平成12年10月11日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2000年9月の地震活動の評価


1 主な地震活動

6月末から始まった、三宅島付近から新島・神津島付近にかけての地震活動では、9月11日に利島の西の海域で、マグニチュード(M)5.3の地震が発生し最大震度5弱を観測した。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動


(1) 北海道地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(2) 東北地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○ 9月9日に、埼玉県東部(埼玉県南部)の深さ約70kmでM4.2の地震が発生した。フィリピン海プレート内で発生したものである。

○ 9月29日に、神奈川県東部の深さ約90kmでM4.5のやや深発地震が発生し、やや深発地震では珍しく余震を多数伴った。発震機構は北東−南西方向に圧力軸を持つ型であった。この地震は太平洋プレートの沈み込みに伴う地震である。

○ 6月26日から始まった三宅島付近から新島・神津島付近にかけての地震活動は、9月に入ってからは、9月11日に、利島の西方約5kmの深さ約10kmでM5.3の地震が発生したものの、全体としては低調となった。また、地殻変動についても、その変化はほぼ停止した (別項参照)。

○ 静岡県中部の、沈み込むフィリピン海プレート内の地震活動は、昨年の8月以来の低い活動レベルの状態が続いている。一方、東海地方の掛川−御前崎間のGPS観測の結果には従来の変化傾向から変わるものは見られていない。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

○ 9月25日に、熊本県熊本地方の深さ約10kmでM4.0の地震が発生した。この付近では、6月8日にM4.8の地震があり、今回の地震はその活動域内に位置する。この地震の北東約15kmでは、8月10日にM4.0の地震が発生している。 補足説明へ




4 補足

○ 10月2日に、悪石島付近(奄美大島近海)で、M5.7の地震が発生し、悪石島で最大震度5強を観測した(別項参照)。その後も、地震活動が続き、最大震度5弱を2回観測した。

○ 10月3日に、三陸沖で、M5.9の地震が発生した。

○ 10月6日に、鳥取県西部の深さ約10kmで、M7.3(暫定)の地震が発生し、鳥取県西部で最大震度6強を観測し、その後も、活発な余震活動が続いている(別項参照)。



2000年9月の地震活動の評価についての補足説明

平成12年10月11日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

日本及びその周辺域では、M4.0以上の地震の発生は43回(8月は182回(三宅島付近から新島・神津島付近の地震を除くと44回)、昨年末までの30年間の月平均は43回。)観測された。この内M5.0以上の地震の発生は5回(8月は14回)であった。9月は、平均的な発生数である。また、M6.0を超える地震の発生は、1997年から1999年の間で、年に平均11回(台湾付近の地震を除くと8回)発生しているが、今年は9月末までで、19回発生している(そのうち、三宅島付近から新島・神津島付近にかけてのM6以上は5回。)。なお、以上の統計には、8月5日にサハリン中部に発生した地震は含めていない。
昨年3月以降本年7月までの主な地震活動として次のものがあった。

−新島・神津島近海 1999年3月14日M4.7(深さ10km以浅)、
1999年3月28日M5.0(深さ20km以浅)
−釧路支庁中南部 1999年5月13日M6.4やや深発地震(深さ約100km)
−和歌山県北部 1999年8月21日M5.4(深さ約70km)
−台湾 1999年9月21日M7.7(米国地質調査所による。)
−瀬戸内海中部 1999年10月30日M4.5(深さ約15km)
−熊本県熊本地方(深さ約10km)、福井県沖(深さ約15km)及び
 愛知県西部(深さ約50km)で1999年11月にM4.0を超える地震
−北海道東方沖 2000年1月28日M6.8(深さ約60km)
−北海道胆振支庁(有珠山周辺)
2000年3月30日M4.3(深さ約10km以浅)
及び4月1日M4.6(深さ約10km以浅)を始めとする火山活動に関連する地震活動
−千葉県北東部 2000年6月3日M6.0(深さ約50km)
−石川県西方沖 2000年6月7日M6.1(深さ20km以浅)
−熊本県熊本地方 2000年6月8日M4.8(深さ約10km)
−三宅島付近から新島神津島付近にかけて
2000年7月1日M6.4(深さ約10km)及び7月30日M6.4(深さ約10km)を始めとするマグマ活動に関連する地震活動
−茨城県沖 2000年7月21日M6.0(深さ約50km)
−三宅島付近から新島神津島付近にかけて 2000年8月には、マグニチュード(M)5.0以上(8月18日、最大M6.0)の地震が合計5回発生。また、この地震活動で、最大震度6弱2回、5強2回、及び5弱8回を観測。

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

北海道地方では、次の地震活動があった。
−9月3日に、北海道東方沖で、M5.2の地震。1月28日のM6.8、8月16日のM5.7の地震とほぼ同じ場所。

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(2) 東北地方

東北地方では、特に補足する事項はない。

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(3) 関東・中部地方

「静岡県中部の、沈み込むフィリピン海プレート内の地震活動は、昨年の8月以来の低い活動レベルの状態が続いている。」:
静岡県中部のフィリピン海プレート内に発生する地震(M1.5以上)の頻度が、平均して1ヶ月に6回程度であったものが、1999年8月頃から平均より少ない状態が続いている。

関東・中部地方では、次の地震活動があった。
−9月1日に、千葉県北東部の深さ約50kmでM4.1の地震。6月3日のM6.0の地震の余震域内。余震発生数は6月末くらいからほぼ一定の割合で現在も継続。
−9月22日に、鹿島灘の深さ約40kmでM4.3の地震。

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(4) 近畿・中国・四国地方

近畿・中国・四国地方では、次の地震活動があった。
−9月9日に、京都府北部の深さ約10kmでM3.8の地震。
−9月11日に、京都府南部の深さ約15kmでM3.8の地震。

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(5) 九州・沖縄地方

「9月25日に、熊本県熊本地方の深さ約10kmでM4.0の地震が発生した。この付近では、6月8日にM4.8の地震があり、今回の地震はその活動域に位置する。この地震の北東約10kmでは、8月10日にM4.0の地震が発生している。」:
今回の震源付近におけるM4クラス以上の地震の6月以前の発生は、1999年10月31日のM4.0及び11月10日のM4.1である。それらは、今回(9月25日) の地震の北東5km付近で発生した。今回の震源周辺10km程度の範囲におけるM4.5以上の地震の発生は、1926年以降についてみると、1928年のM5.0、1937年のM5.1のみである。なお、8月10日に発生した地震活動(布田川断層の南西端付近)は、6月8日に発生した地震活動に比べ、活動は低調で地震の発生が少なく活動域も小さい。

  この他、九州・沖縄地方では、次の地震活動があった。
−9月17日に与那国島の南西約80km付近でM5.1の地震。

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(6) その他の地方

他に次のような地震活動があった。
−9月10日に、台湾付近で、M6.0の地震。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
  M6.0以上のもの。又は、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3を超えるもの。

参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
1 「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
2 「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
3 評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。