平成15年9月10日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会


2003年8月の地震活動の評価


1 主な地震活動

目立った活動はなかった。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動


(1) 北海道地方

○ 8月30日に浦河沖の深さ約55kmでマグニチュード(M)5.2の地震が発生した。発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。 補足説明へ

(2) 東北地方

○ 7月26日に宮城県北部で発生した地震(M6.2)の余震活動は、ほぼ順調に減衰しながら続いている。8月8日(M4.4)、9日(M4.0)、12日(M4.4)、27日(M4.1)、および9月5日(M4.0)には、マグニチュード4以上の余震が発生した。なお、GPS観測結果によると、7月26日の本震(M6.2)発生以降、顕著な余効変動は観測されていない。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○ 8月18日に千葉県北西部の深さ約70kmでM4.6の地震が発生した。発震機構はほぼ東西に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界で発生した地震である。

○ 東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化は、最近では2001年に比べてやや小さいものの、現在でも依然として継続しているように見える。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

○ 8月6日に和歌山県北部の深さ約5kmでM4.0の地震が発生した。

○ 8月14日に高知県東部の深さ約35kmでM4.6の地震が発生した。発震機構は西北西−東南東に張力軸を持つ横ずれ断層型で、フィリピン海プレート内部の地震である。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ




補足

○ 9月1日にウラジオストク付近の深さ約540kmでM6.2の深発地震が発生した。



2003年8月の地震活動の評価についての補足説明

平成15年9月10日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

日本およびその周辺域では、マグニチュード(M)4.0以上の地震の発生は57回(7月は77回、2000年末までの30年間の月平均は約46回)観測された。M5.0以上の地震の発生は4回(7月は9回)であった。
また、M6.0以上の地震の発生は、1998〜2002年の間で、年に平均15回(2000年までの30年間の年平均は約16回)発生している。2003年8月にはM6.0以上の地震は発生しなかった。2003年は7月までに6回発生している。
2002年8月以降2003年7月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

−青森県東方沖2002年10月14日M5.9(深さ約50km)
−宮城県沖2002年11月3日M6.2(深さ約45km)
−日向灘2002年11月4日M5.7(深さ約35km)
−宮城県沖2003年5月26日M7.0(深さ約70km)

−宮城県北部

2003年7月26日M6.2(深さ約10km)

本文へ

2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

北海道地方では、特に補足する事項はない。

本文へ

(2) 東北地方

「7月26日に宮城県北部で発生した地震(M6.2)の余震活動は、ほぼ順調に減衰しながら続いている。8月8日(M4.4)、9日(M4.0)、12日(M4.4)、27日(M4.1)、および9月5日(M4.0)には、マグニチュード4以上の余震が発生した。なお、GPS観測結果によると、7月26日の本震(M6.2)発生以降、顕著な余効変動は観測されていない。」:
臨時観測点のデータを用いて解析した余震の高精度の震源分布および発震機構解からは、北側の南北走向(西傾斜)と南側の北東−南西走向(北西傾斜)の断層面が推定される。GPS観測結果や水準測量等の地殻変動データからは、上記と同様な2枚の断層面を持つ逆断層モデルが推定されている。

東北地方では、他に次の地震活動があった。
−5月26日に発生した宮城県沖の地震(M7.0)の余震域の北端付近の深さ約70kmで、8月22日にM4.6の余震が発生した。余震活動は、引き続き順調に減衰している。

本文へ

(3) 関東・中部地方

「東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化は、最近では2001年に比べてやや小さいものの、現在でも依然として継続しているように見える。」:
東海地方から中部地方にかけての太平洋側は、フィリピン海プレートの北西方向への沈み込みなどにより、西北西にほぼ一定速度で移動しているが、GPS観測結果では、静岡県西部を中心とする地域において、2001年4月頃から、この移動に、やや変化している傾向が見られるようになり、2003年8月に入っても継続している。但し、変化は2001年に比べてやや小さくなっている。
(なお、9月1日の総合防災訓練の際に気象庁で開催された地震防災対策強化地域判定会(訓練)における検討結果によれば、7月28日の同判定会委員打合会以降、東海地域の地震活動および地殻変動の状況に大きな変化はない。本評価結果は、この見解と同様である。)

(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成15年7月28日気象庁地震火山部)

「現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。
浜名湖直下では通常より地震活動が低下した状況にありましたが、最近回復しつつあります。その他の領域では地震活動に特段の変化は見られません。
プレート境界のゆっくり滑りに起因すると思われる東海地域およびその周辺に見られる長期的な地殻変動は、最近では2001年に比べてやや小さいように見えるものの、依然継続しています。」


関東・中部地方では、他に次の地震活動があった。
−8月4日に茨城県沖の深さ約60kmでM4.9の地震が発生した。

本文へ

(4) 近畿・中国・四国地方

近畿・中国・四国地方では、特に補足する事項はない。

本文へ

(5) 九州・沖縄地方

−8月19日に奄美大島近海の浅いところでM4.9の地震が発生した。

本文へ

参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
M6.0以上のもの。又は、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。