平成17年9月14日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会


2005年8月の地震活動の評価


1 主な地震活動

○ 8月16日に宮城県沖の深さ約40kmでマグニチュード(M)7.2の地震が発生した。この地震により、宮城県で最大震度6弱を観測し、負傷者が出るなどの被害を生じた。また、東北地方の太平洋沿岸で微弱な津波が観測された。

○ 8月21日に新潟県中越地方の深さ約15kmでM5.0の地震が発生し、新潟県で最大震度5強を観測した。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

○ 8月16日に十勝支庁南部の深さ約50kmでM4.6の地震が発生した。発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。 補足説明へ

(2) 東北地方

○ (8月16日に発生した宮城県沖の地震およびその余震活動等については別項を参照補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○ 8月8日に茨城県沖の深さ約45kmでM5.6の地震が発生した。発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートの沈み込みに伴う地震である。

○ 8月7日に千葉県北西部の深さ約75kmでM4.7の地震が発生した。発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートの沈み込みに伴う地震である。

○ 8月21日に新潟県中越地方の深さ約15kmでM5.0の地震が発生し、最大震度5強を観測した。発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型である。活動は本震−余震型で推移し、余震活動は順調に減衰している。これまでの最大の余震は、21日に本震付近で発生したM3.4の地震である。なお、周辺のGPS観測結果には、この地震の前後で、特に変化は認められない。今回の震源は、平成16年(2004年)新潟県中越地震の余震域の西側10km付近に位置している。また、今年6月20日に発生した新潟県中越地方の地震(M5.0)の北東側15km付近に位置している。

○ 東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化は、現在も継続しているように見える。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

補足

○ 9月6日に台湾付近でM6.0の地震が発生した。 補足説明へ


2005年8月の地震活動の評価についての補足説明

平成17年9月14日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

2005年8月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ112回(7月は115回)および13回(7月は16回)であった。また、M6.0以上の地震は3回で、2005年は8月までに11回発生している。

(参考)1971−2000年の30年間の標準的な回数:
M4.0以上の月回数46回、M5.0以上の月回数8回、M6.0以上の月回数1.3回、年回数約16回

2004年8月以降2005年7月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

− 岩手県沖 2004年8月10日M5.8(深さ約50km)
− 紀伊半島南東沖(東海道沖)
2004年9月5日M7.4
− 茨城県南部 2004年10月6日M5.7(深さ約65km)
− 与那国島近海 2004年10月15日M6.6
− 新潟県中越地方(平成16年(2004年)新潟県中越地震)
2004年10月23日M6.8(深さ約10km)
− 釧路沖 2004年11月29日M7.1(深さ約50km)
− 留萌支庁南部 2004年12月14日M6.1(深さ約10km)
− 房総半島南東沖(プレートの三重会合点付近)
2005年1月19日M6.8
− 茨城県南部 2005年2月16日M5.4(深さ約45km)
− 福岡県西方沖 2005年3月20日M7.0(深さ約10km)
− 千葉県北東部 2005年4月11日M6.1(深さ約50km)
− 熊本県天草芦北地方  2005年6月3日M4.8(深さ約10km)
− 新潟県中越地方 2005年6月20日M5.0(深さ約15km)
− 千葉県北西部 2005年7月23日M6.0(深さ約75km)

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

北海道地方では特に補足する事項はない。

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(2) 東北地方

−8月26日に福島県沖でM5.4の地震が発生した。

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(3) 関東・中部地方

「8月7日に千葉県北西部の深さ約75kmでM4.7の地震が発生した。発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートの沈み込みに伴う地震である。」:
この地震は、7月23日に千葉県北西部で発生した地震(M6.0)のこれまでの最大の余震である。なお、余震活動は順調に減衰しており、徐々に地震発生前の活動レベルに戻りつつある。

「東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化は、現在も継続しているように見える。」:
GPS観測結果によれば、東海地方から中部地方にかけての太平洋側は、フィリピン海プレートの北西方向への沈み込みなどにより、西北西にほぼ一定速度で移動していたが、2001年4月頃から、静岡県西部を中心とする地域の移動について、変化している傾向が見られた。この長期的な変化の傾向には、2004年9月5日の紀伊半島南東沖の地震以降、一時的にそれまでとは異なった変化が見られていたが、最近では地震発生以前の状況に戻っている。
(なお、9月1日の総合防災訓練の際に気象庁で開催された地震防災対策強化地域判定会(訓練)における検討結果によれば、7月25日の同判定会委員打合せ会以降、東海地域の地震活動および地殻変動の状況に大きな変化はない。本評価結果は、この見解と同様である。)


(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成17年7月25日気象庁地震火山部)
「 現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。
 全般的には顕著な地震活動はありません。浜名湖直下で通常より活動レベルの低い状態が続いていますが、その他の地域では概ね平常レベルです。
 地殻変動については、昨年9月5日の東海道沖(紀伊半島南東沖)のM7.4の地震以降、この地震による余効変動と見られる動きが観測されていましたが、最近はこの地震以前の状態に戻り、プレート境界のゆっくり滑りに起因すると思われる長期的な地殻変動が継続している状況が見られます。
 なお、7月20日から23日にかけて、一部の歪計および傾斜計の記録に若干の変化が見られました。この間、愛知県東部において低周波地震が発生しています。 」

関東・中部地方では、他に次の地震活動があった。
−7月26日から地震活動が活発化した八丈島東方沖(八丈島の東方約250km)では、8月10日のM5.0の地震の前後で一時的に地震回数が増加するなど、消長を繰り返しながら、活動は現在も継続している。

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(4) 近畿・中国・四国地方

近畿・中国・四国地方では特に補足する事項はない。

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(5) 九州・沖縄地方

九州・沖縄地方では特に補足する事項はない。

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補足

−9月4日に伊予灘の深さ約55kmでM4.3の地震が発生した。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
   M6.0以上のもの。または、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
  1  「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
  2  「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
  3  評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。