平成25年3月11日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2013年2月の地震活動の評価

1.主な地震活動

○ 2月2日に十勝地方南部でマグニチュード(M)6.5の地震が発生し、北海道で最大震度5強を観測し、重傷者がでるなどの被害を生じた。

○ 2月25日に栃木県北部でM6.3の地震が発生し、栃木県で最大震度5強を観測し、被害を生じた。

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2.各地方別の地震活動

(1)北海道地方

○ 2月2日に十勝地方南部〔十勝地方中部〕の深さ約100kmでM6.5の地震が発生した。この地震の発震機構は太平洋プレートの傾斜方向に張力軸を持つ型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。GNSS観測結果によると、この地震に伴い、えりも1観測点(北海道)でわずかな地殻変動が観測された。

○ 2月17日に北海道東方沖の深さ約45kmでM5.3の地震が発生した。発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。

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(2)東北地方

○ 2月13日に宮城県沖の深さ約55kmでM4.7の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。

○ 2月24日に福島県浜通りの深さ約20kmでM4.5の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、地殻内で発生した地震である。

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(3)関東・中部地方

○ 2月9日に茨城県沖でM5.2の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に張力軸を持つ正断層型で、陸のプレートの地殻内で発生した地震である。

○ 2月19日に千葉県東方沖でM5.6の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に張力軸を持つ型であった。

○ 2月25日に栃木県北部の深さ約5kmでM6.3の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型で、地殻内で発生した地震である。この地震の震源近傍では、2月23日頃から地震活動がみられていた。また、この地震の発生後、活発な余震活動がみられたが、その後活動は徐々に減衰している。これまでの最大の余震は、本震から約10分後に発生したM4.7の地震である。
 GNSS観測結果によると、この地震に伴い、栗山観測点(栃木県)で地殻変動が観測された。
 今回の地震活動がみられた群馬県・栃木県県境付近では、東北地方太平洋沖地震以降、地震活動が活発となっていた。

○ 東海地方のGNSS観測結果等には、東海地震に直ちに結びつくとみられる変化は観測されていない。

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(4)近畿・中国・四国地方

目立った活動はなかった。

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(5)九州・沖縄地方

目立った活動はなかった。

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(6)その他の地域

○ 2月6日10時12分(日本時間)に南太平洋、サンタクルーズ諸島でMw7.9の地震が発生した。この地震に伴い、北海道から九州地方にかけての太平洋沿岸、沖縄県、伊豆・小笠原諸島で津波を観測した。この地震の発震機構は、北東−南西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、インド・オーストラリアプレートと太平洋プレートの境界で発生した地震である。

補足

○ 3月6日に沖縄本島近海(沖永良部島付近)の深さ約50kmでM5.0の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である


注: 〔 〕内は気象庁が情報発表で用いた震央地域名である。
 GNSSとは、GPSをはじめとする衛星測位システム全般をしめす呼称である。


2013年2月の地震活動の評価についての補足説明

平成25年3月11日
地震調査委員会

1.主な地震活動について

2013年2月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
  M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ115回(1月は95回)および14回(1月は14回)であった。また、M6.0以上の地震の発生は2回(1月は0回)であった。

(参考) M4.0以上の月回数73回(1998−2007年の10年間の中央値)、
M5.0以上の月回数9回(1973−2007年の35年間の中央値)、
M6.0以上の月回数1.4回、年回数約17回(1924−2007年の84年間の平均値)

2012年2月以降2013年1月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

− 佐渡付近  2012年2月8日 M5.7(深さ約15km)
− 茨城県北部  2012年2月19日 M5.2(深さ約5km)
− 茨城県沖  2012年3月1日 M5.3(深さ約55km)
− 茨城県北部  2012年3月10日 M5.4(深さ約5km)
− 三陸沖  2012年3月14日 M6.9
− 千葉県東方沖  2012年3月14日 M6.1(深さ約15km)
− 岩手県沖  2012年3月27日 M6.6(深さ約20km)
− 福島県沖  2012年4月1日 M5.9(深さ約55km)
− 千葉県北東部  2012年4月29日 M5.8(深さ約50km)
− 青森県東方沖  2012年5月24日 M6.1(深さ約60km)
− 長野県北部  2012年7月10日 M5.2(深さ約10km)
− 十勝地方南部  2012年8月25日 M6.1(深さ約50km)
− 宮城県沖  2012年8月30日 M5.6(深さ約60km)
− 宮城県沖  2012年10月25日 M5.6(深さ約50km)
− 三陸沖  2012年12月7日 M7.3
− 茨城県北部  2013年1月28日 M4.8(深さ約75km)
− 茨城県北部  2013年1月31日 M4.7(深さ約10km)

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2.各地方別の地震活動

(1)北海道地方

北海道地方では特に補足する事項はない。

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(2)東北地方

東北地方では特に補足する事項はない。

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(3)東北地方太平洋沖地震に伴う地震活動及び地殻変動について

−2012年3月から約1年間に、東北地方太平洋沖地震の余震域で発生したM4.0以上の地震は、東北地方太平洋沖地震の発生後の約1年間と比べて5分の1以下となるなど、余震活動は徐々に低下してきている。しかしながら、東北地方太平洋沖地震の発生前の平均的な地震活動状況と比べると、余震域におけるM4.0以上の地震の発生数は5倍以上であり、依然として余震活動は活発な状態にある。
 GNSS連続観測結果によると、東北地方太平洋沖地震直後からの約1ヶ月間における地殻変動量は、最大で水平方向に30cm、上下方向に6cmの沈降と5cmの隆起であった。変動は徐々に小さくなり、最近1ヶ月間では水平方向に最大1cmを超える程度、上下方向には1cm未満になっているが、引き続き東北地方から関東・中部地方の広い範囲で、余効変動と考えられる地殻変動が観測されている。
 2004年12月に発生したスマトラ島北部西方沖の地震(モーメントマグニチュード(Mw)9.1)では、震源域およびその周辺で、長期にわたって大きな地震が発生している。東北地方太平洋沖地震においても、今後も余震域やその周辺で規模の大きな地震が発生する恐れがあり、強い揺れや高い津波に見舞われる可能性があるので、引き続き注意が必要である。

(4)関東・中部地方

「東海地方のGNSS観測結果等には、東海地震に直ちに結びつくとみられる変化は観測されていない。」:
 (なお、これは、2月25日に開催された定例の地震防災対策強化地域判定会における見解(参考参照)と同様である。)

(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成25年2月25日気象庁地震火山部)

「現在のところ、東海地震に直ちに結びつくとみられる変化は観測されていません。

1.地震活動の状況
 静岡県中西部の地殻内では、全体的にみて、2005年中頃からやや活発な状態が続いています。
 浜名湖周辺のフィリピン海プレート内では、引き続き地震の発生頻度のやや少ない状態が続いています。
 その他の領域では概ね平常レベルです。

2.地殻変動の状況
 全般的に注目すべき特別な変化は観測されていません。
 GNSS観測及び水準測量の結果では、御前崎の長期的な沈降傾向は継続しています。更に、傾斜計、ひずみ計等の観測結果を含めて総合的に判断すると、東海地震の想定震源域におけるフィリピン海プレートと陸のプレートとの固着状況の特段の変化を示すようなデータは、現在のところ得られていません。
 なお、GNSS観測の結果によると、「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」による余効変動が、小さくなりつつありますが東海地域においてもみられています。
 ※GNSS(Global Navigation Satellite Systems)とはGPSをはじめとする衛星測位システム全般をしめす呼称。」

−箱根山付近〔神奈川県西部〕では、1月中旬から規模の小さな地震がややまとまって発生した。2月19日以降、地震活動は落ち着きつつある。また、周辺に設置された傾斜計でわずかに地殻変動が認められているが、2月中旬頃から鈍化してきている。

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(5)近畿・中国・四国地方

近畿・中国・四国地方では特に補足する事項はない。

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(6)九州・沖縄地方

−諏訪之瀬島近海〔トカラ列島近海〕で2月19日にM3.5を最大とするややまとまった地震活動があり、震度1以上を観測する地震が8回発生した。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
 @M6.0以上または最大震度が4以上のもの。A内陸M4.5以上かつ最大震度が3以上のもの。B海域M5.0以上かつ最大震度が3以上のもの。

参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
 1 「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
 2 「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
 3 評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。