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熊本地震に対する調査研究機関の取組み-国土地理院-
調査研究レポート 熊本地震に対する調査研究機関の取り組み -国土地理院-

はじめに

平成28年4月14日21時26分に熊本地方でM6.5の地震(前震)が発生し、16日 01時25分にはM7.3の地震(本震)が発生した。これらの地震により熊本県で最大震度7を観測した。4月14日21時26分以降、最大震度6強を観測する地震が2回、最大震度6弱を観測する地震が3回発生している(7月20日15時現在)。平成28 年熊本地震に対する国土地理院の主な取組みを紹介します。

○電子基準点による地殻変動の把握・分析

16日01時25分発生した地震について、震源域周辺の電子基準点で観測された4時間分のデータを解析した結果、震源に近い電子基準点「長陽」(熊本県阿蘇郡南阿蘇村)が南西方向に約97cmの変動、上下方向に約23cmの隆起(いずれも暫定値)をはじめ、熊本県を中心とした地域で大きな地殻変動が確認されました。

観測にされた地殻変動から地下の震源断層のモデルを推定(図-1)しました。推定された断層面は知られていた活断層(布田川断層)とほぼ一致し、長さ約27kmの右横ずれ断層です。この推定結果は、政府の地震調査委員会に提供しました。

○「だいち2号」のデータを使用した地殻変動の把握・分析

地球観測衛星「だいち2号」のデータを使用した干渉SARによる解析により、布田川断層帯及び日奈久断層帯に沿って、顕著な地殻変動が明らかになりました。

布田川断層帯の北側では最大1m以上の沈降と東向きの変動、南側では最大30cm以上の隆起と50cm以上の西向きの変動が、日奈久断層帯では、布田川断層帯の変動よりは小さいものの北西側で東向き、南東側で西向きの変動が見られます。(図-2)。

また、干渉SARだけでは変動が充分確認できない地殻変動の全体像を把握するため、緊急GNSS観測を実施した結果、最大で2.1mの沈降が確認されました。干渉SARで得られた上下変動量と整合的な結果が得られていることから、布田川断層の北西側では周辺地盤全体が緩やかな傾斜で最大2m程度の沈降が生じたものとみられます(図-3)。

(図-1)4月16日の地震(M7.3)震源断層モデル(暫定) (図-2)干渉SARによる地殻変動の把握 (図-3)緊急GNSS観測結果

○航空レーザ測量による地盤の上下変動の把握

地震によって断続的な亀裂が発生した、布田川断層帯及び日奈久断層帯周辺について航空レーザ測量により高精度標高データを整備し、地震前後2時期の陰 影段彩図(図-4)及び標高差分段彩図(図-5)を作成しました。元々の地形を保ったまま、全体的に沈下していることが分かります。

(図-4)布田川断層帯・日奈久断層帯周辺陰影段彩図(地震前後) (図-5)布田川断層帯・日奈久断層帯周辺標高差分段彩図

○被災状況把握のための緊急写真撮影

被災状況把握のため、4月14日の最大震度7を観測した翌日の15日から、測量用航空機による緊急撮影を行い、約1万枚の航空写真を撮影しました。撮影範囲の決定にあたっては、電子基準点の観測結果、「だいち2号」のデータを使用した干渉SARによる解析結果及び震度5強以上を観測した地域等を参考としました。

また、無人航空機(ドローン)により、南阿蘇村河陽周辺の断層、益城町下陳周辺の断層、阿蘇大橋周辺を撮影し、断層が出現した範囲の確認や土砂崩壊の状況把握を行いました(図-6)。

(図-6)阿蘇大橋周辺の土砂崩壊(ドローンによる)

○写真判読による被災状況の把握

撮影した航空写真やドローンの画像から、土砂崩壊地や地表の亀裂の分布を判読し、土砂崩壊地分布図及び亀裂分布図を作成しました

これらの分布図は、現地対策本部、TEC-FORCEや専門家等の現地調査・断層把握の資料として活用されました。

○災害復旧事業等の支援

広範な地域に地殻変動が見られ、位置の基準を定める測地基準点(三角点、水準点)も大きく変動して現況と合わなくなっているため、測地基準点の再測量を実施し、災害復旧工事等で行われる公共測量が実施できるよう、基準点成果の改定を進めています。

また、土砂崩壊、地表亀裂、建物倒壊等の被害が大規模に発生している地域について、応急対策や災害復旧事業を行う上で共通に利用できる地理空間情報と して、地震発生後に撮影した航空写真を用いて、現況を正確に反映した地図や写真に等高線や地名などの情報を重ね合わせた写真図の整備を実施しています。

おわりに

平成28年熊本地震に対する国土地理院の取組みは、国土地理院ホームページ(http://www.gsi.go.jp/)の「平成28年熊本地震関連情報」で公開しています。

引き続き、被災地の一日も早い復旧・復興に向けた取組みを進めていきます。

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