平成12年8月2日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

三宅島付近から新島・神津島付近にかけての地震活動の評価


○ 地震活動は、7月21日以降も三宅島付近から新島・神津島付近にかけて消長を繰り返しながら継続している。7月30日以降には、活発な領域が三宅島南西沖から御蔵島南西沖にかけての海域に拡大し、8月2日8時現在もその状態で継続している。

この結果、現在、地震活動が活発な領域は三宅島西方沖から新島・神津島東方沖の海域(以下「第一の海域」という。)、利島西方沖から神津島付近の海域(以下「第二の海域」という。)、及び三宅島南西沖から御蔵島南西沖の海域(以下「第三の海域」という。)の3つとなった。

7月21日以降8月2日8時現在までに最大震度5弱以上を9回観測した。このうち、7月30日に第三の海域で発生したM6.4の地震により最大震度6弱を観測した。この地震は北西−南東方向に圧力軸を持つ横ずれ型であり、この地域の標準的なものであった。周辺のGPS観測によると、この地震に伴って地殻変動が観測された。

○ 周辺のGPS観測の結果では、7月21日以降も引き続き、新島・神津島、利島、伊豆大島及び房総半島南端まで地殻変動が観測されている。また、VLBI(超長基線電波干渉計)の観測結果でも房総半島南端で、さらに歪計の観測結果でも伊豆半島で、地殻変動がそれぞれ観測されている。

○ これらの地震活動及び地殻変動は、地震発生域の分布、発生している地震の発震機構の特徴、観測された地殻変動の特徴から、7月21日の評価と同様に、主として神津島の東方海域の地下での岩脈状のマグマの活動に関連して発生しているものと考えられる。

○ 以上のように、今回の三宅島付近から新島・神津島付近にかけての地震活動及び地殻変動は、引き続き、従来になく活発である。このため、この地域では引き続きM6.0以上(震度6弱程度をもたらすこともある。)の地震の発生も否定できない。また、M5程度の地震が、利島、新島、式根島、神津島、三宅島、及び御蔵島のそれぞれの近傍で発生した場合には、強い揺れ(震度5弱程度)をもたらすこととなる。