平成26年12月9日 地震調査研究推進本部 地震調査委員会 |
○ 11月22日に長野県北部の深さ約5kmでマグニチュード(M)6.7の地震が発生した。この地震により長野県で最大震度6弱を観測し、重傷者が出るなどの被害を生じた。
○ 11月3日に苫小牧沖〔胆振地方中東部〕の深さ約30kmでM4.6の地震が発生した。この地震の発震機構は北東−南西方向に圧力軸を持つ型で、陸のプレートの地殻内で発生した地震である。
○ 11月8日に宮城県沖でM5.2の地震が発生した。
○ 11月20日に福島県沖の深さ約45kmでM5.5の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。
○ 11月12日に茨城県南部の深さ約65kmでM4.8の地震が発生した。この地震の発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界で発生した地震である。
○ (11月22日長野県北部の地震及びその余震活動等については、別項を参照)
○ 東海地方のGNSS観測結果等には、東海地震に直ちに結びつくとみられる変化は観測されていない。
目立った活動はなかった。
目立った活動はなかった。
注: 〔 〕内は気象庁が情報発表で用いた震央地域名である。
GNSSとは、GPSをはじめとする衛星測位システム全般をしめす呼称である。
平成26年12月9日 地震調査委員会 |
2014年11月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ82回(10月は65回)および10回(10月は11回)であった。また、M6.0以上の地震の発生は1回(10月は1回)であった。
(参考) | M4.0以上の月回数73回(1998−2007年の10年間の中央値)、 |
M5.0以上の月回数9回(1973−2007年の35年間の中央値)、 | |
M6.0以上の月回数1.4回、年回数約17回(1924−2007年の84年間の平均値) |
2013年11月以降2014年10月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。
− 茨城県南部 | 2013年11月10日 M5.5(深さ約65km) |
− 茨城県北部 | 2013年12月31日 M5.4(深さ約5km) |
− 伊予灘 | 2014年3月14日 M6.2(深さ約80km) |
− チリ北部沿岸 | 2014年4月2日 Mw8.1 |
− 伊豆大島近海 | 2014年5月5日 M6.0(深さ約160km) |
− アリューシャン列島ラット諸島 | 2014年6月24日 Mw7.9 |
− 岩手県沖 | 2014年7月5日 M5.9(深さ約50km) |
− 胆振地方中東部 | 2014年7月8日 M5.6(深さ約5km) |
− 福島県沖 | 2014年7月12日 M7.0 |
− 青森県東方沖 | 2014年8月10日 M6.1(深さ約50km) |
− 栃木県北部 | 2014年9月3日 M5.1(深さ約5km) |
− 茨城県南部 | 2014年9月16日 M5.6(深さ約45km) |
北海道地方では特に補足する事項はない。
東北地方では特に補足する事項はない。
− 東北地方太平洋沖地震の余震域で発生したM4.0以上の地震の発生数は、東北地方太平洋沖地震後の約1年間と比べて、その後の1年間(2012年3月〜2013年2月)では5分の1以下、2年後からの1年間(2013年3月〜2014年2月)では10分の1以下にまで減少してきている。
2004年に発生したスマトラ北部西方沖の地震(Mw9.1)では、4ヵ月後にMw8.6、約2年半後にMw8.5、約5年半後にMw7.5、約7年半後に海溝軸の外側の領域でMw8.6の地震が発生するなど、震源域およびその周辺で長期にわたり大きな地震が発生している。
GNSS連続観測によると、東北地方から関東・中部地方の広い範囲で余効変動と考えられる地殻変動が引き続き観測されている。地殻変動量は、東北地方太平洋沖地震直後からの約1ヶ月間で、最大で水平方向に30cm、上下方向に6cmの沈降と5cmの隆起であったものから、最近1ヶ月あたりでは水平方向、上下方向ともに最大1cm程度と小さくなっている。
余震活動は全体として徐々に低下している傾向にあると見てとれるものの、依然として東北地方太平洋沖地震前の地震活動より活発な状況にあることや、他の巨大地震における事例から総合的に判断すると、今後も長期間にわたって余震域やその周辺で規模の大きな地震が発生し、強い揺れや高い津波に見舞われる可能性があるので、引き続き注意が必要である。
−「東海地方のGNSS観測結果等には、東海地震に直ちに結びつくとみられる変化は観測されていない。」:
(なお、これは、11月18日に開催された定例の地震防災対策強化地域判定会における見解(参考参照)と同様である。)
(参考)最近の東海地域とその周辺の地殻活動(平成26年11月18日気象庁地震火山部)
「 現在のところ、東海地震に直ちに結びつくとみられる変化は観測していません。
1.地震の観測状況
浜名湖周辺のフィリピン海プレート内では、引き続き地震の発生頻度の低い状態が続いています。
2.地殻変動の観測状況
GNSS観測及び水準測量の結果では、御前崎の長期的な沈降傾向は継続しています。
平成25年はじめ頃から静岡県西部から愛知県東部にかけてのGNSS観測及びひずみ観測にみられている通常とは異なる変化は、現在も継続しています。
3.地殻活動の評価
平成25年はじめ頃から観測されている通常とは異なる地殻変動は、浜名湖付近のプレート境界で「長期的ゆっくりすべり」が発生している可能性を示しており、現在も継続しています。
そのほかに東海地震の想定震源域ではプレート境界の固着状況に特段の変化を示すようなデータは今のところ得られていません。
以上のように、現在のところ、東海地震に直ちに結びつくとみられる変化は観測していません。
なお、GNSS観測の結果によると「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」による余効変動が、小さくなりつつありますが東海地方においてもみられています。 」
− 豊後水道周辺で2014年夏頃から見られている非定常的な地殻変動は、引き続き観測されている。この変化は、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界におけるゆっくりとした滑り(スロースリップ)に起因するものと考えられる。
九州・沖縄地方では特に補足する事項はない。
参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
①M6.0以上または最大震度が4以上のもの。②内陸M4.5以上かつ最大震度が3以上のもの。③海域M5.0以上かつ最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
1 「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
2 「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
3 評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。