平成14年6月12日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2002年5月の地震活動の評価


1 主な地震活動

目立った活動はなかった。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動


(1) 北海道地方

○5月22日に、国後島付近の深さ約150kmで、マグニチュード (M)5.8の地震が発生した。発震機構は、太平洋プレートの沈み込む方向に張力軸を持つ型であった。この地震は、太平洋プレート内部の二重地震面の下面で発生した地震である。 補足説明へ

(2) 東北地方

○5月6日に、宮城県沖の深さ約40kmで、M5.0の地震が発生した。発震機構は、東西方向に圧力軸をもつ逆断層型であった。この地震は、沈み込む太平洋プレートと陸のプレートの境界付近で発生した地震である。

○5月12日に、岩手県内陸南部の深さ約95kmで、M5.1の地震が発生した。発震機構は、太平洋プレートの沈み込む方向に圧力軸を持つ型であった。この地震は、太平洋プレート内部の二重地震面の上面で発生した地震である。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○5月4日に千葉県北東部の深さ約30kmで、M4.6の地震が発生した。この地震は、沈み込むフィリピン海プレートと陸のプレートの境界付近で発生した地震である。

○5月19日に千葉県北西部の深さ約70kmで、M4.6の地震が発生した。この地震は、フィリピン海プレートと太平洋プレートの境界付近で発生した地震である。

○三宅島付近から新島・神津島付近にかけての地震活動は、5月28日にM4.4の地震が発生するなど一時的に活発化したが、数時間程度でほぼ収束した。その後、地震活動及び地殻変動は以前からの傾向に変化なく、引き続き低調ながらも続いている。

○東海地方のGPS観測結果に昨年から認められた長期的な変化は、現在でも依然として継続しているように見える。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

○5月20日に、熊本県熊本地方の深さ約15kmで、M4.2の地震が発生した。 補足説明へ




(6) その他の地域

○5月15日に、台湾付近でM6.8の地震が発生した。この付近では3月31日にM7.2の地震が発生している。



補足

○6月3日に、鳥島近海の深さ約520kmでM6.2の深発地震が発生した。



2002年5月の地震活動の評価についての補足説明

平成14年6月12日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

日本及びその周辺域では、マグニチュード(M)4.0以上の地震の発生は57回(4月は52回、2000年末までの30年間の月平均は約46回)観測された。この内、M5.0以上の地震の発生は6回(4月は5回)であった。
 また、M6.0以上の地震の発生は、1998〜2000年の間で、年に平均16回(2000年までの30年間の年平均も約16回)発生している。2002年5月にはM6.0以上の発生は1回。2002年は5月までに5回発生している。
2001年5月以降2002年4月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。


−岩手県内陸南部2001年12月2日M6.4(深さ約120km)

−神奈川県西部2001年12月8日M4.5(深さ約25km)

−奄美大島2001年12月9日M5.8(深さ約40km)

−与那国島近海2001年12月18日M7.3(深さ約10km)

−茨城県沖2002年2月12日M5.5(深さ約50km)

−石垣島南方沖2002年3月26日M6.6(深さ約10km)

−台湾付近2002年3月31日M7.2

本文へ

2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

北海道地方では、特に補足する事項はない。

本文へ

(2) 東北地方

東北地方では、他に次の地震活動があった。

− 5月30日に、青森県東方沖の深さ約60kmで、M4.6の地震が発生した。この付近では、4月4日に、M5.3の地震が発生している。

本文へ

(3) 関東・中部地方

「東海地方のGPS観測結果に昨年から認められた長期的な変化は、現在でも依然として継続しているように見える。」:
東海地方から中部地方にかけての太平洋側は、フィリピン海プレートの北西方向への沈み込みなどにより、西北西にほぼ一定速度で移動しているが、GPS観測結果では、静岡県西部を中心とする地域において、2001年4月頃から、この移動に、やや変化している傾向が見られるようになり、2002年5月に入っても継続している。但し、変化が加速している様子はない。
(なお、本評価結果は、5月24日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合会における見解(参考参照)と同様である。)

(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成14年5月24日気象庁地震火山部)
「東海地域のフィリピン海プレート内の地震活動は、昨年4〜6月の静岡県中部の活動終了以降低下しています。
一方、地殻内の地震活動は、昨年は平常かやや多い状態で推移していましたが、現在は平常のレベルに戻っています。
また、東海地域及び周辺の地殻変動には、国土地理院の観測によれば、昨年から長期的な変化が認められ、現在でも依然として継続しているように見えます。
 現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。」

関東・中部地方では、他に次の地震活動があった。
−3月25日頃から続いていた新潟県中越地方の地震活動は、5月に入ってからは低調となっている。
−5月8日から、伊豆半島東方沖で、体に感じない小さな地震の活動があった。地震活動とともに、周辺のGPS、傾斜計、歪計等に地殻変動が観測された。地震活動は、13日以降は収まっている。

本文へ

(4) 近畿・中国・四国地方

近畿・中国・四国地方では、次の地震活動があった。

−和歌山・奈良県境の深さ約10km付近の地震活動は、5月に入ってからは低調となっている。

本文へ

(5) 九州・沖縄地方

「5月20日に、熊本県熊本地方の深さ約15kmで、M4.2の地震が発生した。」:
熊本県熊本地方では、2000年6月8日にM4.8の地震が発生している。

九州・沖縄地方では、他に次の地震活動があった。
−5月6日に、豊後水道の深さ約60kmで、M4.3の地震が発生した。

本文へ

補足
 −6月5日から6日にかけて伊豆大島島内でM3.6を最大とする地震活動があった。


訂正

ア 前月公表した「山形盆地断層帯の評価」(平成14年5月8日付、地震調査研究推進本部地震調査委員会)の図2の下の記述に誤りがありましたので訂正します。
3ページの図2の下の記述(資料の刊行年の誤り)

 誤)・・・活断層の位置は澤ほか(2000),今泉ほか(2000)及び八木ほか(2000)に基づく。
 正)・・・活断層の位置は澤ほか(2001),今泉ほか(2001)及び八木ほか(2001)に基づく。

イ 前月公表した「伊勢湾断層帯の評価」(平成14年5月8日付、地震調査研究推進本部地震調査委員会)の以下の3箇所に誤りがありましたので訂正します(断層の読み仮名の誤り)。
1ページ (1.断層帯の位置・形態 の文章の6行目)
5ページ (表1 1.(1)断層帯主部を構成する断層 の「特性」の欄)、
11ページ (1.伊勢湾断層帯に関するこれまでの主な調査研究 の文章の3行目)

 誤)・・・内海(うちうみ)断層
 正)・・・内海(うつみ)断層

参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
M6.0以上のもの。又は、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。