平成13年11月14日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2001年10月の地震活動の評価


1 主な地震活動

目立った活動はなかった。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動


(1) 北海道地方

○ 10月4日に千島列島の深さ約320kmでマグニチュード(M)6.0の深発地震が発生した。発震機構は太平洋プレートの沈み込む方向に圧力軸をもつものであった。 補足説明へ

(2) 東北地方

○ 10月2日に福島県沖の深さ約40kmでM5.4の地震が発生した。発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸をもつもので、太平洋プレートの沈み込みに伴う地震である。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○ 10月18日に茨城県南西部の深さ約50kmで、M4.3の地震が発生した。この地震は、フィリピン海プレートの上面付近で発生した地震である。

○ 三宅島付近から新島・神津島付近にかけての地震活動は、低調ながらも続いている。また、周辺のGPS観測によれば、最近の地殻変動も、まだ完全な停止まではいたっていない。

○ 駿河湾及びその周辺の地殻内の地震活動はやや活動レベルの低い状態が続いていたが、回復傾向が引き続き認められる。

東海地方のGPS観測結果に認められた、静岡県西部を中心とする地域での微小な変化は、その後も継続している。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

○ 10月8日に鳥取県西部の深さ約10kmでM4.1の地震が発生した。この地震は「平成12年(2000年)鳥取県西部地震」の余震である。

○ 10月15日に和歌山県南部の深さ約25kmでM4.3の地震が発生した。この地震は、地殻の下部で発生したものである。

○ 5月下旬から、和歌山・奈良県境付近で、微小地震の活動が続いている(最大M3.6)。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

○ 10月31日に奄美大島近海の深さ約120kmでM5.2のやや深発地震が発生した。 補足説明へ






2001年10月の地震活動の評価についての補足説明

平成13年11月14日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

日本及びその周辺域では、マグニチュード(M)4.0以上の地震の発生は45回(9月は44回、2000年末までの30年間の月平均は約46回。)観測された。この内、M5.0以上の地震の発生は6回(9月は5回)であった。
 また、M6.0以上の地震の発生は、1998〜2000年の間で、年に平均16回(2000年までの30年間の年平均は約16回)発生している。10月は1回、9月には観測されていない。2001年は1月からこれまでに、9回発生している。
 2000年10月以降2001年9月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。


−鳥取県西部「平成12年(2000年)鳥取県西部地震」
2000年10月6日M7.3(深さ約10km)
−鹿児島県十島村悪石島付近(奄美大島近海)
2000年10月2日M5.7(深さ約10km)
−三重県中部2000年10月31日M5.5(深さ約40km)
−西表島付近2000年11月14日M4.4 (深さ約10km)
−新潟県中越地方 2001年1月2日M4.4(深さ約10km)
−新潟県中越地方(1月2日の地震から南南東に40kmのところ)
2001年1月4日M5.1(深さ約10km)
−兵庫県北部2001年1月12日M5.4(深さ約10km)
−新島・神津島付近2001年2月13日M3.9(深さ約10km)
−安芸灘「平成13年(2001年)芸予地震」
2001年3月24日M6.7(深さ約50km)
−静岡県中部2001年4月3日M5.1(深さ約35km)

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

北海道地方では、他に次の地震活動があった。
− 10月1日に、北海道東方沖で、M5.0の地震。
− 10月27日に、十勝沖で、M4.6とM4.7の地震が発生した。この付近では、これらを含めて微小な地震の活動が5日程度続いた。

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(2) 東北地方

東北地方では、特に補足する事項はない。

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(3) 関東・中部地方

「駿河湾及びその周辺の地殻内の地震活動はやや活動レベルの低い状態が続いていたが、回復傾向が引き続き認められる。
東海地方のGPS観測結果に認められた、静岡県西部を中心とする地域での微小な変化は、その後も継続している。」:

長期的に見ると1996年頃からやや地震の発生頻度が低下し、2000年10月頃からさらに低下していたが、最近5ヶ月程度で見ると、地殻内の地震活動は、若干、発生頻度が高くなっているように見える。10月も引き続きその傾向が続いている。

東海地方から中部地方にかけての太平洋側は、フィリピン海プレートの北西方向への沈み込みなどにより、西北西にほぼ一定速度で移動しているが、GPS観測結果では、静岡県西部を中心とする地域において、2001年4月頃から、やや変化している傾向が見られるようになり、10月に入っても継続している。

(なお、本評価結果は、10月29日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合会における見解(参考参照)と同様である。)
(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成13年10月29日気象庁地震火山部)
「東海地域においては、本年に入りスラブ内の地震活動はやや多い状態が続いていましたが、最近は少し落ち着いてきました。
 駿河湾及びその西岸域の地殻内の地震活動については、活動の低い状態が継続していましたが、最近はやや増加の傾向が認められます。
 また、東海地域及び周辺の地殻変動には、国土地理院の観測によれば長期的には引き続き変化が認められますが、直ちに東海地震に結びつくような変化は観測されていません。」
関東・中部地方ではその他、次の活動があった。
− 10月2日に、房総半島南東沖でM5.1の地震。10月5日にも、2日の地震の北約50kmくらいのところ(関東東方沖)で、M5.0の地震。

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(4) 近畿・中国・四国地方

「5月下旬から、和歌山・奈良県境付近で、微小地震の活動が続いている(最大M3.6)。」:
5月下旬から続いている和歌山・奈良県境付近の深さ約10kmでの微小地震の活動(これまでの最大M3.6)は、10月に入っても、それまでの地震活動域の範囲で継続しており(10月の最大はM3.2)、10月上旬以降は、東側の端を中心に続いている。一連の活動の発生域は、南北約5km、東西約4kmに及び、西に緩やかに傾斜するような面状となっているが、活発なところとそうでないところがある。当該地域には顕著な地殻変動は見出されていない。

「10月15日に和歌山県南部の深さ約25kmでM4.3の地震が発生した。この地震は、地殻の下部で発生したものである。」:
和歌山県南部では地殻の下部で地震活動が従来から活発である。今回の地震はこの活動域の北端付近で発生した。

近畿・中国・四国地方では、その他、次の地震活動があった。
− 8月25日に発生した京都府南部の地震(M5.1)の余震活動は、減衰しながら続いている。10月12日には、M3.0の余震が発生。

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(5) 九州・沖縄地方

九州・沖縄地方では、特に補足する事項はない。

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(6) 補足

11月13日に、岩手県沖の深さ約50kmで、M4.7の地震が発生した。この付近では、過去約5年おきに同程度の規模の地震が発生している。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
M6.0以上のもの。又は、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。