防災教育支援推進ポータル
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静岡県における地震・津波「複合災害」に関する防災教育支援の高度化と普及プログラム

 静岡県は、ほぼ全域が東海地震で震度6強以上の強い揺れに襲われると予想されており、多くの県民が地震対策の必要性を認識している。また、富士山、伊豆東部火山群といった活火山の存在や、大規模崩壊地「大谷崩れ」が存在すること、過去に「昭和49年七夕豪雨」などが発生したこともあり、県民の防災意識は全国有数のレベルにある。
 このような地域特性を反映して、静岡県では幼稚園・小学校・中学校・高等学校・大学・社会人に向けた多様な防災教育が展開されてきた。県をあげての防災教育への取り組みは「学校防災推進協力校」、「防災教育推進のための連絡会議」といった施策で現在も積極的に進められている。
また、各学校における様々な防災教育を支援する体制も充実しており、防災についての専門的知見を持ち、教員としての豊かな経験も兼ね備えた人材が、しばらくの間学校現場を離れ、県危機管理部と4つの地域危機管理局に配置され、行政と学校との橋渡し的な存在となって活躍している。
 本事業では、このような基盤をさらに発展させるための教材の整備、それを使用した教職員向け研修のプログラム開発、さらには児童に展開するための実践活動に取り組んだ。
 静岡県で想定される地震災害の特徴は、極めて強い地震動のあと、ほとんど時間なく大きな津波が襲来することである。津波の波高分布といった空間的な情報はハザードマップなどで提示されているが、時間的な特徴についての情報は必ずしも理解が進んでいない。そこで、近年の防災科学技術で実用的になってきた流体力学にもとづく津波シミュレーション。

 本事業を進めるにあたり、関与する組織・企業などを可能な限り静岡県内で探したことも特徴の1つである。防災には地域固有の課題が少なからずあり、危機感・土地勘の共有が重要である。このようにして集まった人材が共同作業を進めることで、地域内に防災教育についての知見やノウハウが蓄積することをめざした。この狙いはある程度成功し、実施2年目には本事業以外の場面においても、この事業に関与したものが防災教育の担い手になることがあった。