平成12年9月13日 |
地震調査研究推進本部 |
地震調査委員会 |
三宅島付近から新島・神津島付近にかけての地震活動の評価
○ 6月末から始まった、三宅島付近から新島・神津島付近にかけての地震活動では、8月には、18日のマグニチュード(M)6.0の地震(最大震度6弱)をはじめとしてM5.0以上の地震が合計5回発生した。8月22日以降9月13日現在まで、引き続き、それ以前と同様、三宅島西方沖から新島・神津島東方沖の海域(以下「第一の海域」という。)、利島西方沖から神津島付近の海域(以下「第二の海域」という。)、及び三宅島南西沖から御蔵島南西沖の海域(以下「第三の海域」という。)で地震活動が続いている。9月11日には第二の海域(利島の西方約5km)でM5.3の地震が発生し、最大震度5弱を観測した。
しかし、地震活動はかなり低調となるとともに、地震活動の発生の仕方も変化してきた。即ち、
@M3.5以上の地震の日平均発生回数は、第一の海域では、6月26日から7月13日まででは約60回、7月14日から8月8日までは約30回、8月9日から8月23日までは約10回となり、8月24日以降は総発生数が1回となっている。
AM5.0以上の地震は、6月26日から7月13日までの18日間では20回、7月14日から8月8日までの26日間でも20回発生していたが、8月9日から8月23日までの15日間では1回、8月24日から9月12日までの20日間でも1回となり、少ない状態となっている。
B地震活動の発生の仕方は、7月中はバースト的な地震活動(数時間の間にまとまって地震が発生すること)が頻繁に発生していたが、8月以降は2回となった。
なお、最大震度5弱以上を観測したM5前後の地震の発生は8月3日以降についてみると、8月3〜5日(8回発生)、16〜18日(3回)、29日(1回)、9月11日(1回)とあり、その間隔は10日余りとなっている。
○ 周辺のGPS観測の結果では、神津島東方のマグマ活動を示唆する新島の北東への移動・神津島の南西への移動は、7月中旬頃から8月中旬頃まではその傾向を大きく変えることなく継続していた。しかし、その後、変化の速度は鈍り、ほぼ移動がとまった。また、8月24日前後からは、神津島東方沖のマグマ活動全体の動きを反映していると考えられる房総半島南端でも、VLBIの変化も含めて、変化の速度は鈍った。但し、新島・神津島間については、局地的な地殻変動がわずかに残っている。
○ このように、地震活動及び地殻変動ともに、時期を同じくして、活動が低調となった。また、新島・神津島間における地殻変動は局地的なものに止まっている。
以上のことから、今後もM5前後の地震の発生は否定できないものの、6月末から始まった一連の地震活動は収まりつつあると考えられる。
なお、三宅島島内については、火山活動に関連する地殻変動が続いている。