3月11日に平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震発生後、東日本では地震が多発しています。地震が発生すると、気象庁が「○○時○○分の地震の震源は○○地方」と発表します。テレビや新聞では、震源と推定される場所を「×」で示すこともあります。
 地震がどのような仕組みで起こるかというと、現在では、地下の岩盤がずれる(断層が動く)ことによって発生すると考えられています。「断層が動く」ということは、地震はある小さな1点で発生するのではなく、ある広さを持った領域で発生することを意味します。この領域のことを「震源域」と呼びます。断層の動きは、ある地点から動き始め、面的に広がっていきます。この動き始めの点を震源、動いた面全体を震源域と呼びます。
 それでは、震源域はどれほどの広さを持っているのでしょうか。それは地震の規模と関係があり、地震の規模は、マグニチュード(M)で表され、Mが大きくなるほど、断層の動いた領域が広くなります。M7.0のとき長さ数十km、M8.0のとき長さ80km程度にわたる領域が震源域となります。1960年に発生したチリ地震(M9.5)では、1,000kmに及ぶ領域が震源域となりました。
 今回発生した、東北地方太平洋沖地震においては、長さ400km以上、幅約200kmにわたって、断層が動いたと考えられます。動き始め(震源)は三陸沖でしたが、三陸沖から茨城県沖までの広い領域で断層の動きが観測されました(震源域)。その結果、三陸沖から比較的遠い関東地方の北部でも、強い揺れが観測されました。
 震源域の広がりは、強い揺れを起こす地震波を出す範囲であると同時に、地震が海域で発生した場合には、海域で地殻変動を起こす範囲の広さにも関係があり、その結果として、津波の発生源ともなります。そのため、震源域を即座に把握することが、地震の揺れで被災したであろう地域の広がりや被害の程度を推定したり、津波の即時予測をする上で重要になります。