埼玉県の活断層調査

【深谷断層調査】

1)調査地域及び、断層位置

  調査位置図


 深谷断層は、埼玉県の北部を北西−南東方向に横切っている活断層で、関東平野北西縁断層帯に属しています。地表では、北東側に下がっていく坂として現れています。
 活動履歴は明らかになっていませんが、歴史上記録されている関東地方内陸での最大級の地震である関東諸国地震(西暦818年、M7.5以上)との関連性が疑われています。また、最近の研究では、群馬県高崎市付近に活断層によるとみられる地形が見いだされ、深谷断層と一連のものではないかという見解が出されています。もし、そうだとすると、深谷断層は、きわめて大規模な活断層系の一部ということになり、その活動間隔や最新の活動時期を明らかにすることが大変重要になります。
 そこで、埼玉県では、深谷断層についての基礎的なデータを収集し、地震防災に関する資料を得ることを目的に、平成10年度に調査を実施しました。

 


2)調査状況

  物理探査の実施風景

  ボーリング調査の実施風景

 

 調査では、文献や既存ボーリングデータを収集整理するとともに、物理探査、ボーリング調査を実施しました。
 物理探査は、P波を用いた反射法地震探査で、深谷市街地、本庄市小山川流域の2測線で行いました。
 ボーリング調査は、物理探査の深谷市街地測線付近1カ所で行いました。


3)調査結果

  深谷測線反射法弾性波探査結果(縦を2倍に拡大)

  本庄測線反射法弾性波探査結果(縦を2倍に拡大)


 この調査の結果、深谷市街地測線では断層運動による破砕帯が認められました。また、地表では浸食のために断層による地形が消えてしまっている本庄市測線では撓曲が認められ、地下構造としては深谷断層が延びていることが見いだされました。 


  反射法弾性波探査とボーリングコアの対比(縦を2倍に拡大)


 ボーリング調査では、活動年代を特定する手がかりとなるテフラを採取することができました。特に、142m地点で純度の高いガラス質火山灰が得られました。この火山灰は、約30万年前あるいは60万年前のものと思われます。


4)解析・評価

 物理探査、ボーリング調査によって、深谷断層のおおよその変位量を把握することができました。
 11年度は、これらの調査結果をもとに、深谷断層が最近数千年から数万年の間に、どのような活動をしてきたのかを明らかにするための調査を順次進めていきます。
 (ただし、この解析及び評価は、埼玉県の見解です。)


5)問い合わせ先

  埼玉県環境生活部消防防災課
     tel:048-830-3173
     fax:048-830-4779


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