平成20年10月10日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2008年9月の地震活動の評価

1.主な地震活動

9月11日に十勝沖でマグニチュード(M)7.1の地震が発生し、北海道で最大震度5弱を観測した。また、えりもで0.5m、浦河で0.2mなど、北海道と東北地方の太平洋沿岸でこの地震による津波を観測した。 補足説明へ

2.各地方別の地震活動

(1)北海道地方

○ 9月11日09時20分頃に十勝沖でM7.1の地震が発生した。発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。
 えりもで0.5m、浦河で0.2mなど、北海道と東北地方の太平洋沿岸でこの地震による津波を観測した。
 北海道日高地方及び十勝地方の南部を中心とする地域で、この地震に伴う小さな地殻変動を観測した。
 地震活動は本震−余震型で推移している。10月9日までの最大の余震は9月11日09時32分頃に発生したM5.7の地震で、余震活動は全体的に減衰しつつある。
 GPS観測結果から推定される今回の地震の断層モデルは北北東−南南西方向に延び、西北西方向に傾き下がる低角の逆断層であった。
 今回の地震は、平成15年(2003年)十勝沖地震の余震域で発生した。

○ 9月12日に釧路沖の深さ約40kmでM5.2の地震が発生した。 補足説明へ

(2)東北地方

○ 9月22日に津軽海峡の深さ約150kmでM5.6の地震が発生した。発震機構は北西−南東方向に張力軸を持つ型で、沈み込む太平洋プレート内部で発生した地震である。 補足説明へ

(3)関東・中部地方

○ 9月21日に東京湾〔千葉県北西部〕の深さ約70kmでM4.8の地震が発生した。この地震は沈み込む太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界付近で発生した地震で、発震機構は北北東−南南西方向に圧力軸を持つ型であった。

○ 東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。 補足説明へ

(4)近畿・中国・四国地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(5)九州・沖縄地方

○ 9月14日に奄美大島北東沖でM5.1の地震が発生した。 補足説明へ

補足

○ 10月4日に留萌支庁中北部の深さ約10kmでM3.5の地震が発生した。

○ 10月8日に千葉県北西部の深さ約65kmでM4.7の地震が発生した。  補足説明へ

注:〔 〕内は気象庁が情報発表で用いた震央地域名である。




2008年9月の地震活動の評価についての補足説明

平成20年10月10日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

2008年9月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
 M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ79回(8月は89回)および15回(8月は11回)であった。また、M6.0以上の地震の発生は1回で、2008年は9月までに17回発生している。

(参考)M4.0以上の月回数73回(1998−2007年の10年間の中央値)、
M5.0以上の月回数9回(1973−2007年の35年間の中央値)、
M6.0以上の月回数1.4回、年回数約17回(1924−2007年の84年間の平均値)

2007年9月以降2008年8月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

− 神奈川県西部 2007年10月1日M4.9(深さ約15km)
− 石川県能登地方 2008年1月26日M4.8(深さ約10km)
− 茨城県沖 2008年5月8日M7.0
− 岩手・宮城内陸地震 2008年6月14日M7.2(深さ約10km)
− 茨城県沖 2008年7月5日M5.2(深さ約50km)
− 沖永良部島付近 2008年7月8日M6.1(深さ約45km)
− 福島県沖 2008年7月19日M6.9
− 岩手県中部 2008年7月24日M6.8(深さ約110km)

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2 各地方別の地震活動

(1)北海道地方

北海道地方では特に補足する事項はない。

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(2)東北地方

東北地方では特に補足する事項はない。

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(3)関東・中部地方

「東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。」:
 (なお、これは、9月29日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合せ会における見解(参考参照)と同様である。)

 (参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成20年9月29日気象庁地震火山部)

  「現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。
1.地震活動の状況
 全般的には顕著な地震活動はありません。
 引き続き、静岡県中西部のフィリピン海プレート内ではマグニチュード3.5以上の地震の発生頻度は少なく、愛知県の地殻内では地震活動がやや活発な状態になっています。その他の地域では概ね平常レベルです。
 なお、長野県南部から愛知県にかけてのプレート境界付近で8月25日頃〜9月4日及び9月7日〜8日にかけて深部低周波地震が観測されました。
2.地殻変動の状況
 全般的には注目すべき特別な変化は観測されていません。
 GPS観測及び水準測量の結果では、御前崎の長期的な沈降傾向はこれまでと同様に継続しています。
 なお、長野県南部から愛知県にかけてのプレート境界付近における「短期的ゆっくり滑り」に起因すると見られる地殻変動が8月25日頃〜9月4日にかけて周辺の歪計等で観測されました。この付近では同様の現象が本年1月にも観測されています。」

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(4)近畿・中国・四国地方

近畿・中国・四国地方では特に補足する事項はない。

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(5)九州・沖縄地方

−9月10日に宮古島近海の深さ約50kmでM4.5の地震が発生した。

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補足

−10月1日に岐阜県美濃中西部の深さ約15kmでM4.4の地震が発生した。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
 @M6.0以上または最大震度が4以上のもの。A内陸M4.5以上かつ最大震度が3以上のもの。B海域M5.0以上かつ最大震度が3以上のもの。

参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
 1 「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
 2 「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
 3 評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。