界の浅い大地震の分布を見るとわかるように、大規模な地震はプレートが集まってくる地域でそのほとんどが起こります。プレート収束域の東アジアには大きな震災がたびたび起こります。震災を軽減するための技術は、典型的な変動帯である日本を中心に発展してきました。そのような観点からも、推進本部の役割には、単に日本の国のためだけではない、世界の人類のための大きな意義があると、あらためて思います。


 テレビでは気象情報が毎日くり返し提供されます。台風の場合などには、発生してからその進路の予測や、各地の風速や雨量の予測が放送されますが、一番重要で頼りがいのある情報は、現在どこでどのような現象が観測されているかという情報です。それを知って自分である程度の判断ができるようになりました。
 これを日本列島の地震現象と比べてみると、小さい地震の発生状況や、GPSによる地形の変形が毎日の気象情報に相当するものであり、大規模地震が起こったときの緊急地震速報が、台風情報にあたります。ただ、大規模地震が起こってから地震波が伝わるのが速いので、情報を受けてから揺れるまでの時聞がとても短いのが大きな違いです。
 情報を伝えるとき、用語の定義をはっきりしておかないといけません。地震の大きさと地震動による揺れの強さの表現が正しく伝わることが必要です。マグニチュードと震度の意昧はくり返し説明されていても、多くの人たちが誤解している定義です。
地震調査研究推進本部の役割の一つは、用語をしっかり丁寧に定義して、くり返し正しい表現で発表を行い、報道機関の記者たちが正しい表現を身につけるように指導することです。


 地震発生の数日前の前兆現象の観測と、それにもとづく地震直前予報の研究は、今後の日本の地震学の大きな課題です。
20ないし30年後に確実に起こる南海トラフの巨大地震に備えて、観測網を整える投資は有効で効率的な投資です。変動帯にできた日本では前兆現象をとらえる仕事をしなければなりません。今はそのための絶好の機会です。
この機会を逃さないようにして、何はともあれ巨大地震の発生前後の観測をしっかりやれば、世界の人類のために貢献できる観測データが確実に得られます。その観測データを情報として提供しながら世界の学者たちに参加してもらって研究を進め、地下の現象の姿を国民に知ってもらうというのも、地震調査研究推進本部の今後の重要な仕事だと、私は思っています。




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