私たちがふだん使っている「地震」という言葉は、活断層やプレートが動くことによって発生する地震のことを指しています。平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震もそのひとつです。しかし、活断層やプレートの活動以外が発生要因となる地震もあります。そのひとつが「火山性地震」です。「火山性地震」とは、火山の噴火、あるいは噴火していなくてもマグマの動きや熱水の活動等に関連して、火山体の中やその周辺で発生する地震です。
火山性地震にはいろいろなタイプのものがあり、大きく分けると、噴火に伴うものと、火山内部の活動に関連したものがあります。内部の活動に関連した地震で特徴的な地震は、周期が短く、地震波形の立ち上がりがはっきりしたものがあります。これをA型地震と呼びます。震源は比較的深い場所だと考えられています。一方、周期がやや長く、地震波形の立ち上がりが不明瞭なものがあります。これをB型地震と呼びます。こちらは、震源が比較的浅い場所だと考えられています。
これらの地震以外にも、火山性微動と呼ばれる、火山で観測される震動があります。これは、「火山性地震」に比べ継続時間が長いものを指します。
また、噴火に伴って発生する地震で特徴的なものは、爆発的噴火に伴って発生する「爆発地震」で、火山で発生する地震の中では規模が大きく、多くの場合空振を伴います。 たとえば、火山性地震の発生の仕方で、噴火の前はA型
地震の頻発、B型地震および火山性微動の頻発という順番で地震が発生するという特徴を持った火山があります。発生する火山性地震のタイプ、震源の移動等を把握することが、噴火の予測の重要な手がかりとなっています。このように、火山防災にとって火山性地震を観測・分析することは非常に重要な役割を果たしています。