平成26年7月9日 地震調査研究推進本部 地震調査委員会 |
6月24日にアリューシャン列島ラット諸島でモーメントマグニチュード(Mw)7.9の地震が発生し、北海道と青森県の太平洋沿岸で、津波と考えられる弱い海面変動を観測した。
○ 6月26日に根室半島南東沖の深さ約50kmでマグニチュード(M)4.8の地震が発生した。この地震の発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。
○ 6月8日に岩手県沿岸南部の深さ約65kmでM5.0の地震が発生した。この地震の発震機構は太平洋プレートの沈み込む方向に圧力軸を持つ型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。
○ 6月9日に宮城県沖の深さ約80kmでM4.6の地震が発生した。この地震の発震機構は太平洋プレートの沈み込む方向に圧力軸を持つ型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。
○ 6月15日に岩手県内陸南部の深さ約95kmでM5.5の地震が発生した。この地震の発震機構は太平洋プレートの沈み込む方向に圧力軸を持つ型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。
○ 6月16日に福島県沖の深さ約50kmでM5.8の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。
○ 6月16日に茨城県沖でM5.7の地震が発生した。この地震の発震機構は東西方向に張力軸を持つ正断層型であった。
○ 6月17日に房総半島南方沖の深さ約120kmでM5.3の地震が発生した。この地震の発震機構は太平洋プレートの沈み込む方向に圧力軸を持つ型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。
○ 6月29日に硫黄島近海でM6.4の地震が発生した。この地震の発震機構は、北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。
○ 東海地方のGNSS観測結果等には、東海地震に直ちに結びつくとみられる変化は観測されていない。
目立った活動はなかった。
目立った活動はなかった。
○ 6月24日にアリューシャン列島ラット諸島でMw7.9の地震が発生した。この地震の発震機構は北北東−南南西方向に圧力軸を持つ型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。この地震により、北海道と青森県の太平洋沿岸で津波と考えられる弱い海面変動を観測した。
○ 7月1日に小笠原諸島西方沖の深さ約540kmでM6.2の地震が発生した。この地震の発震機構は太平洋プレートの傾斜方向に圧力軸を持つ型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。
○ 7月3日に茨城県北部の深さ約10kmでM4.0の地震が発生した。この地震の発震機構は東北東−西南西方向に張力軸を持つ正断層型で、地殻内で発生した地震である。
○ 7月5日に岩手県沖の深さ約50kmでM5.9の地震が発生した。この地震の発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。
○ 7月8日に胆振地方中東部〔石狩地方南部〕の深さ約5kmでM5.6の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ型(速報)で、地殻内で発生した地震である。
注: 〔 〕内は気象庁が情報発表で用いた震央地域名である。
GNSSとは、GPSをはじめとする衛星測位システム全般をしめす呼称である。
平成26年7月9日 地震調査委員会 |
2014年6月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ73回(5月は73回)および8回(5月は9回)であった。また、M6.0以上の地震の発生は1回(5月は2回)であった。
(参考) | M4.0以上の月回数73回(1998−2007年の10年間の中央値)、 |
M5.0以上の月回数9回(1973−2007年の35年間の中央値)、 | |
M6.0以上の月回数1.4回、年回数約17回(1924−2007年の84年間の平均値) |
2013年6月以降2014年5月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。
− 宮城県沖 | 2013年8月4日 M6.0(深さ約60km) |
− 福島県浜通り | 2013年9月20日 M5.9(深さ約15km) |
− 福島県沖 | 2013年10月26日 M7.1 |
− 茨城県南部 | 2013年11月10日 M5.5(深さ約65km) |
− 茨城県北部 | 2013年12月31日 M5.4(深さ約5km) |
− 伊予灘 | 2014年3月14日 M6.2(深さ約80km) |
− チリ北部沿岸 | 2014年4月2日 Mw8.1 |
− 伊豆大島近海 | 2014年5月5日 M6.0(深さ約160km) |
北海道地方では特に補足する事項はない。
東北地方では特に補足する事項はない。
− 東北地方太平洋沖地震の余震域で発生したM4.0以上の地震の発生数は、東北地方太平洋沖地震後の約1年間と比べて、その後の1年間(2012年3月〜2013年2月)では5分の1以下、2年後からの1年間(2013年3月〜2014年2月)では10分の1以下にまで減少してきている。
2004年に発生したスマトラ北部西方沖の地震(Mw9.1)では、4ヵ月後にMw8.6、約2年半後にMw8.5、約5年半後にMw7.5、約7年半後に海溝軸の外側の領域でMw8.6の地震が発生するなど、震源域およびその周辺で長期にわたり大きな地震が発生している。
GNSS連続観測によると、東北地方から関東・中部地方の広い範囲で余効変動と考えられる地殻変動が引き続き観測されている。地殻変動量は、東北地方太平洋沖地震直後からの約1ヶ月間で、最大で水平方向に30cm、上下方向に6cmの沈降と5cmの隆起であったものから、最近1ヶ月あたりでは水平方向に最大1cm程度、上下方向には1cm 前後と小さくなっている。
余震活動は全体として徐々に低下している傾向にあると見てとれるものの、依然として東北地方太平洋沖地震前の地震活動より活発な状況にあることや、他の巨大地震における事例から総合的に判断すると、今後も長期間にわたって余震域やその周辺で規模の大きな地震が発生し、強い揺れや高い津波に見舞われる可能性があるので、引き続き注意が必要である。
−「東海地方のGNSS観測結果等には、東海地震に直ちに結びつくとみられる変化は観測されていない。」:
(なお、これは、6月30日に開催された定例の地震防災対策強化地域判定会における見解(参考参照)と同様である。)
(参考)最近の東海地域とその周辺の地殻活動(平成26年6月30日気象庁地震火山部)
「現在のところ、東海地震に直ちに結びつくとみられる変化は観測していません。
1.地震の観測状況
浜名湖周辺のフィリピン海プレート内では、引き続き地震の発生頻度の低い状態が続いています。
2.地殻変動の観測状況
GNSS観測及び水準測量の結果では、御前崎の長期的な沈降傾向は継続しています。
3.地殻活動の評価
上記観測結果を総合的に判断すると、東海地震の想定震源域におけるプレート境界の固着状況に特段の変化を示すようなデータは今のところ得られていません。
以上のように、現在のところ、東海地震に直ちに結びつくとみられる変化は観測していません。
なお、GNSS観測の結果によると「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」による余効変動が、小さくなりつつありますが東海地方においてもみられています。 」
近畿・中国・四国地方では特に補足する事項はない。
九州・沖縄地方では特に補足する事項はない。
−「6月24日にアリューシャン列島ラット諸島でMw7.9の地震が発生した。(以下、略)」:
米国海洋大気庁(NOAA)によると、この地震によりアリューシャン列島アムチトカで17cm、アトカで12cm、ハワイ州カフルイで10cmなどの津波と考えられる弱い海面変動を観測した。この地震の震源付近では、1906年にM8.3、1965年にはM8.7の地震が発生している。
参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
①M6.0以上または最大震度が4以上のもの。②内陸M4.5以上かつ最大震度が3以上のもの。③海域M5.0以上かつ最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
1 「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
2 「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
3 評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。