平成19年7月17日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

平成19年(2007年)新潟県中越沖地震の評価



○ 7月16日10時13分頃に新潟県上中越沖の深さ約15kmでマグニチュード(M)6.8(暫定)の地震が発生した。この地震により新潟県と長野県で最大震度6強を観測し、被害を伴った。発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、地殻内の浅い地震である。地震活動は本震−余震型で推移している。7月17日10時までの最大の余震は16日15時37分頃に発生したM5.8(暫定)の地震で、最大震度6弱を観測した。

○ 今回の地震に伴い、柏崎や小木(おぎ)で高さ0.2〜0.3mの津波を観測するなど、新潟県沿岸を中心に弱い津波を観測した。

○ 今回の地震に伴い、柏崎市西山町(にしやまちょう)池浦(いけうら)観測点で1,000galを超えるなど大きな加速度を観測した。

○ GPS観測の結果によると、本震の発生に伴って、柏崎市の沿岸部で最大北西方向へ約16cm移動するなど震源付近に大きな地殻変動が観測された。

○ 本震の発震機構と余震分布から推定される震源断層は北東―南西方向に延びる南東傾斜の逆断層であった。地震波形データから推定される断層モデルも、これとほぼ整合している。また、本震の震源過程の解析結果と余震分布から、主な破壊は北東から南西方向に進んだと考えられる。

○ 日本海東縁部にはひずみ集中帯と呼ばれる活構造が存在しており、今回の地震はこの構造の一部が関係していると考えられる。今回の地震の東側約10kmには、西に傾斜する逆断層である長岡平野西縁断層帯が存在しているが、推定された断層モデルとは調和せず、この断層帯が活動したものではないと考えられる。

○ 今回の地震の東側では平成16年(2004年)新潟県中越地震が発生しているが、今回の地震を誘発させたものではないと思われる。

○ 今回の余震発生状況は、最近の被害地震と比べると活発ではないが、今後一週間程度は余震により、震度5強、ところによっては震度6弱の揺れが発生する恐れがある。7月17日11時から3日以内にM5.5(ところによって震度6弱程度が観測される)以上の余震が発生する確率は約30%と推定される。

*:今回の地震に対し、気象庁は「平成19年(2007年)新潟県中越沖地震」と命名した。