平成19年6月13日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2007年5月の地震活動の評価


1.主な地震活動

目立った活動はなかった。 補足説明へ

2.各地方別の地震活動

(1)北海道地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(2)東北地方

○ 5月19日に青森県東方沖〔浦河沖〕の深さ約65kmでM5.3の地震が発生した。発震機構は西北西―東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。 補足説明へ

(3)関東・中部地方

○ 5月8日に茨城県南部の深さ約45kmでM4.5の地震が発生した。発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。

○ 3月25日の能登半島地震(平成19年(2007年)能登半島地震)の余震活動は、5月2日に余震域北東側でM4.7、6月11日には本震の近傍でM5.0の地震が発生したが、全体としては減衰している。

○ 能登半島西方沖には、北東―南西方向に延びる南東傾斜の逆断層が活断層として認められていたが、臨時海底地形調査からこの断層に対応する急傾斜地形が確認された。臨時の海底地震観測及び陸上地震観測結果から、余震分布の延長上にこの断層が位置していることが分かった。また、陸域観測技術衛星「だいち」による地殻変動観測結果により得られたすべり量分布などから、今回の地震はこの断層が活動したものと考えられる。

○ 東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。 補足説明へ

(4)近畿・中国・四国地方

○ 5月13日に島根・広島県境付近〔広島県北部〕の深さ約10kmでM4.6の地震が発生した。発震機構は西北西―東南東方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型で、地殻内で発生した地震である。 補足説明へ

(5)九州・沖縄地方

○ 5月7日に屋久島付近〔種子島近海〕の深さ約50kmでM5.1の地震が発生した。 補足説明へ

補足

○ 6月1日に埼玉県北部の深さ約60kmでM4.5の地震が発生した。発震機構は北北西―南南東方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型で、フィリピン海プレート内部で発生した地震である。

○ 6月1日に静岡県西部の深さ約15kmでM4.3の地震が発生した。発震機構は西北西―東南東方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型で、地殻内で発生した地震である。

○ 6月2日に茨城県南部の深さ約50kmでM4.6の地震が発生した。発震機構は北西―南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。

○ 6月6日から大分県中部でM4.9を最大とする、まとまった地震活動があった。最大の地震(M4.9)の発震機構は南北方向に張力軸を持ち、かつ横ずれ成分を持つ正断層型で、地殻内で発生した地震である。地震活動は当初活発であったが、現在は減衰してきている。 補足説明へ

注:〔 〕内は気象庁が情報発表に用いた震央地域名である。


2007年5月の地震活動の評価についての補足説明

平成19年6月13日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

2007年5月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
 M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ81回(4月は145回)および11回(4月は35回)であった。また、M6.0以上の地震の発生は0回で、2007年は5月までに7回発生している。

(参考)M4.0以上の月回数73回(1996−2005年の10年間の中央値)、
M5.0以上の月回数9回(1976−2005年の30年間の中央値)、
M6.0以上の月回数1.4回、年回数約17回(1926−2005年の80年間の平均値)

2006年5月以降2007年4月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

− 大分県中部 2006年6月12日M6.2(深さ約150km)
− 千島列島東方 2006年11月15日M7.9
− 千島列島東方 2007年1月13日M8.2
− 能登半島地震 2007年3月25日M6.9(深さ約10km)
− 三重県中部 2007年4月15日M5.4(深さ約15km)
− 宮古島北西沖 2007年4月20日M6.3,M6.7,M6.1などの地震活動

本文へ

2 各地方別の地震活動

(1)北海道地方

北海道地方では特に補足する事項はない。

本文へ

(2)東北地方

東北地方では特に補足する事項はない。

本文へ

(3)関東・中部地方

「東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。」:
 (なお、これは、5月28日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合せ会における見解(参考参照)と同様である。)

 (参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成19年5月28日気象庁地震火山部)

「 現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。
 全般的には顕著な地震活動はありません。浜名湖東方から静岡県中部の直下では通常より活動レベルの低い状態になっていますが、その他の地域では概ね平常レベルです。
 東海地域及びその周辺の地殻変動には注目すべき特別な変化は観測されていません。」

−4月15日に三重県中部で発生したM5.4の地震に伴う余震活動は減衰している。

本文へ

(4)近畿・中国・四国地方

近畿・中国・四国地方では特に補足する事項はない。

本文へ

(5)九州・沖縄地方

−GPS観測結果によると、4月20日に発生したM6.7を最大とする、宮古島北西沖のややまとまった地震活動に伴い、先島諸島でごくわずかな変動が観測された。

本文へ

補足

「6月6日から大分県中部でM4.9を最大とする、まとまった地震活動があった。最大の地震(M4.9)の発震機構は南北方向に張力軸を持ち、かつ横ずれ成分を持つ正断層型で、地殻内で発生した地震である。地震活動は当初活発であったが、現在は減衰してきている。」
 今回の地震の周辺では、2000年4月にもM4.2を最大とする、まとまった地震活動が発生している。その他にも2,3日程度継続する地震活動が時々発生している。また周辺には別府―万年山(はねやま)断層帯が存在している。

本文へ


参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
 @M6.0以上または最大震度4以上のもの。A内陸M4.5以上かつ最大震度が3以上のもの。B海域M5.0以上かつ最大震度が3以上のもの。

参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
 1 「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
 2 「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
 3 評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。