平成18年12月13日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2006年11月の地震活動の評価


1.主な地震活動

11月15日に千島列島東方でマグニチュード(M)7.9の地震が発生し、オホーツク海沿岸から太平洋沿岸全域にかけて津波を観測した。 補足説明へ

2.各地方別の地震活動

(1)北海道地方

○ 11月1日に十勝支庁南部の深さ約50kmでM4.8の地震が発生した。発震機構は北西―南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。また、同じ日にほぼ同じ場所でM4.3の地震が発生した。

○ 11月22日に北海道東方沖〔国後島付近〕の深さ約95kmでM5.6の地震が発生した。発震機構は南北方向に張力軸を持つ型で、太平洋プレート内部の地震である。 補足説明へ

(2)東北地方

○ 11月30日に福島県会津の深さ約5kmでM4.3の地震が発生した。 補足説明へ

(3)関東・中部地方

○ 11月24日に伊豆半島東方沖の深さ約5kmでM4.3の地震が発生した。

○ 東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。 補足説明へ

(4)近畿・中国・四国地方

○ 11月19日に愛媛県南予の深さ約40kmでM4.2の地震が発生した。 補足説明へ

(5)九州・沖縄地方

○ 11月18日に奄美大島近海でM6.0の地震が発生した。発震機構は北西―南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。GPS観測結果によると、この地震に伴い、喜界島でわずかな変動が観測された。 補足説明へ

(6)その他の地域

○ 11月15日20時14分に千島列島東方でM7.9の地震(最大震度2)が発生した。発震機構は北西―南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、プレート境界で発生した地震と考えられる。GPS観測結果によると、この地震に伴い、北海道北部でごくわずかな変動が観測された。 補足説明へ

補足

○ 12月4日に千葉県北東部の深さ約50kmでM4.5の地震が発生した。発震機構は西北西―東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートと太平洋プレートの境界で発生した地震である。

○ 12月6日に釧路沖の深さ約30kmでM5.0の地震が発生した。

○ 12月11日に奄美大島北東沖でM5.7の地震が発生した。 補足説明へ


注:〔 〕内は気象庁が情報発表に用いた震央地域名である。



○ 2006年11月の地震活動の評価についての補足説明

平成18年12月13日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

2006年11月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
 M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ109回(10月は101回)および34回(10月は26回)であった。また、M6.0以上の地震の発生は4回で、2006年は11月までに20回発生している。

(参考)M4.0以上の月回数73回(1996−2005年の10年間の中央値)、
M5.0以上の月回数9回(1976−2005年の30年間の中央値)、
M6.0以上の月回数1.4回、年回数約17回(1926−2005年の80年間の平均値)

2005年11月以降2006年10月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

− 三陸沖 2005年11月15日M7.2
− 日向灘 2006年3月27日M5.5(深さ約35km)
− 伊豆半島東方沖 2006年4月21日M5.8、4月30日M4.5などの地震活動
− 大分県中部 2006年6月12日M6.2(深さ約150km)

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2 各地方別の地震活動

(1)北海道地方

北海道地方では特に補足する事項はない。

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(2)東北地方

「11月30日に福島県会津の深さ約5kmでM4.3の地震が発生した。」:
 地震発生直後の余震活動は比較的活発であったが、現在はほぼ収まった。

−2005年8月16日に発生した宮城県沖の地震(M7.2、最大震度6弱)後、牡鹿半島周辺のGPS観測点で観測されていた余効変動は、ほぼ収まった。

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(3)関東・中部地方

「11月24日に伊豆半島東方沖の深さ約5kmでM4.3の地震が発生した。」:
 この地震の南東約5kmの場所で、11月10日〜12日にかけて小規模な地震活動があった。この地震活動とともに、周辺の傾斜計、歪計等に地殻変動が観測された。

「東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。」:
 (なお、これは、11月27日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合せ会における見解(参考参照)と同様である。)

 (参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成18年11月27日気象庁地震火山部)

「 現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。
 全般的には顕著な地震活動はありません。浜名湖東方から静岡県中部の直下では通常より活動レベルの低い状態になっていますが、その他の地域では概ね平常レベルです。
 東海地域及びその周辺の地殻変動には注目すべき特別な変化は観測されていません。」

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(4)近畿・中国・四国地方

−11月3日に大阪府北部の深さ約10kmでM3.7の地震(最大震度4)が発生した。余震活動はほぼ収まった。

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(5)九州・沖縄地方

−11月5日頃から沖縄本島北西沖でM4.8を最大とする小規模な地震活動があった。

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(6)その他の地域

「11月15日20時14分に千島列島東方でM7.9の地震(最大震度2)が発生した。発震機構は北西―南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、プレート境界で発生した地震と考えられる。GPS観測結果によると、この地震に伴い、北海道北部でごくわずかな変動が観測された。」:
 この地震に伴い、オホーツク海と太平洋沿岸全域に津波が伝播し、国内で観測した最大の津波の高さは84cm(三宅島坪田検潮所における暫定値)であった。
 今回の地震とほぼ同じ場所で、9月下旬から10月初旬にかけてM6クラスの地震が4回発生するなど、地震活動が一時活発であった。

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補足

−12月9日にオホーツク海南部の深さ約440kmでM5.9の深発地震が発生した。

−12月13日に鹿児島県薩摩地方の深さ約5kmでM3.8の地震が発生した。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
 M6.0以上のもの。または、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。

参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
 1「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
 2「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
 3評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。