平成16年8月11日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会


2004年7月の地震活動の評価


1 主な地震活動

目立った活動はなかった。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

○ 7月20日に十勝支庁南部の深さ約100kmでマグニチュード(M)5.0の地震が発生した。発震機構は太平洋プレートの沈み込む方向に張力軸を持つ型で、太平洋プレート内部の地震である。
○ 7月29日に十勝支庁南部の深さ約50kmでM4.7の地震が発生した。この地震は平成15年(2003年)十勝沖地震の余震と考えられる。 補足説明へ

(2) 東北地方

○ 7月4日に青森県三八上北地方の深さ約110kmでM4.5の地震が発生した。
○ 7月9日に岩手県内陸北部の深さ約10kmでM4.4の地震が発生した。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○ 7月20日に茨城県北部の深さ約55kmでM4.1の地震が発生した。
○ 7月10日に茨城県南部の深さ約50kmでM4.7の地震が発生した。発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートと陸のプレートとの境界で発生した地震である。
○ 7月17日に房総半島南東沖の深さ約70kmでM5.5の地震が発生した。地震活動は本震−余震型で推移しており、活動は次第に低下してきている。
○ 7月27日に岐阜県美濃中西部の深さ約10kmでM4.5の地震が発生した。余震活動は数日中にほぼ収まった。この地震の震央付近では、1969年9月9日にM6.6の地震が発生している。
○ 東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化は、現在でも依然として継続しているように見える。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

○ 7月22日に沖縄本島近海でM6.1の地震が発生した。発震機構は北西−南東方向に張力軸を持つ型であった。余震活動は次第に低下してきている。 補足説明へ

(6) その他の地域

○ 7月8日に千島列島でM6.3の地震が発生した。


補足

○ 8月6日に千葉県北西部の深さ約75kmでM4.6の地震が発生した。発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界で発生した地震である。
○ 8月10日に岩手県沖の深さ約50kmでM5.8の地震が発生し、最大震度5弱を観測した。発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。


2004年7月の地震活動の評価についての補足説明

平成16年8月11日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

2004年7月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ132回(6月は87回)および17回(6月は10回)であった。また、M6.0以上の地震の発生は2回で、2004年は7月までに4回発生している。
このうち、台湾付近の地震活動の7月中の地震回数は、M4.0以上が67回、M5.0以上が6回で、これを除いたM4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ65回および11回である。
(参考)1971−2000年の30年間の標準的な回数:
    M4.0以上の月回数46回、M5.0以上の月回数8回、M6.0以上の月回数1.3回、年回数約16回

2003年7月以降2004年6月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

−宮城県北部

2003年7月26日M6.4(深さ約10km)

−十勝沖(平成15年(2003年)十勝沖地震)

2003年9月26日M8.0(深さ約40km)

−福島県沖

2003年10月31日M6.8(深さ約30km)

−房総半島南東沖(プレートの三重会合点付近)
2004年5月30日M6.7

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

「7月29日に十勝支庁南部の深さ約50kmでM4.7の地震が発生した。この地震は平成15年(2003年)十勝沖地震の余震と考えられる。」:
平成15年(2003年)十勝沖地震の余震活動は、引き続き減衰傾向である。GPS観測結果によると、本震発生後に観測された余効変動はわずかながら継続している。

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(2) 東北地方

−7月21日に三陸沖でM5.5とM5.4の地震が発生した。発震機構はいずれも西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。ほぼ同じ場所で7月3日にもM5.2の地震が発生している。

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(3) 関東・中部地方

「東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化は、現在でも依然として継続しているように見える。」:
東海地方から中部地方にかけての太平洋側は、フィリピン海プレートの北西方向への沈み込みなどにより、西北西にほぼ一定速度で移動しているが、GPS観測結果では、静岡県西部を中心とする地域において、2001年4月頃から、この移動に、やや変化している傾向が見られるようになり、2004年7月に入っても継続している。但し、変化が加速している様子はない。
(なお、本評価結果は、7月26日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合会における見解(参考参照)と同様である。)


(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成16年7月26日気象庁地震火山部)

「現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。

全般的には顕著な地震活動はありません。浜名湖直下で通常より活動レベルの低い状態が続いていますが、その他の地域では概ね平常レベルです。

プレート境界のゆっくり滑りに起因すると思われる東海地域およびその周辺で見られる長期的な地殻変動は依然継続しています。2003年の変動は、2002年に比べて大きく、2001年と同程度でした。また、すべりの中心は浜名湖北東にあり、移動していないとみられます。」

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(4) 近畿・中国・四国地方

−7月12日に兵庫県南西部の深さ約10kmでM3.9の地震が発生した。

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(5) 九州・沖縄地方

「7月22日に沖縄本島近海でM6.1の地震が発生した。発震機構は北西−南東方向に張力軸を持つ型であった。余震活動は次第に低下してきている。」:
これまでの最大の余震は、7月25日のM5.9の地震である。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
   M6.0以上のもの。または、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
  1  「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
  2  「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
  3  評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。