平成13年8月8日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2001年7月の地震活動の評価


1 主な地震活動

目立った活動はなかった。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動


(1) 北海道地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(2) 東北地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○ 7月20日に、茨城県南西部の深さ約55kmで、マグニチュード(M)4.8の地震が発生した。発震機構は北西−南東方向に圧力軸をもつ逆断層型であり、フィリピン海プレートの沈み込みに伴う地震と考えられる。

○ 7月26日に、埼玉県南部の深さ約85kmで、M4.2の地震が発生した。発震機構はほぼ東西方向に圧力軸をもつ逆断層型であり、太平洋プレートの沈み込みに伴う地震と考えられる。

○ 6月29日から始まった青ヶ島の南方沖約30〜60kmの地震活動は、7月4日夜から7月5日にかけてM5.0を超える地震が発生するなど活発化したが、その後、活動は低下し、中旬以降はほぼ収まっている。

○ 三宅島付近から新島・神津島付近にかけての地震活動は、低調ながらも続いている。また、周辺のGPS観測によれば、最近の地殻変動も、まだ完全な停止まではいたっていない。

○ 駿河湾及びその周辺の地殻内の地震活動はやや活動レベルの低い状態が続いていたが、回復傾向が引き続き認められる。

東海地方のGPS観測結果には、静岡県西部から岐阜県南部付近に至る地域で、最近、約3ヶ月間に微小な変化が認められ継続している。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ





2001年7月の地震活動の評価についての補足説明

平成13年8月8日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

日本及びその周辺域では、マグニチュード(M)4.0以上の地震の発生は47回(6月は64回、2000年末までの30年間の月平均は約46回。)観測された。この内、M5.0以上の地震の発生は6回(6月は9回)であった。
 また、M6.0以上の地震の発生は、1998〜2000年の間で、年に平均16回(2000年までの30年間の年平均は約16回)発生している。7月の発生はなかったが、2001年は1月からこれまでに、6回発生している。
 2000年7月以降2001年6月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

−三宅島付近から新島・神津島付近にかけての地域
2000年6月末から同年9月までマグマ活動に関連する活発な地震活動が継続。7月1日M6.4(深さ約10km)及び7月30日M6.5(深さ約10km)。
−茨城県沖2000年7月21日M6.4(深さ約50km)
−鳥取県西部「平成12年(2000年)鳥取県西部地震」
2000年10月6日M7.3(深さ約10km)
−西表島付近2000年11月14日M4.4 (深さ約10km)
−新潟県中越地方 2001年1月2日M4.4(深さ約10km)
−新潟県中越地方(1月2日の地震から南南東に40kmのところ)
2001年1月4日M5.1(深さ約10km)
−兵庫県北部2001年1月12日M5.4(深さ約10km)
−新島・神津島付近2001年2月13日M3.9(深さ約10km)
−安芸灘「平成13年(2001年)芸予地震」
2001年3月24日M6.7(深さ約50km)
−静岡県中部2001年4月3日M5.1(深さ約35km)

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

北海道地方では、次の活動があった。
 − 余市岳付近で、4月から微小地震の活動が継続。7月23日には、M3.0の地震が発生。

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(2) 東北地方

東北地方では、特に補足する事項はない。

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(3) 関東・中部地方

「駿河湾及びその周辺の地殻内の地震活動はやや活動レベルの低い状態が続いていたが、回復傾向が引き続き認められる。
東海地方のGPS観測結果には、静岡県西部から岐阜県南部付近に至る地域で、最近、約3ヶ月間に微小な変化が認められ継続している。」:
長期的に見ると1996年頃からやや地震の発生頻度が低下し、2000年10月頃からさらに低下していたが、最近3ヶ月程度で見ると、地殻内の地震活動は、若干、発生頻度が高くなっているように見える。
東海地方から中部地方にかけての太平洋側は、フィリピン海プレートの北西方向への沈み込みにより、北西にほぼ一定速度で移動しているが、最近約3ヶ月間のGPS観測結果では、静岡県西部から岐阜県南部付近にかけての地域において、2001年4月頃から、やや変化している傾向が見られるようになった。

(なお、本評価結果は、7月30日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合会における見解(参考参照)と同様である。)
(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成13年7月30日気象庁地震火山部)
「 東海地域においては、4月3日の静岡県中部の地震(M5.1)や関連した地震活動の発生など、スラブ内において地震活動は最近やや多い状態が続いています。
 駿河湾及びその西岸域の地殻内の地震活動については、活動の低い状態が継続していましたが、最近は回復する傾向が認められます。なお、7月25日から大井川下流付近で地震(最大M3.1)が発生し、ごく小規模な活動が継続しています。
 また、東海地域及び周辺の地殻変動には、国土地理院の観測によれば長期的には若干の変化が認められますが、直ちに東海地震に結びつくような変化は観測されていません。」

関東・中部地方ではその他、次の活動があった。
 − 7月21日に千葉県北東部でM4.0の地震。この付近では、2000年6月3日にM6.1の地震が発生している。
 − 7月下旬頃に静岡県中部(大井川下流付近)で微小地震の活動(最大M3.1)。
 − 6月下旬から箱根付近で微小地震の活動があり、7月に入っても継続(最大M2.9)。また、周辺のGPS観測及び体積歪計に、小さな変化。

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(4) 近畿・中国・四国地方

近畿・中国・四国地方では、次のような地震活動があった。
− 5月下旬から、和歌山・奈良県境付近の深さ10〜15kmで微小地震の活動(最大M3.6)が続いていたが、6月下旬に北側に2〜3km離れたところで新たに発生し、7月は主に北側で活動が継続。

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(5) 九州・沖縄地方

九州・沖縄地方では、次の活動があった。
− 7月上旬に、奄美大島近海で、M5.2(7月10日)を最大とする地震活動。この付近では、1995年10月18日にM6.6の地震が発生している。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
M6.0以上のもの。又は、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。