平成21年9月10日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2009年8月の地震活動の評価

1.主な地震活動

○ 8月11日に駿河湾でマグニチュード(M)6.5の地震が発生した。この地震により、静岡県で最大震度6弱を観測し、死者1名、負傷者約320名などの被害を生じた。また、駿河湾から東海地方の太平洋沿岸にかけて津波を観測した。

○ 8月13日に八丈島東方沖でM6.6の地震が発生し、東京都(八丈島)で最大震度5弱を観測した。

○ 石垣島近海で8月17日にM6.7、M6.6の地震が発生するなど、まとまった地震活動があった。

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2.各地方別の地震活動

(1)北海道地方

目立った活動はなかった。

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(2)東北地方

○ 8月24日に青森県西方沖の深さ約170kmでM5.4の地震が発生した。この地震の発震機構は太平洋プレートの沈み込む方向に張力軸を持つ型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。

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(3)関東・中部地方

○(8月11日駿河湾の地震及びその余震活動等については、別項を参照)

○ 8月9日に東海道南方沖の深さ約330kmでM6.8の深発地震が発生した。この地震の発震機構は太平洋プレートの沈み込む方向に圧力軸を持つ型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。

○ 8月13日に八丈島東方沖でM6.6の地震が発生した。発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ型で、太平洋プレート内部で発生した地震と考えられる。

○ 8月11日駿河湾の地震活動の他には、東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。

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(4)近畿・中国・四国地方

目立った活動はなかった。

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(5)九州・沖縄地方

○ 8月5日に日向灘の深さ約35kmでM5.0の地震が発生した。この地震の発震機構は東北東−西南西方向に張力軸を持つ型で、フィリピン海プレート内部で発生した地震である。

○ 8月3日に熊本県天草・芦北地方の深さ約10kmでM4.7の地震が発生した。この地震の発震機構は北北西−南南東方向に張力軸を持つ横ずれ断層型で、地殻内で発生した地震である。

○ 8月5日に宮古島近海でM6.5の地震が発生した。この地震の発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で発生した地震と考えられる。

○ 8月17日09時05分に石垣島近海でM6.7の地震が発生した。また同日19時10分にM6.6の地震が発生した。これらの地震の発震機構は南北方向に張力軸を持つ横ずれ型であった。これらの地震発生後、活発な余震活動が見られたが、現在では収まりつつある。

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補足

○ 9月3日に薩摩半島西方沖の深さ約170kmでM6.0の地震が発生した。この地震の発震機構はフィリピン海プレートの沈み込む方向に張力軸を持つ型で、フィリピン海プレート内部で発生した地震である。

○ 9月4日に千葉県北西部の深さ約65kmでM4.5の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界で発生した地震である。

○ 9月8日に日高支庁東部の深さ約50kmでM4.8の地震が発生した。




2009年8月の地震活動の評価についての補足説明

平成21年9月10日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

2009年8月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
 M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ107回(7月は72回)および25回(7月は11回)であった。また、M6.0以上の地震の発生は6回で、2009年は8月までに11回発生している。

(参考)M4.0以上の月回数73回(1998−2007年の10年間の中央値)、
M5.0以上の月回数9回(1973−2007年の35年間の中央値)、
M6.0以上の月回数1.4回、年回数約17回(1924−2007年の84年間の平均値)

2008年8月以降2009年7月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

− 十勝沖 2008年9月11日M7.1

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2 各地方別の地震活動

(1)北海道地方

北海道地方では特に補足する事項はない。

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(2)東北地方

東北地方では特に補足する事項はない。

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(3)関東・中部地方

「8月11日駿河湾の地震活動の他には、東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。」:
 (なお、これは、8月31日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合せ会における見解(参考参照)と同様である。)

(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成21年8月31日気象庁地震火山部)

「8月11日に駿河湾でマグニチュード(M)6.5の地震が発生しましたが、余震は次第に減少しています。その他の東海地域の地震活動及び地殻変動の状況には特別な変化はみられず、現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。

1.地震活動の状況
 8月11日に駿河湾の深さ23kmを震源とするマグニチュード(M)6.5の地震(以下、駿河湾の地震)が発生しました。
 この駿河湾の地震は、想定東海地震とは発震機構が異なり、圧力軸が北北東―南南西方向の、横ずれ成分をもつ逆断層型で、フィリピン海プレート内で発生した地震です。余震はしだいに減少しています。
 浜名湖周辺のフィリピン海プレート内では地震の発生頻度が引き続き少ない状態になっています。一方、静岡県中西部の地殻内では地震活動がやや活発な状態が続いています。その他の地域では概ね平常レベルです。

2.地殻変動の状況
 8月11日の駿河湾の地震により、東海地域の歪計では、地震発生時に通常みられるステップ状の変化が観測され、その後、ゆっくりとした歪の変化が続きました。この変化は、想定断層面で発生するすべりによるものではないと考えられます。ゆっくりとした変化はしだいに小さくなり、8月11日11時頃には通常のレベルになりました。
 GPS観測及び水準測量の結果によると、今回の地震にともなって、駿河湾周辺で水平及び上下の小さな地殻変動が観測されたほかは、特別な変化は観測されていません。
 一方、御前崎の長期的な沈降傾向についてはこれまでと同様に継続しています。」

−8月2日に新潟県下越沖でM4.9とM4.8の地震が発生した。

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(4)近畿・中国・四国地方

近畿・中国・四国地方では特に補足する事項はない。

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(5)九州・沖縄地方

九州・沖縄地方では特に補足する事項はない。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
 @M6.0以上または最大震度が4以上のもの。A内陸M4.5以上かつ最大震度が3以上のもの。B海域M5.0以上かつ最大震度が3以上のもの。

参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
 1 「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
 2 「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
 3 評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。